松本良多 ー ポストデジタル論


ポストデジタル(ぽすとでじたる) とは分子生命学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーをはじめとする有機物的多様体が媒体となったアクター・ネットワークの相互外在性がカタリストとなる現代社会における分子状諸微粒子の生成変化の概念である。

ポストデジタルは音響への課題から音楽家 キム・カスコーンにより導かれたグリッチ理論により提唱され、社会学者 松本良多により複合的な社会にアダプトする現象学として明確に定義された。 ポストデジタル・ソサイティは視覚、触覚、聴覚、および運動感覚のメディア体験、仮想と拡張現実の現動化、オリジンとなるノードとグローバル・ネットワークのキャタリスト、インディビジュアルとモナドとしてのコミュニティの対話との微分的な関係、およびウェブ対応のメディアにおいてアーティストの役割が再定義されたインターデシプリナリー性を包含する、コミュニケーション、交流、コラボレーションを通じてつくられた生成と流動の超越論的唯物論である。

資本主義社会はデジタル・パラダイムを、多様体としてのメディアをそのつど反復し地層化する数字列からメッセージを生成するマトリクスの内在性へと微分化させた。 以後、メディアは自らアクタントとしての存在者との関係を制御し、ハイパーテキストの内在的原理からなるメッセージが生物学的インタラクションによって流動し変化しつづけるプロテウス的なプラットフォームへと変容する。

ポストヒューマニズムと同様に、松本良多によれば複雑系、バーチャリティ、分子生命学、ナノテクノロジーにより形成、再生されたインターラクティブな社会が現在から未来への射程としてポストデジタルを構成する。 具現化されたスタック・コンピュテーションと複合現実との間の触媒によるトポロジカルなメタ作用を通してのデジタル技術の内在的平面化とバイオジェネシス・プロセスに取り組む認識論として松本良多はポストデジタルをとらえている。

松本良多は東京出身の建築家、社会学者、ニューメディア アーティスト、ライブコーダー、インダストリアルデザイナー。米リンクトインに選ばれた最も重要なイノベイター、インフルエンサーとして知られ、キム・カスコーン、ジョージオ・アガンベンとともにポストデジタル理論の名付け親である。プリマス大学トランスアート・インスティテュートの共同創立者として知られる。

10代を香港とマンハッタンで過ごした後、ロンドンとグラスゴーの美術学校にて90年代に建築と哲学を学び、2007年ペンシルベニア大学大学院芸術学部建築学科を首席で卒業する。米国ではニューマテリアリズムの哲学者、マニュエル・デランダに師事する。

90年代より黒川紀章、MITメディアラボ、インダストリアル・ミュージックの先駆者、ピーター・クリストファーソンと協働し、ベトナムバクマイ病院、九州大学センター地区のマスタープランをはじめ多数の建築、都市計画、アートのプロジェクトを手掛ける。ポーランドのシレジア大学の講師を経て、2016年よりプリマス大学 Transart Instituteの客員教授に就任、後はクーパー・ユニオン、プラット・インスティテュート、コーネル大学、ニューセンター・オブ・リサーチ・アンド・プラクティス シアトル校にて教鞭をとっている。

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