平成17年度 「アレルギー・膠原病」 卒業試験
【1】24歳の女性。妊娠5ヶ月より、時々微熱、倦怠感、脱毛を認めるようになった。産科では、血圧110mg/64mg、2+のタンパク尿、Hb9.9g/dl、WBC3200/μ1、Plt6万/μlを指摘された。肝機能、腎機能には異常なし。妊娠7ヶ月目に切迫流産となったが軽快した。精査をすすめられ当科を紹介された。既往歴では、下肢静脈血栓症が2回見られた。なお胎児の心音に異常はないが、週数齢に比べて発育の遅延を認める。現症では、軟口蓋に潰瘍形成、腋窩リンパ節の腫大を認めた。
1)もっとも考えられる診断名を2つ挙げよ。
(解答)2003年度卒業試験【1】(1)と全く同じ。SLE、抗リン脂質抗体症候群
(解説)本症例のうちSLEの所見…蛋白尿、貧血、白血球減少、血小板減少、口腔内潰瘍、リンパ節腫脹
本症例のうち抗リン脂質抗体症候群の所見・・・基礎疾患にSLE、血小板減少、習慣流産、静脈血栓症
2)確定診断に必須である検査、今後の治療方針決定に必須である血液検査を挙げよ(10個以内)。
(解答)2003年度卒業試験【1】(2)と全く同じ。LE因子、抗DNA抗体、抗Sm抗体、CRP、赤沈、血清梅毒反応、C3、CH50、抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラントなど
3)この患者の治療で正しいものを1つ選べ。
a)帝王切開 b)メチル酸ガベキサートの投与 c)γグロブリン投与
d)血漿交換と免疫抑制剤の投与 e)副腎皮質ステロイド剤の投与
(解答)2003年度卒業試験【1】(3)と全く同じ。e?
(解説)a)×適応は病態によるb)×?蛋白合成酵素阻害。二次止血阻害薬。c)×?抗リン脂質抗体による胎盤梗塞を防ぐために大量点滴が行われていたが今はヘパリンが用いられるd)×劇症型で行うe)○?高リスク妊婦の場合SLE悪化への対策としてステロイドの増量を行う。
【2】52歳の女性。10年前からレイノー現象、手指の腫脹、関節痛があった。最近、労作時に軽度の息切れ、咳嗽が出現し、また朝髪がとかしづらくなったため受診した。身体所見では発熱無し、四肢末梢から上腕、顔面の皮膚が硬化し、手指の関節背面にはやや赤くなった局面に落屑を認めた。検査所見では尿タンパク、血尿は陰性。赤沈値12mm/h、WBC5800/ml、抗DNA抗体陰性、リウマトイド因子320倍
1)さらに知りたい情報として重要なのはA〜Eの組み合わせのうちどれか。
a)針反応 b)聴診所見 c)筋の把握痛 d)徒手筋力テスト e)脱毛の有無
A.(a,b,c) B.(a,b,e) C.(a,d,e) D.(b,c,d) E.(c,d,e)
(解答)2003年度卒業試験【2】(1)と選択肢まで全く同じ。D
(解説)a)×Behcet病(症状から否定)の鑑別b)○全身性硬化症、DM(共に肺繊維症を起こす)の鑑別c)○DM、リウマチ性多発筋痛症の鑑別d)○DMの鑑別e)×SLE(皮膚硬化はない)の鑑別
2)診断に有用な検査はどれか。
a)胸部X線検査 b)筋電図 c)筋生検 d)甲状腺機能検査 e)腎生検
A.(a,b,c) B.(a,b,e) C.(a,d,e) D.(b,c,d) E.(c,d,e)
(解答)2003年度卒業試験【2】(2)と選択肢まで全く同じ。A
(解説)a)○全身性硬化症、DMによる肺繊維症の有無を見るb)○DMで異常、リウマチ性多発筋痛症で正常c)○DM、全身性硬化症で異常、リウマチ性多発筋痛症で正常d)×Sjogren症候群での橋本病の合併を見る?e)×SLEで行う事も。IgG、C3の沈着を見る。
3)生化学検査では血清CK値は25001U/1、血清学的検査では抗トポイソメラーゼ1抗体(抗Scl-70抗体)が陽性で、抗RNP抗体は陰性であった。考えられる疾患はどれか。
a)全身性エリテマトーデス b)皮膚筋炎 C)全身性硬化症
d)混合性結合組織病 e)リウマチ性多発筋痛症
A.(a,b) B.(a,e) C,(b,c) D.(c,d) E.(d,e)
(解答)2003年度卒業試験【2】(3)と選択肢まで全く同じ。C
(解説)CK高値→DM、抗Scl-70抗体陽性→強皮症、抗RNP抗体陰性→混合性結合組織病の否定
4)本疾患で注意するべき合併症は何か。一つ選べ。
A.脳硬塞 B.悪性腫瘍 C.細菌性肺炎 D.大腿骨頭壊死 E.無菌性髄膜炎
(解答)2003年度卒業試験【2】(4)と選択肢まで全く同じ。B
(解説)DMの合併症として悪性腫瘍がある。無菌性髄膜炎はSLE、MCTDに合併。
【3】SLEの発症あるいは増悪に関わる重要な因子として日光暴露が知られている。日光暴露が発症、増悪に関与する機序について知る所を記せ。
(解答)2003年度卒業試験【3】と全く同じ。紫外線によりDNAが傷害され抗DNA抗体が産生されるため。
【4】患者さんの特徴的な訴えを挙げています。一番に疑う病名を下の疾患群の中から選び、記号を記入するとともに、診断確定のために行いたい検査を書いて下さい。
A.全身性エリテマトーデス B.全身性硬化症 C.皮膚筋炎 D.多発筋炎 E.混合性結合織病
F.関節リウマチ G.シェーグレン症候群 H.線維筋痛症 I.リウマチ性多発筋痛症
J.大動脈炎症候群 K.顕微鏡的多発血管炎 L.結節性多発血管炎 M.ウェゲナー肉芽腫症
N.ベーチェット病 O.変形性関節症 P.再発性多発性軟骨炎 Q.抗リン脂質抗体症候群
(1)40才代、男性。先週から霧がかかった様にものが見えます。37度台の発熱もあります。口内炎ができて、痛みで食事をするのが難しいです。右膝から下の皮膚が赤く腫れて、さわると痛みがあります。
(解答)N、針反応
(解説)霧視、口内炎、下腿の有痛性紅斑→Behcet病。診断は臨床症状の組み合わせで行う。
(2)20才代、女性。この一月の間、微熱があります。左胸の上の方が痛むことがたびたびあります。血沈値が非常に亢進していると言われました。左腕で血圧を測ろうとすると、測りにくいと言われました。
(解答)J、血管壁MRI
(解説)若年女性、発熱、痛み、赤沈↑、血圧を測りにくい→大動脈炎症候群が疑われる
(3)70才代、女性。この一週間高熱がでます。身体中が痛いです。特に筋肉が痛みます。この状態になって、体重が減っています。視力が急に落ちてきたように思います。側頭部痛がたびたびあります。白血球数が多く、炎症所見が高いと言われています。
(解答)I、側頭動脈生検
(解説)発熱、筋痛、側頭動脈炎の合併(体重減少、視力障害、側頭部痛)、炎症所見
(4)20才代、女性。身体がとてもきついです。この一週間38度以上の熱が毎日でています。抗生剤や解熱剤を服用しても、発熱します。おしっこをすると、泡がたくさん出ます。顔や下肢に浮腫があります。血液検査では、白血球は下がっていて、CRPは陰性と言われています。
(解答)A、抗核抗体測定
(解説)発熱、易疲労感、蛋白尿、浮腫、白血球減少、CRP陰性
(5)70才代、男性。この一週間38度以上の発熱が持続しています。全身倦怠感が非常に強いです。筋肉が痛みます。大腿部の皮膚に網目状の赤い斑状の紅斑が出ています。下肢が両方ともしびれた感じがします。MPO-ANCAは陰性だと言われました。
(解答)L、血管造影
(解説)長期間の発熱、筋痛、紅斑、多発性単神経炎、MPO-ANCA陰性→結節性多発動脈炎。
(6)50才代、女性。強い頭痛があります。身体が非常にきついです。血圧が急激に高くなっていると言われました。寒いときは、指先が真っ白になって、痛んでいます。指の関節は皮膚がつっぱって思うように曲がりません。食後の胸焼けも強いです。
(解答)B、皮膚生検
(解説)易疲労感、悪性高血圧、Raynaud現象、皮膚硬化、逆流性食道炎→全身性硬化症
【5】以下の各症例について読んで各々の質問に答えよ。
症例1:70歳、女性。10年以上前より、四肢を中心として多関節痛があり、近医にて消炎剤、湿布などをもらっていた。現在、眼の違和感のため点眼薬を使用することが多く、お茶や水を飲むことも多い。半年ほど前より下肢のむくみに気がつき、最近になり下痢をすることが多くなったため、精査目的にて当院を受診。栄養不良あり、心音ならびに呼吸音には異常なし。四肢末端の知覚障害あり。両手首、右3、4指MP,PIP、左2-4指PIP、左膝ならびに両足関節の疼痛と腫脹あり。両下肢ならびに顔面に浮腫あり。血沈98mm/hr, WBC5600/μ1, Hb6.09/d1, 尿蛋白(3+)、 尿潜血(+)、 TP4.8g/dl, Alb2.0g/dl, BUN64mg/dl, Cr3.5mg/dl, Na145mEq/l, K2.8mEq/l, Cl108mEq/l, AST32U/L, ALT26U/L, LDH780U/L, g-GTP30U/L, T-Chol150mg/dl, IgG3260mg/dl, IgA520mg/dl, IgM382mg/dl, CRP8.5mg/dl, ANA1:320(speckled), C3:84mg/dl, C4:20mg/dl, CH50:34U/ml, 便潜血反応(2+)
(1)患者の罹患している疾患の診断を確定する上で最も有用ではないと思われるもの一つだけ選べ。
(A)リウマトイド因子 (B)KL-6測定 (C)抗CCP抗体 (D)シャーマー試験 (E)直腸生検
(解答)(C)
(解説)Sjogren症候群が最も疑われる。抗CCP抗体はRAに特異的。(E)アミロイドーシスを疑う。
(2)患者の持つ抗核抗体として最も考えられるものを一つだけ選べ。
(A)抗Scl-70抗体 (B)抗セントロメア抗体 (C)抗dsDNA抗体 (D)抗SS-B抗体 (E)抗RNP抗体
(解答)D
(解説)Sjogren症候群で陽性となるのはRF、ANA、SS-A抗体、SS-B抗体
(3)患者の消化器症状についてはコンゴ−レッド染色にて診断が確定した。この疾患と関連が深いと考えられているサイトカインまたは成長因子として正しいものを一つ選べ。
(A)Interleukin1 (B)Tumor necrosis factor(TNF) (C)Interleukin5
(D)Interleukin6 (E)Epidermal growth factor
(解答)D
(解説)コンゴーレッド染色→アミロイドーシス。SAAはIL-6を介して肝臓で合成される。
症例2:55歳、女性。1年前より関節リウマチの診断にて近医にて非ステロイド系抗炎症薬を処方され経過をみていたが、症状の改善乏しく当院を受診。両手首、PIP, MCP,膝を含む多関節の腫脹、疼痛を認めた。血沈80mm/hr, CRP4.8mg/dl、リウマトイド因子陽性、骨関節X線にて骨びらんを認めたため、ブシラミン内服200mg/dayとプレドニゾロン内服10mg/dayによる治療を開始したが、関節腫脹は持続し、CRPも2〜3mg/dlで経過している。
(4)この患者の治療法の変更として、以下のどれが最も望ましいか。
(A)シクロスポリン内服150mg/day (B)プレドニゾロン内服40mg/day
(C)サラゾスルファピリジン内服1g/day
(D)メソトレキサート内服6mg/week (E)インフリキシマブ点滴3mg/kg
(解答)D
(解説)ステロイドで寛解しない場合はDMARDs投与。メソトレキサートが中心。
症例3:65歳、男性。以前より、両手首、PIP, MP関節に疼痛、腫脹と朝のこわばりがあり、抗リウマチ薬などの処方を近医でうけてきたが、経過中より乾性咳嗽、呼吸困難などが出現しはじめ、皮下結節ならびに四肢の知覚低下も認める。栄養不良あり。リウマトイド因子強陽性。血中補体低下ならびに免疫複合体高値あり。CRP12.0mg/dl肺機能検査では%DLcoが著明に低下。
(5)この患者の治療法として適切でないものを一つ選べ。
(A)中等量ステロイド (B)ブシラミン (C)血漿交換 (D)シクロフォスファミド (E)シクロスポリン
(解答)E
(解説)悪性関節リウマチ。RA基本治療+関節外症状。中等量〜大量のステロイド薬+免疫抑制薬(シクロフォスファミド)。時に血漿交換療法。シクロスポリンは眼症状のあるBehcet病に用いる。
症例4:45歳、女性。10年ほど前より、慢性関節リウマチの診断にて経口金剤を中心に治療をうけてきたが、関節腫脹の増悪ならびに変形が出現してきたため、治療を経口金剤よりブシラミンに変更した。開始後2ヶ月ほどより関節症状は徐々に改善したが、尿蛋白(+)となり1ヶ月で(3+)まで増加した。理学的にも下肢に浮腫が出現。BUN18mg/dl, Cr0.6mg/dl, TP6.5mg/dl, Alb3.3g/dl, Ccr80ml/min
(6)この患者の腎病変として、最も疑われるものを一つ選べ。
(A)間質性腎炎 (B)半月体形成性糸球体腎炎 (C)膜性腎炎
(D)メザンギウム増殖性糸球体腎炎 (E)続発性アミロイドーシス
(解答)C
(解説)ブシラミンの副作用及びRAに合併する腎障害は膜性腎炎。
【6】CRP値が正常であるにもかかわらず赤沈が促進する疾患や病態はどれか。
(1)汎血管内凝固症候群 (2)無γグロブリン血症 (3)関節リウマチ
(4)全身性エリテマトーデス (5)シェーグレン症候群
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
(解答)e
(解説)(1)×赤沈遅延(2)×赤沈遅延?(3)×CRP(+)、赤沈促進(4)○CRP(-)〜(+)、赤沈促進(5)○赤沈促進
【7】抗Jo-1抗体について正しいのはどれか。
(1)抗Jo-1抗体陽性例は高頻度に間質性肺炎を合併する。
(2)抗Jo-1抗体陽性例は高頻度に関節炎を合併する。
(3)抗Jo-1抗体陽性例は高頻度に腎障害を合併する。 (4)抗Jo-1抗体陽性例は予後不良である。
(5)抗Jo-1抗体の対応抗原はヒスチジルtRNA合成酵素である。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
(解答)b
(解説)(1)○また、肺繊維症を伴う症例で陽性率が高い(2)○半数以上に関節炎(3)×PM、DMでは基本的に腎障害は生じない(4)×抗Jo-1抗体陽性例の間質性肺炎は予後良好(5)○
【8】抗好中球細胞質抗体(ANCA)につき正しい組み合わせはどれか。
(1)古典的PNではANCA陰性例が多い。
(2)アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)ではMPO-ANCA陽性例が多い。
(3)ANCAは高齢者でしばしば非特異的に認められる。
(4)ANCAは疾患活動性と相関して変動する例が少なく、治療の目安とならない。
a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4)のみ e.(1)〜(4)のすべて
(解答)b
(解説)(1)○陽性となるのは顕微鏡的多発血管炎(2)○?約50%で陽性(3)×?(4)×疾患活動性の指標、治療の有効性の判定に有効。
【9】血管炎症候群のうちステロイドとともに治療初期よりシクロフォスファミドが投与される頻度の高い疾患はどれか。
(1)アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群) (2)高安動脈炎
(3)結節性多発動脈炎 (4)ウェゲナー肉芽腫症 (5)巨細胞性血管炎
a.(1)(2) .(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
(解答)d
(解説)(1)×ステロイドのみ(2)×記述なし(3)○まず併用を行う(4)○免疫抑制薬が主、ステロイド薬が従(5)ステロイドのみ
【10】アレルギーに関する以下の問に答えよ。 1)誤った組み合わせはどれか。
a.I型アレルギー反応:アナフィラキシー型 b.II型アレルギー反応:免疫複合型
c.III型アレルギー反応:アルサス型 d.IV型アレルギー反応:貼布試験
e.IV型アレルギー反応:リンパ球幼若化試験
(解答)b
(解説)II型:細胞障害型(毒素型)
2)喘息について正しいのはどれか
a.アトピー型では遅発型喘息反応はほとんどおこらない
b.気管支拡張薬は非アトピー型よりアトピー型の方が有効である
c.アトピー遺伝子が第9染色体に存在することが報告されている
d.アトピー型と非アトピー型では気道の炎症や気道過敏性に差異がある
e.成人ではアトピー型と非アトピー型がほぼ同じ割合である
(解答)2004年度卒試【13】(3)に酷似。e
(解説)a.×I型アレルギー反応後の局所の組織障害により、抗原の侵入が容易になるため、アレルギー反応が長引き、気道の過敏性が亢進し、喘息が難治化する。これをlate asthma反応と呼ぶ。b.×非アトピー型に有効c.×11番染色体d.×差異はないe.○成人では割合はほぼ同じ、小児では90%以上がアトピー型。
3)気管支喘息の原因抗原検索のための検査はどれか
(1)プリックテスト (2)RAST(Radioallergosorbent test) (3)リンパ球幼若化試験
(4)RIST(Radioimmunosorbent test) (5)凝集反応
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
(解答)2004年度卒業試験【13】(2)に酷似。a
(解説)(1)○即時型皮膚試験はI型アレルギーに有効(2)○抗原特異的IgEを測定(3)×IV型アレルギーに有効(4)×IgEの測定法で非特異的(5)×III型アレルギーに有効
4)気管支喘息の二相性反応について正しいのはどれか。
a.細胞性免疫と体液性免疫が関与していることをいう b.遅発型反応は細胞性免疫が関与している
c,即時型反応とは体液性免疫が関与している
d.即時型反応は吸入誘発試験の60分後ぐらいに生じる e.喘息患者では二相性反応がみられる
(解答)2004年度卒業試験【13】(4)に酷似。e
(解説)a.×即時型反応はIgE結合肥満細胞とアレルゲンとの反応によりケミカルメディエーターが遊離して病態を形成、遅発型反応はTh2由来のIL-5等のサイトカインにより遊走、活性化した好酸球が主要な役割を果たす。b.×好酸球が関与c.×d.×30分以内に生じ、15分後がピークe.○
5)減感作(免疫)療法に関して正しいのはどれか
(1)皮内注射で施行する (2)副作用としてアナフィラキシーを起こすことがある
(3)カンジダによる治療は行われない (4)スギ減感作療法はほとんど行われない
(5)遮断抗体はIgA抗体に属する
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
(解答)2003年度卒業試験【12】(4)に酷似。c
(解説)(1)×皮下注射で施行(2)○他に喘息の誘発など(3)○真菌による治療は奨められない(4)×ハウスダスト、スギがほとんど(5)×遮断抗体はIgG4
6)抗アレルギー薬の作用機序として正しいのはどれか
(1)ロイコトリエン受容体拮抗作用 (2)トロンボキサンA2受容体拮抗作用
(3)H2受容体拮抗作用 (4)シクロキシゲナーゼ阻害作用 (5)Th1サイトカイン産生抑制作用
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
(解答)2003年度卒業試験【12】(6)と全く同じ。a
(解説)メディエーター遊離抑制薬、H1拮抗薬、トロンボキサンA2阻害・拮抗薬、ロイコトリエン拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬がある。
7)吸入ステロイド薬連続使用により起こりうる副作用はどれか
(1)女性化乳房 (2)高カリウム血症 (3)胃潰瘍 (4)口腔内真菌症 (5)副腎機能低下
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
(解答)2003年度卒業試験【12】(7)に酷似。e
(解説)咽喉頭症状、口腔内真菌症、嗄声、悪心、嘔吐、副腎機能低下など。
8)ステロイド薬について正しいのはどれか
(1)一般に副腎皮質機能抑制は少ない (2)重要な副作用として大腿骨骨頭壊死がある
(3)リンパ球のapoptosisを促進する (4)持続的筋注ステロイドは使用してはならない
(5)炎症を増強する
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
(解答)2003年度卒業試験【12】(8)に類似。c
(解説)(1)×(2)○(3)○(4)×?(5)×抗炎症作用を持つ
【11】正しい組合せはどれか。
a.混合性結合組織病−抗RNP抗体陽性 b.全身性エリテマトーデス−血清補体価上昇
c若年性関節リウマチ−ASO高値 d.皮膚筋炎−ヒアルロン酸高値
e.Sjogren症候群−抗DNA抗体陽性
(解答)a
(解説)a.○単独で強陽性b.×活動期に低下c.×リウマチ熱で上昇d.×RAで高値e.×SLEで高値
【12】リウマチ熱診断基準の大症状はどれか。
a.円板状紅斑 b.関節痛 c.冠動脈炎 d.発熱 e.小舞踏病
(解答)e
(解説)大症状は心炎、多発関節炎、小舞踏病、輪状紅斑、皮下結節
【13】次の文を読み、1)、2)の問に答えよ。3歳の女児。発熱と発疹とを主訴に来院した。
現病歴:2週前から39℃前後の発熱があり、同時に体幹部に痒みを伴わない紅色丘疹がみられた。全身倦怠感が続いている。 既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現症:体温40℃。脈拍120/分、整。両側頸部に栂指頭大のリンパ節を4〜5個触知する。心音整、心雑音はない。肝を右肋骨弓下に3cm、脾を左肋骨弓下に3cm触知する。両手指関節が腫脹し、疼痛のため動かさない。 検査所見:血液所見:赤沈80mm/1時間、赤血球360万、Hb9.5g/dl、白血球28,000(好中球70%,リンパ球24%,単球6%)血小板23万。免疫学検査:ASO100倍、Paul-Bunnell反応16倍、リウマトイド因子陰性、抗核抗体陰性、C3 80mg/dl,,CRP4.6mg/dl。胸部エックス線写真で心胸郭比50%。
1)この患児で最も考えられるのはどれか。
a.川崎病 b.敗血症 c.急性白血病 d.若年性関節リウマチ e.全身性エリテマトーデス
(解答)d
(解説)a.×ASO↑があり、眼症状、口唇口腔症状がないb.×c.×好中球↑d.○e.×白血球↑、C3↑より否定
2)この疾患の第一選択薬はどれか。
a.抗菌薬 b.シクロスポリン c.非ステロイド系抗炎症薬 d.副腎皮質ステロイド薬 e.ガンマグロプリン
(解答)c
(解説)大量のアスピリンはReye症候群を引き起こすので、サリチル酸製剤以外のものを投与。
【14】次の文を読み、1)、2)の問に答えよ。9歳の女児。発熱と関節痛とを主訴に来院した。
現病歴:1週前から38℃前後の発熱と両手指関節の運動痛とを訴えている。食欲不振も続いている。
既往歴'家族歴:特記すべきことはない。
現症:体温38℃。脈拍100/分、整。顔面に蝶形紅斑を認める。胸腹部に異常を認めない。両手指関節に運動痛があるが、熱感と冷感とはない。
検査所見:尿所見:蛋白2+、糖(一)、沈渣(赤血球40/1視野、白血球2〜5/1視野)。血液所見:赤沈30mm/1時間、赤血球345万、Hb9.6g/dl、Ht30%、白血球2,000(好中球26%、好酸球1%、リンパ球73%)、血小板9万。
1)この患児で先ず行うべき検査はどれか。
(1)血清lgA値 (2)血清補体価 (3)抗DNA抗体 (4)骨髄穿刺 (5)腎生検
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
(解答)c
(解説)蝶形紅斑→成人でSLE、皮膚筋炎、小児で猩紅熱、伝染性紅斑を疑う。SLEの診断基準は頬部紅斑、腎障害、血液異常(リンパ球の減少がないが)の3つを満たしている。
2)この疾患について正しいのはどれか。
a発症には先行溶連菌感染がある。 b全身性血管炎が主病変である。
c血清自己抗体の検出がないと診断できない。
d肝炎は主要な合併症である。 e副腎皮質ステロイド薬で完治する。
(解答)
(解説)a.猩紅熱、リウマチ熱などb.Behcet病、川崎病などc.d.e.
【15】( )に適当な語句を書き入れよ。
1.アトピー性皮膚炎では血中の( )抗体が高値を示すことが多い。
2.( )細胞は、表皮内樹状細胞で抗原提示能を有する。
3.手術用手袋アレルギーでは、( )が抗原となりやすい。
4.アレルギー疾患で増多する白血球の種類は、( )である。
5.果物などを食べてすぐに、口腔内の違和感や浮腫が生ずる疾患を( )症候群という。
6.パンを食べて運動したところアナフィラキシーショックを起こした。この疾患を( )アナフィラキシーという。
(解答)1.IgE 2.ランゲルハンス細胞 3.ラテックス 4.好酸球 5.口腔アレルギー 6.食物依存性運動誘発
【16】疾患とその症状の正しい組み合わせに○、そうでないものに×をつけよ。
1)SLE:蝶形紅斑 2)皮膚筋炎:ゴットロン徴候 3)全身性強皮症:pitting scar
4)シェーグレン症候群:環状紅斑 5)結節性多発動脈炎:網状皮斑 6)MCTD:手指のソーセージ様腫脹
(解答)2004年度卒業試験【19】と全く同じ。全て○
【17】薬疹で正しいものに○、誤っているものに×をつけよ。
1)原因薬剤同定のための内服テストは禁忌である。
2)一つの薬剤でも蕁麻疹型、播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型など様々な臨床型をとることがある。
3)固定薬疹(固定疹型)とは一度薬疹を生じたら症状が固定し、なかなか治らないものを称する。
4)スティーブンスジョンソン症候群型、中毒性表皮壊死症は重症型の薬疹で、通常全身管理を要する。
5)ステロイド剤の全身投与は禁忌である。
6)drug induced hypersensitivity syndromeではHHV6(ヒトヘルペスウイルス6型)が関与することが多い。
(解答)2004年度卒業試験【20】と全く同じ。1)× 2)○ 3)× 4)○ 5)× 6)○
(解説)1) 少量から行う2)他に水疱型、湿疹型など 3)身体の限局した部位にのみ起こる薬疹 4)中毒性表皮壊死症はTENと呼ばれる 5)原因薬剤の中止の後ステロイド投与 6)HHV6の再活性化を合併
【18】関節リウマチの関節破壊に関して、正しいものを選べ
(1)発症後早期の関節リウマチの単純X線所見としては、骨びらんや関節裂隙の狭小化、関節周囲の骨萎縮が特徴である。
(2)骨びらんは主に破骨細胞による骨吸収によって形成されると考えられている。
(3)単純X線上の関節裂隙の狭小化は主に関節軟骨の変性を反映している。
(4)関節破壊は、従来の治療を受けた多くの患者では発症後2年以内に認められる。
(5)MRl(核磁気共鳴法)では単純X線写真で描出できない発症後早期の関節リウマチの骨びらんを検出できることがある。
a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3),(5)のみ d(3),(4),(5)のみ e(1)〜(5)のすべて
(解答)e
(解説)(1)○他に軟部組織の変化、骨破壊、関節変形、関節強直(2)○(3)○軟骨破壊の所見(4)○発症後2年で急速に進行する(5)○わずかな骨びらんも検出できる
【19】RAの頚椎病変について正しいものを選べ
(1)頑固な頚部痛、後頭部痛を訴えた場合は、頚椎の環軸椎亜脱臼を疑う。
(2)環軸関節は滑膜関節であるため、ここに慢性炎症が続くと軸椎の歯突起を固定している環軸後横靭帯が弛緩するなどのため、環軸関節に亜脱臼が生じる (3)環軸椎亜脱臼が進行して脊髄が圧迫されると歩行困難、巧緻運動障害などの脊髄症状があらわれることがある。 (4)RAの手術で全身麻酔になる可能性があれば、挿管に備えて、術前に動態撮影で頸椎の状態を評価しておく必要がある。
a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)〜(4)のすべて
(解答)e
(解説)(1)○他に手・足のしびれ、めまい、耳鳴りなど(2)○(3)○(4)○RAでは挿管困難な場合がある
【20】関節リウマチに対する人工関節手術に関して正しいのはどれか。
(1)40歳以下の関節リウマチ患者でも、人工関節置換術を行う場合がある。
(2)人工股関節置換術後の関節リウマチ患者は、あまり動かないので脱臼の心配はない。
(3)人工股関節置換術後の合併症として深部静脈血栓症、肺塞栓はきわめて重要である。
(4)膝および股関節に対する人工関節置換術は、術後の長期成績が安定している。
a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)〜(4)のすべて
(解答)2004年度卒業試験【23】に酷似。a
(解説)(1)○(2)×(3)○(4)○膝は股よりも更に良好で半永久的。
【21】関節リウマチ患者にみられる骨粗鬆症について正しいものを選べ。
(1)全身性骨粗鬆症と傍関節性骨粗鬆症に分けられる。
(2)ステロイド性骨粗懸症では比較的高い骨密度でも骨折を起こしやすいことが特徴である。
(3)ステロイド投与開始後、短期間で骨密度が減少することが多い。
(4)脆弱性骨折は、脊椎椎体、大腿骨頚部、恥骨などに大きな外力なしに起きる。
a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)〜(4)のすべて
(解答)2004年度卒業試験【24】と全く同じ。e
(解説)(1)○(2)○原発性骨粗鬆症より高い骨密度で骨折を生じる(3)○(4)○
【22】強直性脊椎炎について正しいものを選べ。
(1)血清反応陰性脊椎関節症の疾患概念に含まれ、通常リウマトイド因子が陰性である。
(2)90%以上の症例でHLA-DR4が陽性である。
(3)男女比は5:1と男性に多く、10〜20歳代に発症することが多い。
(4)仙腸関節の骨びらんや強直、付着部炎などが特徴とされる。
a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)〜(4)のすべて
(解答)2004年度卒業試験【25】に類似。a
(解説)(1)○(2)×90%で陽性なのはHLA-B27(3)○(4)○
【23】反応性関節炎およびライター症候群に関して、正しいものを選べ。
(1)反応性関節炎は、下肢に優位な左右非対称性で比較的少数の関節が罹患することが多い。
(2)反応性関節炎の関節液を培養すると生きた細菌が検出される。
(3)反応性関節炎は、腸管や尿道などの微生物感染後に起こる無菌性関節炎である。
(4)古典的には「関節炎、淋菌性尿道炎、結膜炎」の三徴を呈するものをライター症候群と呼んできたが、最近は、「ライター症候群」を「反応性関節炎」の同義語として用いる傾向にある。
a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)〜(4)のすべて
(解答)2004年度卒業試験【26】に類似。?
(1)○主に下肢の大関節及び足指(2)×無菌性の関節炎(3)○下痢、尿路感染に続発(4)×関節炎、無菌性尿道炎、結膜炎