内分泌疾患に関連する以下の問いに答えなさい。 †
- 視床下部―下垂体系ホルモンに関連する下記の薬物が使用される疾患名を挙げなさい。
- bromocriptine…乳汁漏出症、プロラクチン産生腫瘍、末端肥大症、パーキンソン症候群
- 遺伝子組換え型growth hormone注射薬…下垂体性低身長症、ターナー症候群、慢性腎不全、軟骨異栄養症
- vasopressin…尿崩症の鑑別診断、中枢性・下垂体性尿崩症の治療
- clomiphene…無排卵症(中枢性性腺機能低下症)
- 抗甲状腺薬として最もよく使用されるmethimazole、propylthiouracilに共通する作用機序を述べなさい。
- 甲状腺ペルオキシダーゼを阻害し、チログロブリンのヨウ素化を抑制する。
- 経口糖尿病治療薬のglibenclamideは食事療法が不十分な場合には肥満を来しやすく、一方bufforminは肥満を伴う糖尿病にも使用しやすい。それぞれの理由を述べなさい。
- 次の合成副腎皮質ホルモン薬を薬効の弱い順に並べなさい。
- prednizolone、hydrocortisone、dexamethasone
- hydrocortisone<prednizolone<dexamethasone
- 副腎皮質ホルモン薬
- 細胞内または核内の受容体に結合したのち mRNA 発現を介して効果が現れるため、注射投与でも数分以内に効果が得られることはない。
- 作用強度は構造と密接に関連し、側鎖が長くなるほど作用が強い。
- Hydrocortisone < Prednisolone < dexamethasone の順で半減期が長く、また作用も強い。
- 長期に大量投与したのちに中止する場合は、急性副腎皮質不全を防ぐため、徐々に減量する必要がある。
- 重要な副作用として高血糖や感染症が生じることがある。
- 副作用
- 感染症の増悪(感染防御機能を低下するため)
- 消化性潰瘍(胃酸分泌亢進などのため)
- 骨粗鬆症(骨芽細胞抑制、カルシウム排泄増加、吸収低下による)
- 視床下部、下垂体、副腎皮質系機能の抑制(ACTH分泌抑制)
- 水電解質代謝異常(浮腫、高血圧等)
- ほかに動脈硬化症、精神症状、糖尿病など
ホルモンによる女性の性周期と関連づけながら低用量ピルの薬理的効果について述べなさい。 †
月経期に下垂体から分泌されるFSHは卵胞発育を促進し、性周期は増殖期となる。エストロゲンは卵胞から分泌されるので卵胞の発育につれてエストロゲンは増加する。またエストロゲンは、視床下部のGnRH分泌の制御や下垂体へ直接作用することにより、FSH分泌を抑制しLH分泌を亢進する。エストロゲンの分泌亢進はLHサージを惹起して、LHにより排卵が誘発される一方、黄体が形成されて性周期は分泌期へと移行する。黄体からはエストロゲンだけでなくプロゲステロンが分泌される。プロゲステロンはLH分泌を抑制し、子宮内膜を肥厚させる作用を持つ。この時に着床がなければ黄体は白体となってエストロゲン・プロゲステロンの分泌が減少していき、次の月経期を迎えることになる。
さて、低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンの合剤である。エストロゲンは、FSHの分泌を抑制することで卵胞発育を阻害する。一方プロゲステロンは、LHの分泌を抑制することで排卵誘発を阻害する。これらの機序により避妊作用を発現する。
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