以下、「雨漏りは欠陥じゃない!?」http://www.path.ne.jp/baumdorf/knowhow/amamori1.htmより抜粋転記。
日頃、私たちの会の例会や電話による相談で、お話を聞く機会の多い欠陥現象は、
の3つ。
これが、落語にたとえれば「三題噺」、病気にたとえれば「三大症候例」ということになります。
もともと、人が住居というものを持ちはじめた理由は、気候や環境の変化から身を守るためと考えられますし、とくに、降雨量が多く、湿度も高い日本の場合は、「雨露をしのぐ」という言葉が象徴しているように、雨に代表される外部からの水の浸入を防ぐということが住居に要求される基本的な機能の一つといってよいでしょう。
したがって、普通の発想をすれば、その答えは
雨が漏る
→「雨露をしのぐ」ことができない
→住居としての基本的機能が欠けている
∴雨が漏る家には欠陥がある
ということに、とりあえずはなるわけです。
ところで、古代ローマ時代から、建築に必要な三要素は「強・用・美」であるといわれており、このうち、
強 とは 建物の強度 用 とは 建物の機能性 美 とは 建物の美観
を指しているのですが、この中で優先順位を付ければ、誰が考えても、というのが言い過ぎとしても、少なくとも、法律の世界のモノサシからみれば、
第1順位は 強 第2順位は 用 第3順位は 美
ということになります。
雨漏りを、この3分類にあてはめて考えると、とかく、それは第2順位の「用」の問題でしかなく、直接に人の生命や身体の安全に影響する「強」の要素とは関係がないように考えがちです。
しかし、実は、この雨漏りは、第1順位の「強」の問題にも大きな影響があるのです。
建物の木材が湿気った(含水率30〜50%程度)状態にあると、まず例外なく腐朽は起こると考えられていますし、ヤマトシロアリが繁殖する危険が生ずることにもなるわけです。
そして、その木材が、土台、柱、梁などの構造部材、つまり建物の強度に関係がある部材であれば、先ほど述べた第1の要素、つまり「強」にとって致命的ともいえる影響を及ぼすことになります。
しかし、実験の結果、通常の環境では、木造建物の部材である木材が上に述べたような湿気った状態にはならないことが確かめられていて、逆に、このような状態になるのは
の場合に限られるといってよいのです。
雨漏りが、先ほどの3要素の第1の「強」に影響するというのは、このような理由からなのです。
一方、結露の大きな原因の一つとしては、壁や天井裏の断熱の不良、より具体的には、木造家屋の場合は、壁や天井裏の断熱材がなかったり、あっても、施工が不適当な場合をあげることができます。
断熱材がないとか断熱不良というと、往々にして「夏暑くて、冬寒い」とか「冷暖房費がかさむ」などといった程度の「用」レベルの欠陥のように思いがちですが、木造建物の場合は、すでに述べたことからわかるように、つきつめれば「強」の範疇の問題なのです。
ここで気をつけなければならないことは、見える雨漏りのほかに、見えない雨漏りがあること、つまり、建物の外壁の内側に入り込んだが、部屋の中にはしみだして来ない水があるということです。
部屋の中に雨がしみだすことは、たしかに不愉快なことですし、壁紙や天井にしみが残って美観上の問題が生ずることは確かですが、屋内にしみだした水は、人が拭き取ることも多いですし、通風のある広い場所にしみだした水は、早晩乾いてしまいますので、建物の強度に影響を及ぼすようなダメージが生ずることは少ないのです。
これに対し人の目に付かない壁の内側に入り込んだまま、そこにとどまっている水は、人に気付かれることがないので拭き取られることもありませんし、通風が悪い狭い場所にありますのでなかなか蒸発せず、さらに蒸発した場合も周囲の木材に吸収されたりして、長い間、木材を湿った状態のままにしてしまうからです。