ウィルウェイ


クリーンエネルギー(日本における動き)

先進各国の目標に比較して、日本での普及目標量は少なく、長年世界一を保ってきた太陽光発電の年間導入量でもドイツに抜かれるなど、政策の弱さが指摘されてきた。

2008年1月に発表されたクールアース推進構想などを受けて、日本でも温暖化ガスの排出量削減の動きが加速している。2008年6月には福田ビジョンが発表され、2030年までに電力の半分以上を再生可能エネルギーと原子力で供給する目標が示された。「太陽光、風力、水力、バイオマス、未利用のエネルギー」が挙げられている。特に太陽光発電の導入量を40倍に引き上げ、地方におけるバイオマスエネルギーの開発を促進するなどの内容が示されている。これを受けて経済産業省などに於いて普及促進政策の検討が進められた[116]。太陽光発電の普及ペースの急減に対応し、2009年1月、経産省は緊急提言に沿って設備費用の約1割に相当する補助金を開始した(太陽光発電#日本の状況参照)。また2009年2月には環境省によって再生可能エネルギーの普及促進による便益の試算結果が発表された。2030年までに累計25兆円必要だが、累計の経済効果は2020年までに29〜30兆円以上、2030年までに58兆〜64兆円以上になり、また2020年には60万人の雇用を生み出すと推計されている。普及政策としては固定価格買い取り制度の採用を提案した。

このうち太陽光発電については2009年2月24日、経産省より初期投資の回収年数を10年程度に短縮する助成制度の強化が発表された。当初は2010年からの実施予定であったが、経済危機対策、エネルギー政策、地球温暖化対策の観点から前倒しされ、2009年11月1日から開始された。開始時の余剰電力の買い取り価格は1キロワット時あたり48円、エネファームやエコウィルなどの自家発電装置を他に併設して居る場合は39円であり、設置後10年間は同じ価格で買い取られることとなった。後から新規に設置された設備の買い取り価格は、年々引き下げられている。補助金の効果もあり、日本の太陽電池生産量は拡大を再開し、2010年度は関連産業の規模が1兆円を突破した。関連雇用も、4万人を超えたと見られている。

2009年末からは、全量買い取りの導入、および対象を太陽光発電以外にも拡大することが検討されており、検討状況は経産省の専用サイトで公開されている[130]。こうした拡大によって再生可能エネルギーの普及促進が期待されている。各方面の関係者からのヒアリング等を経て、法案(再生可能エネルギー特別措置法案、再生可能エネルギー買い取り法案)は2011年4月5日に国会に提出され、各党による協議・修正を経て、同年8月23・26日、衆参両議院での全会一致の賛成をもって成立した。買取条件などの制度の詳細はまだ決まっておらず、地域経済振興や産業活性化への期待が集まる一方、電力料金の増加への不満、電力会社による受け入れ拒否の可能性に対する不安の声等も聞かれる。一方で制度の導入をにらみ、これまで対象から漏れていた再生可能エネルギー源の事業化や、新たな市場参入、関連投資の拡大等の動きも見られる。買い取り価格の決定時期は、2012年の年明け早々が予定されている。 なお、2014年6月に経済産業省資源エネルギー庁は、日本の再生可能エネルギーの現状と予測を発表した。http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/001_03_00.pdf

2014年8月、沖縄電力は再生可能エネルギーの供給が電力需要を超える時期が見込まれるため発電設備や送電網に停電などのトラブルを引き起こすとして再生可能エネルギーの新規受入れの中断を発表した。9月25日は九州電力が、30日には四国電力・北海道電力・東北電力の3社が相次いで新規受入れ中断を発表し、再生可能エネルギー事業への新規参入に対して新興電力関連企業に大きな打撃を与えた。経済産業省は政府が推進してきた再生可能エネルギー導入方針に基づく固定価格買い取り制度(FIT)の見通しと設計が甘かったとして制度の抜本的見直しに着手。2014年内に方向性をまとめる予定で、大規模太陽光発電の新規事業者の認定を一時的に停止し、あわせてすでに認定を受けた太陽光発電事業者の新たな発電設備の設置や増設も凍結し、太陽光発電に集中している再生可能エネルギーの供給量を制限するとしている[146]。