寄生虫 / 語句説明


(1)中間宿主:寄生虫がその幼虫期を過ごす宿主、あるいは無性生殖の起こる宿主である。2種の中間宿主を必ず経なければならない場合、最初のものを第一中間宿主、次を第二中間宿主をいう。 (2)固有宿主(終宿主):寄生成虫が棲む宿主または有性生殖が起こる宿主のこと。 (3)延長宿主(延長中間宿主、待機宿主):寄生虫幼虫はその発育上の必要性から見てこの宿主体内にとどまる必要はないが、宿主の食物連鎖の関係で感染する中間宿主を指す。終宿主動物がこれを接触すれば感染する点では第二中間宿主と同じレベルである。 (4)保虫宿主:ある寄生虫がヒト以外にも固有宿主をもつ場合、この動物を保虫宿主という。ヒトの生息環境内における他の感染源として重要である。 (5)伝播者(媒介者):寄生虫の感染型を伝播する動物を指し、ことに昆虫の場合によく用いられる名称 (6)異所寄生:本来の寄生部位以外に定着し、そこで発育を続けている。肺吸虫における脳内や皮膚寄生に例を見る。

(1)パラテニック・ホスト 1) 待機宿主。中間宿主と終宿主との間に介在する宿主で寄生虫幼虫はその発育上の必要性からみて必ずしもこの宿主体内にとどまる必要はないが、宿主の食物連鎖の関係で感染する宿主。終宿主動物がこれを摂食すれば感染する点では第2中間宿主と同じレベルである。 (3)迷入 3) 本来の寄生部位で発育が進み、成熟後に他部位に移動する状況。回虫成虫が虫垂や胆道に入る例などがある。 (4)宿主特異性 4) 寄生虫は一般に宿主特異性が高く、固有宿主以外には限られた種にしか感染しない。非固有宿主に感染しても成熟しえないか死滅する。ヒトが固有宿主ではない寄生虫がヒトに感染にした場合には主として幼虫形で体内を移行し、幼虫移行症を引き起こす。 (5)幼生生殖 5) 吸虫類の多くがその幼生期に第1中間宿主である貝体内で無性的に増殖すること。例えばウェステルマン肺吸虫ではその第1中間宿主のカワニナの中で1匹のミラシジウムから2000匹のセルカリアに分裂増殖する。

1) 幼虫皮膚移行症 ヒトが固有宿主でない場合、その体内では成熟し得ない。このため、寄生虫が主として幼虫形でヒトの体内(皮内あるいは皮下)を移行することにより病害を示すこと。 幼虫移行症:顎口虫、イヌ回虫、アニサキス、広東住血線虫、マンソン孤虫など 3) 自家感染 産み出された幼虫がそのまま宿主内で成熟して次世代を産むこと。 4) 幼生生殖 吸虫の幼虫が第一中間宿主貝体内で行うもの。一つのミラシジウムから最終的に数千〜数万のセルカリアを生ずること。 住血吸虫:ミラシジウム→スポロシスト→娘スポロシスト→セルカリア→経皮感染 吸虫類:ミラシジウム→スポロシスト→レジア→娘レジア→セルカリア→経口感染

1) 日和見感染 トキソプラズマなど、ヒトの免疫抑制条件下に増殖し重篤な病状を引き起こすこと。 2) 異味症 鉤虫症で見られ、成虫の消化管内寄生により、患者が土、茶の葉、木炭、生米、ゴムなどを好んで食べること 3) 橋本イニシアチブ 1998年バーミンガムサミットにおいて橋本首相が提唱した構想で、日本が先頭に立って世界の寄生虫防圧を推進しようというもの。 4) 再興感染寄生虫 マラリアなどのように一旦おさまった寄生虫感染が再び出現して起こった感染症 5) 象皮症 バンクロフト糸状虫での糸状虫(フィラリア)症で慢性時に起こる。成虫は特に鼠径部、腋窩部、精索などのリンパ管に好んで寄生し、次第に管を閉塞していく。するとリンパのうっ帯が起こり、うっ帯したリンパは皮下組織に浸透し、その慢性刺激のため皮下組織の増殖をきたす。そうして長年の間に皮膚が肥厚し、象の皮膚のようになること。