以下、「雨漏りは欠陥じゃない!?」http://www.path.ne.jp/baumdorf/knowhow/amamori3.htmより抜粋転記。
実は、雨漏りを引き起こしている本当を欠陥を探し出すのは、建築の専門家にとっても、頭の痛い作業のようです。
前のページに書きましたように、雨漏りの原因はそれこそヤマのようにありうるので、その中から、いろいろなデータや実験の結果を参考に、徐々に絞り込んでゆく必要があるからです。
建築の専門家さんたちは、多かれ少なかれ、過去の経験から、ある程度、それを絞り込むノウハウを持ってはいますが、それでも、何分、建物というのは、1棟、1棟それぞれに違うだけに、常に経験がものをいうという保証はありません。
まして、被害者さんや、被害者さんから相談を受けた弁護士のような素人が、本当の欠陥を見つけ出すのは至難のわざといえます。
ただ、雨漏りには、必ず、それを引き起こしている本当の欠陥があるはずですし、その中には、大きな地震や巨大台風が来たときに、建物が崩壊(「潰れる」ことです)したり、倒壊(「倒れる」ことです)したりする大きな危険のある、いわば「重病」の場合がありますので、それだけは、チェックする必要がありますし、素人でも、いわば「黄信号」を見つけられる場合があります。
その「重病」というのは、建物の変形で、それには、大きくわけて、2つの種類があります。
「重病」といえる場合の一つは、建物やその一部が、すでに傾くなど変形してしまっている場合です。
壁材にせよ、屋根の材料にせよ、もともと、建物が水平であるべきところは水平な、垂直であるべきところは垂直な状態にあることを前提に取付けられているのですから、その取付けられている相手である、建物の骨組が変形して垂直、水平でなくなってきたら、あちらこちらに無理がかかり、雨水が入る隙間ができてもむしろ当たり前です。
その典型といえるのは、建物が基礎から不均等に沈下する、不同沈下で、例えば、「業者が直しに来ると、一時的には雨漏りが止るが、半年、1年経つとまた雨漏りが始まる」などという場合は、この可能性をまず疑う必要がある、典型例といえます。
なぜかといえば、このような場合は、以下のようなストーリが考えられるからです。
なお、このパターンの雨漏りは、基礎には問題がなくても、建物(上物)の強度が足りないため、変形している場合にも起こります。
たとえば、梁が細すぎてたわんでしまい、その外側のサイディングに隙間ができたり、モルタルの壁にひびが入ってしまったような場合が典型例ですが、よく起こるケースとしては、ベランダの変形があります。
たとえば、ベランダが強度不足で傾いたりゆがんだりすることによって、その表面に貼られていた防水材料が引っ張られて裂けたりはがれてしまい、そこから雨が入る、という場合も結構多いのです。
もう一つは、建物が風などの力で一時的に変形する場合です。
建物は、どんな建物でも、ちょっと目には、非常に丈夫に見えますが、それは、人間の力と比べての話しで、地震や風などの自然の力に比べれば、意外に弱いものであることは、兵庫県南部地震や、アメリカのハリケーンのニュースを思い出せば納得できると思います。
そのため、どんなに丈夫に見える建物でも、それに強い風があたれば、程度が大きいか小さいかは別として、微妙に揺れているのです。
そして、その場合、建物の強度が低ければ低いほど、大きく変形しますので、そのときに部材の間に普段はない隙間が生じ、その隙間から雨が入るといったことが起こります。
このような雨漏りの典型は、「普段は、相当の大雨でも漏らないが、吹き降りの雨のときはさほどの雨でないのに漏る」といった場合です。
また、これに近い例として、モルタルなど「塗る」タイプの壁に多いのですが、風によって建物が繰り返し変形するために、壁に亀裂が入って、そこから雨水が入り込むことがあります。
これらの原因としては、筋かいなどの建物に中の「斜めの部材」が図面通り入っていなかったり、そもそも、図面の段階から筋かいなどの量が足りないといったことが考えられますのでまず、そちらを調べる必要があります。ことに、「大した地震や風でもないのにやたらに家が揺れる」といった症状がある場合は、真っ先に、この可能性を疑う必要があります。
今までのべた「重病」のケースのどれにもあたらない場合には、雨漏りを引き起こす本当の欠陥捜しは、専門家に依頼するほかありません*1。
ただ、専門家に委ねるといっても、必要なデータを集めるなど、次のページでご説明するようなそれなりのコツがあります。