感染症 / / 穴埋め


【5】(小児科) 注:病原体名、病名は日本語、英語どちらでも可。

問1.次の(   )に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。同じ番号が複数ある場合があるので注意すること。

a)(1. )は、細菌性髄膜炎の治療に用いる抗生物質を選択する際に考慮すべき重要なポイントである。(2. )などの第三世代セフェムやクロラムフェニコールが最も良好であり、ABPCなどのペニシリン系がこれに次ぐ。(2. )とABPCは、起炎菌判明までの初期治療薬として併用されることが多い。 b)急性発疹症のうち、最近の外毒素でおこる代表的な疾患は(3. )と(4. )である。(3. )は、粘膜所見として苺舌が特徴的であり、自然治癒傾向を持つが、的確な治療が行われなければ(5. )や(6. )などの臓器合併症を併発することがあり、注意が必要である。本症の治療には通常(7. )が用いられる。 c)母子感染は感染時期により大きく(8. )感染、(9. )感染、(10. )感染の3つに分けられる。(11. )の母子感染は、どの時期にもおこるが、臨床的に問題となるのは、ほぼ(8. )感染に限られる。この場合、新生児期に異常がみられない症例においても、約10%の頻度で後に(12. )、精神発達遅滞などの障害が明らかになるので注意が必要である。(11. )は、(13. )とともに頭蓋内石灰化をきたす代表的な(8. )感染の病原体である。 d)手足口病では原因となるウイルスは(14. )中に3〜5週間排泄される。 e)無菌性髄膜炎の原因として頻度の高いウイルスは(15. )ウイルスとエンテロウイルスである。 f)乳児期早期の(16. )肺炎は、(16. )の(9. )感染によっておこる。本症は、通常発熱を伴わず、末梢白血球像では(17. )増多が見られることが多い。(9. )感染をおこす病原体の多くは、性行為感染症(STD)の病原体としても重要である。 g)血清や髄液の抗(18. )ウイルス抗体価の上昇は、(18. )による遅発性脳炎である(19. )の診断に重要である。Jabbourらは(19. )の 病期を4つに分類した。 h)新生児の遅発性敗血症の原因として最も頻度が高いのは、グラム陽性球菌では(20. )グラム陰性桿菌では(21. )である。 i)細菌性髄膜炎の主な後遺症は、精神運動発達遅滞、(12. )、(22. )である。 j)中枢神経合併症として特に小脳炎をおこしやすい発疹症は、(23. )である。母体が妊娠中に(23. )に罹患した場合、出生した児は(23. )の既往のないまま小児期に(24. )を発症することがある。 k)(25. )は(26. )による急性発疹症である。(26. )は赤芽球系の前駆細胞に好んで感染し、これらの細胞を破壊する。溶血性貧血など赤血球の寿命が短縮している患者が(26. )に感染すると、急激に貧血が進行し、しばしば輸血を必要とする状態となる。これを(27. )と呼ぶ。 l)(28. )の母子感染を予防するために行われている主な対策は、妊婦および生まれた児への抗(28. )薬使用、出生時における児の洗浄、選択的帝王切開、(29. )遮断である。 m)胎盤を通じて胎児に移行する免疫グロブリンはIg(30. )である。 n)小児の肺炎を起こす原因微生物は年齢によって異なっており、6歳以上では(31. )による肺炎が最も多い。 o)百日咳では、白血球のうち(32. )球の増多がみられる。 p)ムンプスの学校出席停止は(33. )までと定められている。 q)歯肉口内炎を認めた場合には、(34. )ウイルスの初感染を疑う。 r)結核の予防接種は(35. )である。6か月未満の小児に対して管針法で接種する。

【解答】(6の中耳炎がちょっとアヤシイです。) (1)髄液所見 (2)セフォタキシム(Cefotaxime) (3)猩紅熱 (4)NTED(Neonatal TSS-like exanthematous shock syndrome) (5),(6) 急性糸球体腎炎・中耳炎? (7)ペニシリンG (8)胎内(経胎盤) (9)産道 (10)母乳 (11)サイトメガロウイルス (12)難聴 (13)トキソプラズマ (14)便 (15)ムンプス (16)クラミジア (17)好酸球 (18)麻疹 (19)SSPE(亜急性硬化性全脳炎) (20)コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (21)エンテロバクター (22)てんかん (23)VZV (24)水痘 (25)伝染性紅斑 (26)ヒトパルボウイルスB19 (27)aplastic crisis (28)HIV (29)母乳 (30)G (31)マイコプラズマ (32)リンパ (33)耳下腺の腫脹が消失する (34)単純ヘルペス (35)BCG

問2.2.各項目に最も関係が深いものをa〜hの中から1つ選び、記号で答えなさい。 1)サルモネラ感染症     (     ) 2)カンピロバクター感染症  (     ) 3)腸管出血性大腸菌感染症  (     ) 4)ロタウイルス感染症    (     ) 5)ノロウイルス感染症    (     )

a.膵炎、無菌性髄膜炎 b.白色水様下痢便、黄疸 c.急性弛緩性麻痺(感染約10日後) d.貧血、血小板減少、腎機能低下(感染5〜7日後) e.山水、井戸水の飲水、腸管膜リンパ節炎 f.肝腫大、黄疸 g.カキの生食、糞口感染 h.ミドリガメの飼育、生卵の喫食

 【解答】  1)h 卵といったらサルモネラです。  2)c 感染後平均10.5日で発症します。  3)e 汚染された飲食物や糞便による経口感染  4)b 30%が白色便を呈します。  5)g ノロウイルスはカリシウイルスに属しています。

【7】(?) 1.Standard Precautions(広義のUniversal Precautions)の概念を述べよ。(2点)

 「患者の血液・体液や患者から分泌排泄されるすべての湿性物質(尿・痰・便・膿)は感染症のおそれがある」とみなして対応する方法。

2.以下の感染症の主な感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染のうちどれか。丸をつけよ。(1点)      インフルエンザ    空気   飛沫   接触      結核         空気   飛沫   接触      MRSA        空気   飛沫   接触

【解】インフルエンザ:飛沫感染  結核:空気感染  MRSA:接触感染   3.空気感染する感染症をもつ患者には、スタンダードプレコーション以外にどのような対策が必要か。(1点)  【解】頻回の換気と、濾過器の使用、陰圧換気の部屋に隔離するなど。

4.針刺し事故を起こした場合、直ちに行うべき対応を述べよ。(1点) 【解】針刺し部の血液を搾り出しながら直ちに水洗いする。暴露部の粘膜、皮膚を直ちに水洗いする。

5.以下の定義をそれぞれ述べよ。(2点)    滅菌とは:    消毒とは:

  【解】 <滅菌>「病原体・非病原体を問わずすべての微生物を死滅、または除去すること」  <消毒>「病原性微生物を死滅、または除去させて感染の危険をなくすこと」

問1 次の( )に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。

同じ番号が複数ある場合があるので注意すること

a)出産時の母子感染は主に(1)でおこる。(1)感染をおこす病原体の多くは、性行為感染症(STD)の病原体と共通している。

b)先天性風疹症候群のリスクが高いのは妊婦が第(2)三半期に風疹に罹患した場合である。本症の3大臨床症状のうち最も頻度が高いのは(3)である。

c)periodic latera1ized epileptiform discharges(PLEDs)は、(4)ウイルスによる脳炎を疑う上で参考となる脳波所見である。本症の早期診断には、PCR法による髄液中の(4)ウイルスDNAの検出が有用であり、治療の第一選択薬は(5)である。

d)ウイルス性髄膜炎と結核性髄膜炎の髄液所見を比較すると、(6)球優位の細胞数増多は両方にみられるが、(7)の値は前者では正常であるのに対して、後者では低下している。

e)免疫グロブリンのうちIg(8)は分子量が比較的大きく、母体から胎児に移行しないため、新生児が20mg/dl以上の値を示すときは、(9)感染の可能性を考えて検索を進める必要がある。

f)(10)は(11)の早期診断に役立つ粘膜疹である。6か月未満の乳児は(12)抗体が防御的に作用するため(11)に罹患することは稀であるが、罹患した場合は亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発症リスクが高くなる。(11)の曝露後予防には(11)ワクチンや(13)が有効である。

g)遅発性の(14)でみられるHutchinsonの3徴は、歯牙異常、実質性角膜炎、(15)である。(14)の治療の第一選択薬は(16)である。

h)水痘帯状疱疹ウイルスの感染経路は、空気・飛沫による経気道感染と(17)感染である。このため、学校保健法施行規則では、罹患した児童に対して、全ての発疹が(18)化するまでの出席停止が定められている。

i)(19)は(20)による急性発疹症である。(20)は赤芽球系の前駆細胞に好んで感染し、これらの細胞を破壊する。溶血性貧血など赤血球の寿命が短縮している患者が(20)に感染すると、急激に貧血が進行し、しばしば輸血が必要な状態となる。これを(21)と呼ぶ。

j)ヒト免疫不全ウイルスの母子感染を予防するために行われている主な対策は、妊婦および生まれた児への抗HIV薬使用、出生時における児の洗浄、選択的(22)、(23)遮断である。

k)(24)ウイルス感染症は主に冬季に流行し、白色調の下痢、嘔吐、発熱などをきたす。一般に乳幼児ほど症状が強い。

l)RS(respiratory syncytial)ウイルスは(25)の原因微生物として最も頻度が高く、2歳未満の小児に対し重篤な呼吸困難をきたしうる。

m)クループ症候群は、(26)性喘鳴、犬吠様咳嗽、嗄声など喉頭の狭窄症状を呈し、原因微生物としては(27)ウイルスが最も多い。(28)撮影により声門下狭窄が認められ、診断に有用である。

n)百日咳において、典型的な咳嗽(whoop,staccato)が見られる病期は(29)期であるが、乳児では咳嗽が出現せず無呼吸をきたすこともある。検査所見としては白血球のうち(30)球の増多がみられる点が特徴的である。百日咳の予防としてわが国では乳児期から(31)の接種が行われている。

o)乳幼児でインフルエンザに罹患してまもなくけいれん・意識障害が出現したときには(32)の合併を疑う。

p)結核のワクチンは(33)である。わが国では管針法により接種されるが、2005年4月より定期接種対象者が6か月未満となった。

q)細菌性腸炎の原因菌のうち、ギラン・バレー症候群との関連が指摘されているのは(34)である。

r)腸管出血性大腸菌感染症の治療で小児に推奨されている抗菌薬は(35)、ノルフロキサシン、カナマイシンである。乳酸菌製剤は併用するが、止痢剤は使用してはならない。

(解答・解説) 小児科講義プリント参照

(1)産道 (2)一?…4〜16週の罹患で可能性がある。14週が第一、第二三半期の境界。

(3)白内障…ほかの2つは先天性心疾患、難聴。 (4)単純ヘルペス (5)アシクロビル (6)多核 (7)糖

(8)M (9)子宮内 (10)コプリック斑 (11)麻疹 (12)移行…IgGが移行。 (13)γ-グロブリン製剤

(14)先天梅毒 (15)内耳性難聴 (16)ペニシリンG (17)接触 (18)痂皮 (19)伝染性紅斑

(20)パルボウイルスB19 (21)貧血発作 (22)帝王切開 (23)母乳 (24)ロタ (25)細気管支炎 (26)吸気

(27)パラインフルエンザ (28)喉頭高圧X線…声門下の浮腫を見る。 (29)カタル (30)リンパ

(31)DPTワクチン (32)インフルエンザ関連脳症 (33)BCG (34)カンピロバクター

(35)ホスホマイシン

問2 新生児敗血症/髄膜炎の産科的リスクファクターを2つ列挙せよ。

(解答) 楠原先生「中枢神経感染症」講義プリント参照

分娩前…母体の発熱(38℃以上)、母体の炎症反応陽性(CRP≧2mg/dl、WBC≧12000/mm^3)、

    胎児モニタリング異常(180bpm以上の胎児頻脈)

分娩時…早期産、前期破水、遷延分娩、胎児切迫仮死、羊水の悪臭と混濁、新生児仮死、絨毛羊膜炎

問3、本邦において、下記の年齢または状況に生じた細菌性髄膜炎の起炎菌として最も頻度の高いものを記せ。

新生児期〜3か月までの乳児(  )、6歳以上の年長児(  )、VPシャント感染(  )

(解答)順にB群溶連菌・大腸菌・リステリア菌、黄色ブドウ球菌・髄膜炎菌、?

1)文章内の( )に適切な記号を入れよ。

細胞内寄生菌は主として( )内で増殖する菌のことであり、殺菌の免疫担当細胞となるのは( )である。代表的な菌種は( )である。

A.結核菌 B.肺炎球菌 C.Tリンパ球 D.食細胞 E.インフルエンザ菌 F.Bリンパ球

(解答)順にD.食細胞、C.Tリンパ球、A.結核菌

(解説)H16卒試1。液性免疫を担う抗体や補体は細胞内に入り込めないので主に有効なのは細胞性免疫。結核菌の他に代表的なものはブルセラ菌、らい菌、チフス菌、細胞侵入性大腸菌など。

呼吸器においては鼻腔から肺胞に至るまで( )なバリアがあり、病原微生物に対応している。最終的に( )ミクロン以下の大きさの物質が肺胞に侵入できるといわれている。細胞内には( )が常在しており侵入微生物に反応して( )などのシグナルを出し、炎症細胞を誘導する。

A.2 B.10 C.好中球 D.マクロファージ E.サイトカイン F.細菌 G.間歇的 H.連続的

I.アドレナリン J.リンパ球

(解答)順にH.連続的、B.10、D.マクロファージ、E.サイトカイン

(解説)H16卒試1。肺胞に存在する細胞の大半がマクロファージで、貪食と共にIL-1産生を行う。

2)関係が深いと思われるものを線で結べ(右は1つあまる)。

浸潤影・ ・舌区

初感染結核・ ・結節影

肺癌・ ・肺尖

心とのシルエットサイン陽性・・びまん性小粒状影

成人型肺結核症・ ・気管支肺炎

                           ・胸水

(解答)浸潤影−気管支肺炎、初感染結核−びまん性小粒状影、肺癌−結節影、

心とのシルエットサイン陽性−舌区、成人型肺結核症−肺尖

(解説)H16卒試2、H16概説1

初感染結核…I60。初感染では粟粒結核が多い。また、サルコイドーシスでも小粒状影。

心とのシルエットサイン陽性…I17。左舌区=S4+S5の病変で心陰影左縁の消失。

3)( )内の適切な語句を1つ、または2つ○でかこめ。

代表的な市中肺炎の原因菌として(肺炎球菌・溶連菌・緑膿菌)があげられる。また、最近は(肺炎クラミジア・嫌気性菌・結核菌・非定型抗酸菌)による非定型肺炎が増加しており注意が必要である。肺炎の抗生剤治療を開始するにあたり最も重要なことは(喀痰グラム染色・末梢血白血球数・CRP)である。PRSPによる肺炎の抗生剤治療は(セフェム系・ペニシリン系・カルバペネム系・ニューキノロン系)が有効である。移植後の肺炎は(細胞壁・バイオフィルム・きょう膜)をもつ菌によるものが多い。

順に肺炎球菌、肺炎クラミジア、喀痰グラム染色、セフェム系・カルバペネム系・ニューキノロン系、

細胞壁

●3枚目 細菌・真菌感染症 担当:下野信行

1)身体各部位の常在菌叢について知るところを述べなさい。(5)

(解答) 人体の皮膚・口腔内・呼吸器系・腸内などには複数の細菌が平衡を保ちつつ常在している。なかには病原性をもっているものも存在し、平衡が破綻すると病原性が発現する。皮膚にはブドウ球菌、口腔・咽頭にもブドウ球菌の他、連鎖球菌やナイセリアなどが存在する。大腸には大腸菌、腸球菌、乳酸桿菌などが存在する。

2)院内でよく遭遇する菌の例を3つ挙げて、特徴を中心に述べなさい。(5)

(解答)

・MRSA ペニシリン系、セフェム系、アミノ配糖対系抗生物質に広く耐性を持った多剤耐性の黄色ブドウ球菌のこと。近年のブドウ球菌に対して抗菌力の弱い第三世代セフェム系抗生物質を濫用した結果、この耐性菌が選択的に増殖して、病院内に伝播した。

・VRE バンコマイシン耐性腸球菌のこと。MRSAに対して有効なバンコマイシンさえ効かない腸

球菌株で、現在使用可能な有効抗菌薬がない。

・緑膿菌 元来、人体に対して弱毒であるが、日和見感染症の一種で院内感染としては頻度が高い。

3)深在性真菌症の中でカンジダ血症も増加しつつある。どのような疾患、病態でどのような治療や処置をした時にカンジダ血症を疑うのか、またどのような検査を行うべきか知るところを述べなさい。(5)

(解答) カンジダは一般には日和見感染症である。カンジダ血症は発熱や発疹のほかにDICを合併する可能性がある。ステロイド、IVH、抗生物質等が誘引となると考えられており、合併症として生じる眼内炎に注意が必要である。症状として飛蚊症、霧視などがあるので、これらの症状を見逃さないことが早期発見につながると考えられる。検査としては生検の他、血清中に抗原を認めればよい。

中毒 槇田裕之(衛生学)

A群の各項目と関係の深いものをB群より選び、その記号を解答欄に記せ。(重複使用は不可)

A群

1)トリアージ  2)ルイサイト  3)ホスゲン  4)エミット  5)カドミウム

6)トキシラボ  7)ヒ素     8)サリン   9)PAM   10)シアン化合物

B群

ア)クロマトグラフィ法  イ)血液剤    ウ)イタイイタイ病  エ)神経剤

オ)びらん剤       カ)ボーエン病  キ)窒息剤      ク)イムノアッセイ法

ケ)集団中毒       コ)コリンエステラーゼ

(解答)1―ケ、2―オ、3―キ、4―ク、5―ウ、6―ア、7―カ、8―エ、9―コ、10―イ

●6枚目 担当:総合診療部 鍋島茂樹

1) 関係が深いと思われる組み合わせを選べ。(例)1−ア

※注 線で結ぶのはパソコン上では難しいのでそれぞれ記号を付けて選ぶようにしました。

1)コンソリデーション 2)間質影 3)肺癌 4)心とのシルエットサイン陽性

5)成人型肺結核症 ア)舌区  イ)結節影  ウ)肺尖  エ)線状網状影  オ)ARDS

(解答)1―エ、2―オ、3―イ、4―ア、5―ウ

2)( )内の適切な語句を1つ○でかこめ。 代表的な市中肺炎の原因菌として(肺炎球菌・溶連菌・緑膿菌)があげられる。また、最近は(肺炎クラミジア・嫌気性菌・結核菌)などによる非定型肺炎が増加しており注意が必要である。肺炎の抗生剤治療を開始するにあたり最も重要なことは(喀痰グラム染色・喀痰培養・CRP)である。院内肺炎は何らかの基礎疾患をもった入院患者が罹患する肺炎であり、原因菌として(グラム陰性桿菌・グラム陽性桿菌)が多く(抗菌薬耐性・消毒剤耐性)を認めることが多い。

(解答)順に、肺炎球菌、肺炎クラミジア、喀痰グラム染色、グラム陰性桿菌、抗菌薬耐性

3)53歳の男性。基礎疾患は糖尿病。5日前より咳嗽・喀痰(膿性)があり、2日前より38℃以上の熱がある。来院時体温39.8℃、呼吸数22回/分、脈拍96/分、胸部レントゲンで右下葉全体に浸潤影がある。パルスオキシメータでSpO2は92%である。次の問に答えよ

(1)重症度分類(呼吸器病学会ガイドライン)で当てはまるものを○でかこめ。

軽症、中等症、重症

(2)喀疾グラム染色で肺炎球菌が考えられた。初期治療として適当なものの番号を○でかこめ 1.入院してもらいペニシリン系またはカルバペネム系抗生剤を投与する。 2.外来で3日間毎日第3世代セフェムを点滴静注する。 3.外来で去疾剤を投与し、改善がなかったら来院してもらう。 4.入院してもらい、アミノ配糖体系抗生剤を投与する。

(解答)

(1)中等症

肺炎の重症度分類(胸部X線及び身体所見による判定)

判定項目

軽 症
重 症

5項目中3項目以上に該当

5項目中3項目以上に該当 

胸部X線像の陰影の広がり

1側肺の1/3まで
1側肺の2/3まで

体温

<37.5℃
≧38.6℃

脈拍

<100/分
≧130/分

呼吸数

<20/分
≧30/分

脱水

(−)
(+)

注1)チアノーゼ、意識レベルの低下、ショック状態の症例は上記とは関係なく重症とする。

注2)軽症と重症のいずれにも該当しないものを中等症とする。

(日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」2000より一部改変)

(2) 2

まず3はないと思われる。「肺炎球菌性肺炎はペニシリンGが第一選択薬であり、エリスロマイシンも有効。さらに第I、II世代セフェムも選択となる。」という記述(year note I-45)から4もないだろう。重症でないので入院の必要もないかと。

問1.次の( )に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。同じ番号が複数ある場合があるので注意すること。

a)生後3か月以上の小児の細菌性髄膜炎では、初期治療として抗生物質に(1. )を併用するのが一般的である。これは中枢神経系に放出された(2. )類の作用を抑制して神経細胞の障害を最小限にとどめるためである。特に乳幼児期の起炎菌として最も頻度が高いグラム陰性桿菌である(3. )による髄膜炎では(4. )の発生を有意に抑えることが明らかにされている。

b)細菌性髄膜炎の主な後遺症は、精神運動発達遅滞、(4)、(5. )である。

c)わが国で無菌性髄膜炎の病原ウイルスとして頻度が最も高いのは、エンテロウイルス属と(6. )ウイルスである。

d)(7. )ウイルスの胎内感染によっておこる先天性(7)症候群の主要徴候は(4)、(8. )、白内障である。本症候群における遅発性の障害として(9. )や亜急性硬化性全脳炎様の脳障害が知られている。

e)伝染性紅斑の病原ウイルスは(10. )である。(10)は、(11. )球系の前駆細胞に好んで感染して破壊するため、ウイルス血症の時期には、骨髄中のこれらの細胞が激減する。本ウイルスの胎内感染で最もよくみられる異常は(12. )である。

f)(13. )感染症は自然治癒傾向を持つ発疹症であるが、的確な治療が行われなければ急性糸球体腎炎や(14. )などの臓器合併症を併発することがあり、注意が必要である。本症の治療には通常(15. )が用いられる。

g)中枢神経合併症として特に小脳炎をおこしやすい発疹症は、(16. )である。

h)Chlamydia trachomatis肺炎に特徴的な一般検査所見として、末梢血における(17. )球増多と免疫グロブリン高値がある。治療には(18. )系抗菌薬が用いられる。

i)(19. )は、気道感染症の中で吸気性呼吸障害、嗄声、犬吠様咳嗽をきたす(20. )の主要な原因ウイルスであり、また、(21. )に次いで細気管支炎の原因としても重要である。(20)に対しては、(22. )の吸入による治療が行われる。

j)(23. )の罹患者は三種混合(DPT)ワクチン未接種の児が大半をしめるが、特に乳児では特有の咳を認めずにいきなり無呼吸をきたすことがある。

k)伝染性単核症の原因である(24. )ウイルス、咽頭結膜熱の原因である(25. )ウイルス、(13)などは急性扁桃炎を引き起こし、扁桃に滲出物や偽膜を伴うことが多い。

l)小児のインフルエンザ罹患時に使用可能な解熱剤は(26. )のみである。

m)年長児の肺炎の中で最も頻度が高いのは(27. )肺炎で、(18)系抗菌薬が有効である。

n)Salmonella Enteritidisによる胃腸炎の原因食品として最も多いものが(28. )であるが、乳幼児では全身感染を引き起こすこともある。

o)腸管出血性大腸菌感染症の小児の6〜7%に出現する合併症に(29. )があり、重症例では輸血や透析療法が必要となることがある。一部は脳症に進展する。

p)(30. )ウイルス感染症は主に冬季に流行し、白色調の下痢、嘔吐、発熱などをきたす。一般

に乳幼児ほど症状が強い。

(解答)

1.デキサメサゾン 2.サイトカイン 3.インフルエンザ菌 4.難聴 5.てんかん 

6.ムンプス 7.風疹 8.先天性心奇形 9.糖尿病 10.ヒトパルボウイルスB19 11.赤芽

12.胎児水腫 13.A群溶血性連鎖球菌 14.リウマチ熱 15.ペニシリン系抗生剤 

16.水痘 17.好酸 18.マクロライド 19.パラインフルエンザウイルス

20.急性喉頭蓋炎 21.RSウイルス 22.エピネフリン 23.百日咳 24.EB

25.アデノ 26.オセルタナビル 27.マイコプラズマ 28.卵

29.溶血性尿毒症症候群 30.ロタ

問2.一次性脳炎と二次性脳炎を説明し、原因となる病原体をそれぞれ1つずつ挙げよ。

(解答)

・一次性脳炎 説明:ウイルスが脳の組織に直接感染して発症する脳炎。

病原体(単純ヘルペスウイルス・日本脳炎ウイルスなど)

・二次性脳炎 説明:脳以外の臓器が感染症にかかったことによって生じる脳炎。

病原体(麻疹ウイルス・風疹ウイルス・ムンプスウイルスなど)

問3.ウイルスの胎内感染が疑われる新生児におけるウイルス特異的IgG抗体およびIgM抗体の意義をそれぞれ述べよ。

(解答)

特異的IgG:IgGは母体から胎児へと移行する。母体由来のIgGは半年ほど新生児体内に存在し、感染防御の役割をする。

特異的IgM:IgMは胎盤を通過しない。臍帯血でIgM値が高いとき、新生児に先天性の感染症が疑われる。胎内感染のマーカー。

※参考:『Year Note 2002』『新臨床内科学』『レジデントのための感染症マニュアル』(青木真 医学書院)