リケッチア(ツツガムシ病)


各論

8. ツツガムシ病の病原体とその生態について述べよ 03年6月17日の授業より 戸田新p703

リケッチア Orientia tsutsugamushi

ツツガムシはリザーバーとベクターを兼ねている。リケッチアは経卵垂直伝播によって次の世代へ伝えられ、卵→幼虫(アシ3対)→若虫(アシ4対)→成虫(アシ4対)というサイクルを通して保有される。ツツガムシは卵からかえった幼虫の時期に1度だけ地上に出て、哺乳類である宿主を刺し、自らの唾液を注入しては宿主の体液を吸引する。この時、宿主体内にリケッチアが入る。ツツガムシはその後再び地中に戻り2回の脱皮ののち、晴れて成虫となる。ツツガムシは一生の大半を地中で過ごす。

病原体は新旧共にorientia tsutsugamushiであり、媒介するものは新型ツツガムシ病ではタテツツガムシ、フトゲツツガムシであるのに対し、旧型ツツガムシ病ではアカツツガムシである。流行地域は新型が群馬、富山、千葉、宮崎、鹿児島などであるのに対し、旧型は新潟、秋田などである。流行する季節は新型が冬、春であるのに対し旧型は夏である。 診断は新旧共に、全身に発疹、発熱、刺し口がある、などであり、治療としてはテトラサイクリン系の抗生物質を通常量経口投与させればよい。