感染症 / 05 / / 選択


4〜5枚目 抗菌薬・抗ウイルス薬試験問題 担当:村田昌之

以下の設問について、解答群より選びなさい。

(解答群)a.(ア)(イ)が正しい  b.(ア)(イ)(ウ)が正しい  C.(ア)(イ)(エ)が正しい

d.(ア)(ウ)(エ)が正しい  e.全て正しい               →つまり(ア)は必ず正しい。

1.抗菌薬の特徴について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)ペニシリンやセフェム系薬であるβ-ラクタム薬は細胞壁を持つ細菌に有効である。

(イ)β-ラクタム薬は、細胞内寄生菌や細胞壁を持たない細菌(非定型菌)にも有効である。

(ウ)マクロライド系、テトラサイクリン系そしてフルオロキノロン系抗菌薬は、 細胞内寄生菌や細胞壁を持たない紬菌(非定型菌)にも有効である。

(エ)マクロライド系、テトラサイクリン系そしてフルオロキノロン系抗菌薬には、薬物相互作用をきたす薬剤がある。

(解答)d

(ア)○ (イ)×…βラクタム薬は細胞壁合成阻害。

(ウ)○…マクロライド、TCは蛋白合成阻害、フルオロキノロンはDNA合成阻害。

(エ)○…フルオロキノロンとテオフィリンなど。

2.β-ラクタム薬について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)ペニシリン系、セフェム系、モノバクタム系、カルバペネム系薬が含まれる。

(イ)殺菌的抗菌薬である。  (ウ)比較的安全性が高い。

(エ)β-ラクタム薬耐性化の原因の一つとして、細菌のβ-ラクタマーゼ産生がある。

(解答)e

(ア)○ (イ)○ (ウ)○…作用点が細胞壁なので選択性が高い。 (エ)○

3.抗菌薬について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)ペニシリン系抗菌薬は、グラム陽性球菌に高い抗菌活性を持つ。

(イ)セフェム系抗菌薬は、妊婦にも比較的安全に使用できる。

(ウ)広い抗菌スペクトラムをもつ第3,4世代セフェム系およびカルバペネム系抗菌薬を乱用しても、耐性菌や真菌の出現、菌交代現象にはつながらない。

(エ)アミノグリコシド系抗菌薬の副作用には、腎毒性、聴神経障害がある。

(解答)c

(ア) ○ (イ)○…妊婦に避けるべきなのはTC、クロラムフェニコール、アミノグリコシド、

ニューキノロン、ST合剤。抗生剤以外ではワーファリン、ACE阻害薬、Ca拮抗薬など。

(ウ)×…セフェムの濫用による耐性誘導は有名。 (エ)○

4.抗菌薬について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)赤痢アメーバの治療には、メトロニダゾールが使用される。

(イ)カリニ肺炎の治療には、β-ラクタム薬を使用する。

(ウ)アンフオテリシンBは抗真菌薬の一つである。

(エ)アンフォテリシンBの副作用には、腎毒性がある。

(解答)d

(ア)○ (イ)×…葉酸代謝阻害のST合剤を用いる。 (ウ)○ (エ)○

5.グリコペプチド系抗菌薬(バンコマイシン、テイコプラニン)について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)MRSAに有効である。

(イ)表皮ブドウ球菌などのメチシリン耐性コアグラーゼ陰性黄色ブドウ球菌や腸球菌には効果を認めない。

(ウ)偽膜性大腸炎(Clostridium difficle関連腸炎)にバンコマイシンの点滴治療は行わない。

(エ)腎毒性などの副作用を起こさないため、そして薬剤の十分な効果を得るためにも薬物血中モニタリング(TDM; Therapeutic Drug Monitoring)をすべき薬剤である。

(解答)d

(ア)○ (イ)×…メチシリン耐性コアグラーゼ陰性黄色ブドウ球菌=MRSAでは?

(ウ)○…点滴でなく内服。 (エ)○

6.薬物血中モニタリング(TDM; Therapeutic Drug Monitoring)が必要な抗菌薬について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)グリコペプチド系抗菌薬(バンコマイシン、テイコプラニン)

(イ)アミノグリコシド系抗菌薬  (ウ)ペニシリン系抗菌薬  (エ)セフェム系抗菌薬

(解答)a

(ア)○ (イ)○ (ウ)× (エ)×

7.適切な抗菌薬使用について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)本当に細菌感染症を来しているか判断して使用すべきである。

(イ)抗菌薬使用前に適切な培養検査を行うべきである。

(ウ)可能な限り原因菌の推定を行うべきである。

(エ)使用する際は、投与量、投与回数、投与期間を検討すべきである。

(解答)e

(ア)○ (イ)○…血液培養など非常に大事。 (ウ)○ (エ)○

8.抗ウイルス薬について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)単純ヘルペスウイルス感染症である口唇ヘルペスや、水痘帯状疱疹ウイルス感染症である帯状疱疹には、アシクロビルが使用される。

(イ)サイトメガロウイルス感染症には、ガンシクロビルが使用される。

(ウ)抗インフルエンザウイルス薬であるノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル)は、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ共に有効である。

(エ)抗インフルエンザウイルス薬は、インフルエンザ発症48時問以内に開始することで有熱期間の短縮が期待できる。

(解答)c

(ア)○ (イ)○ (ウ)×…Bは無効。 (エ)○

9.抗ウイルス薬について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)B型肝炎の治療には、B型肝炎ウイルスの逆転写酵素を阻害するラミブジンが使用されている。

(イ)ラミブジン使用中のB型肝炎患者において、ラミブジンの耐性化は認められない。

(ウ)難治性C型肝炎の治療には、インターフェロンにリバビリンを併用することが多い。

(エ)C型肝炎の治療として、リバビリン単独療法は効果が期待できない。

(解答)d

(ア)○ (イ)× (ウ)○ (エ)○

10.後天性免不全ウイルス(HIV)感染症の治療について、正しい記述の組み合わせを選びなさい。

(ア)CD4陽性リンパ球数が200/mm3以下となれば抗HIV療法を開始する。

(イ)抗HIV療法の目標は、血中ウイルス量を最大限かつ長期にわたって検出限界以下に抑え続けること、免疫能を回復・維持すること、生活の質を改善すること、HIV関連疾患及び死亡を減らすこと、である。

(ウ)現在多剤併用によるHAART(ハート:Highly Active Anti-Retroviral Therapy)がHIV感染症治療の基本である。

(エ)服薬状況が悪い場合でも、薬剤耐性化の心配はない。

(解答)b

(ア)○ (イ)○? (ウ)○ (エ)×…1ヶ月に1、2日でも服薬を守らないと耐性化する。

6枚目 ウイルス感染症総論、輸入感染症 担当:林純

以下の設問について、回答群より選びなさい。

回答群  a.(ア)のみ正しい  b.(エ)のみ正しい  c.(ア)(イ)(ウ)が正しい

d.全て正しい  e.全て誤っている

1.コレラについて、正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)コレラに感染すると米のとぎ汁様下痢をきたす。

(イ)胃切除者ではコレラに感染すると重症化する。

(ウ)ペストはノミにより感染するが、空気感染もある。

(エ)ベストはペスト菌の内毒素による出血傾向が症状としてみられる。

(解答)c?   6月8日1枚目

(ア)○…脱水になるので輸液が必要。発熱、腹痛はない。 (イ)○

(ウ)○…原発性肺ペストでは空気感染(飛沫感染)あり。 (エ)×?…出血傾向が分かりません。

2.マラリアについて、正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)四日熱マラリアは感染期間が数年におよぶことがある。

(イ)熱帯熟マラリアの赤血球感染率は1〜2%もある。 (ウ)熱帯熟マラリアでは悪寒・戦慄が激しい。

(エ)メスのコガタアカイエカの媒介により感染する。

(解答)c    6月8日1、3枚目、H16卒試2に類似

(ア)○…熱帯熱は2ヶ月〜1年、三日熱は2年、卵型は5年。

(イ)○…熱帯熱は10〜40%、三日熱は2%>、卵型は1%>。

(ウ)○…戦慄はない。

(エ)×…マラリアはメスのハマダラカ。コガタアカイエカは日本脳炎。

3.インフルエンザについて、正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)ノイラミニターゼ作用はウイルスの脱殻を促進する。

(イ)すべてのインフルエンザウイルスのreservoirはブタと考えられている。

(ウ)インフルエンザB型に抗原変異が著明である。

(エ)インフルエンザB型はA型に比較して重症化する。

(解答)c    I53

(ア)○…もう一つの表面抗原はノイラミニダーゼでタミフルはこちらを阻害。

(イ)○…BやCでは稀。 (ウ)○ (エ)×…Aが最も重症化し流行する。スペイン風邪など。

4.デング出血熱について、正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)フィロウイルスによる感染症である。 (イ)コガタアカイエカから感染する。

(ウ)ヒトからヒトの感染もある。 (エ)デング・ショック症候群ではヘマクリットの上昇がみられる。

(解答)c    6月8日2枚目

(ア)○ (イ)○  

(ウ)○…血漿漏出が進むと起こる。他に血小板減少、tourniquet試験陽性、渡航歴で診断。

(エ)×…Flavivirusによる。Filovirusは線状のウィルスでマールブルグ病の原因ウィルス。

5.新興感染症について、正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)西ナイル熱は蚊とトリによってウイルスが媒介され、蚊から感染する。

(イ)ニパ脳炎はコウモリとブタによってウイルスが媒介されブタから感染する。

(ウ)クリミア・コンゴ出血熱はマダニからウイルスに感染する。 (エ)SARSは空気感染のみで拡大した

(解答)d   6月8日2枚目

(ア)○…蚊とトリによって維持され、主にイエカの吸血によって感染する。

(イ)○ (ウ)○ (エ)○…院内感染が問題になっている。

6.持続感染症について、正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)EBVは主として経口感染である。

(イ)肝細胞癌の大部分はHPV及びHCVの持続感染者から発生する。

(ウ)ヘリコバクター・ピロリ感染は胃癌と関連している。

(エ)HTLV-1はCD8陽性細胞に感染し、白血病を起す。

(解答)a   5月24日

(ア)○ (イ)×…唾液感染。kissing diseaseと呼ばれるくらいなので。

(ウ)×…胃・十二指腸潰瘍や胃癌と関連。感染経路は不明。 (エ)×…CD4陽性。

7.院内感染対策について正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)空気予防策が必要な感染症は、流行性耳下腺炎、風疹、結核である。

(イ)飛沫予防策では病室は周囲の区域に対して陰圧に設定する。

(ウ)接触予防策では病室内のスリッパは専用とする。

(エ)標準予防策は血中ウイルス感染や感染力の強い病原微生物に応用される。

(解答)d   H15概説2、3、4年次「院内感染」講義資料・試験

(ア)○…他にVZV。 (イ)○…他にジフテリア、マイコプラズマ、百日咳、インフルエンザなど。

(ウ)○…手袋、手洗いの他に聴診器や血圧計を患者専用にする。

(エ)○…感染が疑われなくても全ての血液などを潜在的感染媒体とみなして取り扱う。

8.院内感染について正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)手掌での細菌の増殖は20分で2倍である。

(イ)手洗い方法としては、最初に石鹸を手にぬり、次に水で洗い流すのがよい。

(ウ)手掌の常在菌としてはレンサ球菌がある。

(エ)院内感染対策上重要な細菌は、MRSAやVREなどの多剤耐性菌のみである。

(解答)e   自信ありません

(ア)× (イ)×…最初は流水じゃないでしょうか。

(ウ)×…レンサ球菌は口腔・鼻咽頭常在菌 (エ)×…それはないでしょう。

9.院内感染について正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)針刺し事故で本邦で最も多い医療行為としては注射時である。

(イ)院内感染対策は医療経済的に負担が大きい。

(ウ)HBV,HCV,HIV,HTLV-1の中でHIVが最も感染力が強い血液由来ウイルスである。

(エ)院内感染の対策をたてる上で、サーベイランスは重要である。

(解答)? 

(ア)? (イ)○ (ウ)×…HBV、HCVの方が強い。HTLV-1は分かりません。 

(エ)○…サーベイランスとは疾患監視システムと翻訳される。院内感染発生が報告され、分析され、その結果がフィードバックされること。

10.人獣共通感染症について正しい記述の組合せを選びなさい。

(ア)出血性黄疸レストスピラ病はネズミの排泄物からの感染が多い。

(イ)慢性蕁麻疹の原因の1つに犬回虫がある。

(ウ)生のモクズガニを摂取すると気胸を起すことがある。

(エ)マスの刺身の接触で体重減少をきたすことがある。

(ア)○…H55。ネズミの尿で汚染された水・土から。

(イ)×…H87。ヒトにかかった場合の症状は肝腫大などの内蔵型と眼型。

(ウ)×…H90。自然気胸を起こすのは宮崎肺吸虫でサワガニが第2中間宿主。

(エ)×…H91。サケ、マスの生食による日本海裂頭条虫症は症状は軽い。

7〜8枚目 神経病理 岩城先生

1.孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病の画像所見として正しいものはどれか。

(a)発症時には脳の高度な萎縮はみられない (b)長期生存した症例ほど、脳萎縮が軽い

(c)脳梗塞を合併することが多い (d)大脳の萎縮は左右差が著しい

(e)MRIの拡散強調画像で大脳皮質や線条体に高信号領域をみとめる

1(a)(b)  2(a)(e)  3(b)(c)  4(c)(d)  5(d)(e)

(解答)2  5月12日3枚目、H16概説1

(a)○…萎縮は進行して(3期)から急速に進む。 (b)× (c)× (d)×

(e)○…基底核にも高信号域が認められることが多い。

2.英国で多発した変異型クロイツフェルト・ヤコブ病について正しいものはどれか。

(a)変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は高齢者に多い

(b)ミオクローヌスや舞踏運動などの不随運動で発症する

(c)脳波で周期性同期性放電がほとんどの症例にみられる

(d)MRIの拡散強調画像で両側の視床枕に高信号領域をみとめる

(e)虫垂や扁桃などの末梢リンパ組織に異常プリオン蛋白が蓄積する

1(a)(b)  2(a)(e)  3(b)(c)  4(c)(d)  5(d)(e)

(解答)5  5月12日4、5枚目、H16概説2

(a)× (b)×…症状としてはあるが、初発は精神症状、感覚障害。

(c)×…周期性同期性放電=PSD。孤発性ではほぼ100%見られる。 (d)○

(e)○…血液を介して伝播する可能性がある。

3.プリオン(伝達性海綿状脳症の感染因子)として正しいものはどれか。

(a)ホルマリン液で失活する  (b)ガス滅菌が有効である

(c)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)による煮沸が不活性化に有効である

(d)通常のオートクレーブでは失活しない  (e)紫外線照射で失活する

1(a)(b)  2(a)(e)  3(b)(c)  4(c)(d)  5(d)(e)

(解答)4  5月12日2枚目、H16概説3

(a)× (b)× (c)○…3%液で5分煮沸。 (d)○…132℃1時間で失活。 (e)×

4.孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病について正しいものはどれか。

(a)反応性アストロサイトに乏しい  (b)脳に老人斑が多数みられる

(c)平均発症年齢は約40歳である

(d)マウスに接種することにより病気を伝達させることが可能である

(e)数カ月で無動性無言状態におちいる

1(a)(b)  2(a)(e)  3(b)(c)  4(c)(d)  5(d)(e)

(解答)5  5月12日2、5枚目

(a)×…富む。 (b)×…老人斑はアルツハイマー。 (c)×…63歳。変異性は29歳。