以下、「雨漏りは欠陥じゃない!?」http://www.path.ne.jp/baumdorf/knowhow/amamori4.htmより抜粋転記。
建築の専門家に雨漏りを引き起こしている欠陥の調査を依頼する場合でも、ただ漠然と「雨が漏るんです」と言って手ぶらで相談に行っても良い結果は期待できません。
こういう方に限って、「せっかく相談料をはらって、専門家のところに行ったのに、はっきりしたことを答えてもらえなかった。」と文句を言われるのですが、何の事はない、ご自分が悪いのです。
ほかの欠陥についてもそのような面はあるのですが、とりわけ雨漏りに関しては、「どのような状況の雨の場合に、どのような漏りかたをするのか」といった、その住宅に住んでいるご本人にしか集められないデータがあります。
これを持って相談に行くのと、そうでないのとでは、全く「効率」が変わってきます。
もう少し具体的にいうと
などを、自分で観察した結果と、図面、それに写真を持って、建築専門家に相談にゆくと、原因を推測する際の非常に有効なてがかりになります。
他の欠陥についても同じようなことがありますが、雨漏りに関しても、意外に誤解されがちな事柄があり、それが、本当の欠陥の発見を遅らせている場合があります。
前のページで、雨漏りの原因は、つきつめれば、家の外側の屋根か壁のどこかに水の入る穴があいていることだ、とご説明しました。
ただ、その穴というのは、必ずしも目でみて簡単に見つけられる穴とは限りません。 ある実験データでは、0.2ミリの隙間があれば、毛細管現象で水が入るとされています。
いうまでもなく、普通、雨は上(空)から降ってくるのですが、風が強ければ斜めに、もっと強風になると、真横から壁に吹き付けます。さらに、いろいろな条件にもよりますが、壁に当った雨がさらに吹き上げられ、下から上に雨が壁にあたることもあります。
吹き降りのときだけ雨漏りが起こる原因としては、前のページで述べた建物の強度不足のほかに、普通の雨のときには水が入らない下向きの隙間から雨が侵入していることも考えられます。
亀裂など隙間があればもちろんですが、そのような亀裂がなくても、コンクリートも多少は水を通します。
平らな屋根(陸屋根−ろくやね−)の、鉄筋コンクリートの建物の屋上に、アスファルトや防水用のシートを敷き詰めるのはそのせいです。
先日、ある建築士さんの雨漏りの経路を確認する試験にお付き合いしたのですが、鉄骨造の建物の屋上のあたりの壁に、ホースで水を流し始めてから、その下の階の壁の内側に水が滲み出すまでに30分かかりました。
それも、内壁のボードをはずしてあったために、この程度の時間で済んだので、もし、内壁のボードがあったとすれば、さらに窓枠の上などから屋内に水が滲み出すまでにには、おそらく1時間はかかったのではないかと思います。
ときどき、ご自分で調査するために、屋根からバケツで水を流したりする方がいますが、その程度の実験で、雨の入り口を捜すのは難しいのです。
外壁や屋根から入った雨水は、そのまますぐに屋内にしみ出すとは限りません。
梁を伝わって、横方向に流れて別の部屋にしみ出すこともありますし、2階建ての家の屋根と壁の隙間から入った水が、壁の中を流れ落ちて、1階の窓のところから流れ出ることもあります。
また、表面脹力の影響で、部材の裏側など意外なところに水がまわり込んでいることもあります。
雨水の入口を捜すときは、とくに、上の方や左右を幅広く観察する必要があります。
何分、事が事だけに、雨漏りについての、本当の一般人向けの本は、みあたりませんでした。
それでも、最初の1冊は、エレメントブックスと銘打っているだけに、多少根気は要りますが、理解することができると思います。