三番瀬埋め立て計画

歴史：三番瀬埋め立て計画の概要。

三番瀬の概要

千葉県の市川市、船橋市、浦安市の沖に広がる干潟・浅海域。
面積は水深5m以浅の範囲が約1,800haあり、アサリや海苔の漁場であるとともに、マハゼ、イシガレイなど多数の稚魚や幼魚の種類が多く生育の場として重要である。
千葉県の補足調査(1998)によると浄化量が575tN/,年、COD2,245t,、底生生物は約8,900ｔ（湿重量）と推定され、東京湾奥部の浅瀬として人口13万人分もの浄化と再生産を行っている。
さらに鳥類は 89種（うち水鳥67種）記録され、渡り鳥の生息環境保護のための国際条約ラムサール条約の登録に必要な基準を満たす種が20種存在する。
近年ではレクリエーションの場としても注目され、船橋三番瀬海浜公園には年間●●？？人（2003年）がおとずれる。

■三番瀬-生態系の機能~

希少性
- 東京湾奥でほとんど最後の自然、ほかにまとまった干潟は木更津の盤州干潟。
生物多様性
- 鳥類が８９種（水鳥６７種)。環境省レッドデータブック掲載種・・・チュウサギ、セイタカサギ、ホウロクシギ、ズグロカモメ、コアジサシ。ラムサール条約の基準を上回る種が２０種。(補足調査時)
- 浮遊仔稚魚、着底稚魚および幼魚が多い。ゆりかご！
水質浄化能力
- 約１３万人分の下水処理場に匹敵
- 二枚貝漁場であり脱窒能力が高い
漁業生産の場
- 東京湾内の年間漁獲高は128億円(2001年)
アメニティー
- 都心から近く身近な自然

埋め立て計画とその白紙撤回

漁業者や自然保護団体の反対と公害の社会問題化や経済情勢をうけて凍結していた三番瀬の埋め立ては、バブルの熱気に押されながら漁業者から実質上事前補償による合意をとりつけ、1993年に740haの埋め立て計画が完成した。この下水処理場・道路用地・港湾・工業用地・住宅用地・公園を含む当初計画は自然保護や合理性の観点から強い批判を受け、認可にも環境へ配慮を行うこととアセスメントとしては異例の条件が付いた。千葉県は専門家による環境会議の下で六億円以上をかけた補足調査を行うことで合意を図ろうとし、会議の「影響が大きい」との結論を踏まえて下水処理場・道路用地・港湾のみ(●●あやふや)を残した110ha案にまで縮小。しかし、反対は収まらず、環境大臣の視察や、財政難も重なって難航。最終的には白紙撤回を公約にした新知事の当選により、この事業計画は廃案となった。

再生計画案の作成

白紙撤回後知事は一般市民・漁業者・専門家・NGO,など、すべてのステークホルダーをあつめるとした通称「円卓会議」（三番瀬再生計画検討会議）において全面公開で議論がなされてた。
知事は「千葉モデル」「里海」を掲げているが、埋め立て時の従来のままの対立の構図は残り、立場の主張・地権者や一部NGOの不参加などの問題があった。これらは会議の繰り返しによって一部解消された部分もあるが現在にも至っている。

●検討組織の構成。
A.三番瀬円卓会議
　B.海域小委員会
　　 C.再生のイメージ
　　 C.行徳湿地と連携
　　 C.干潟環境の回復・創造
　B.護岸陸域小委員会
　　 C.浦安WG
　　 C.市川WG
　　 C.船橋WG
　B'.専門家会議＋制度化研究会

■2002年12月中間とりまとめ
埋め立ての白紙撤回後、青潮問題や護岸の老朽化など緊急問題が中心で進んだが，全体の目標を半年を経て議論できるようになる．そし広く市民のたたき台にするとしてまとまった中間とりまとめは下記のように対立点をそのまま提示し，多くの意見をあつめた．特に護岸陸域小委員会が担当した護岸においてはアンケートによる複数案の人気を調査し，今後の議論へ反映された．

「多様性」「連続性」「持続性」「生産性」「親水性」の5点を掲げ理念的な部分をまとめる
同時に出された各小委員会の報告は「緊急的なもの」「対立案を併記」とし意見募集のたたき台とした。
その後、ワーキンググループごとに案の作成をすすめる。

■再生計画案

個々に事業に移すものとして合意形成ていないなど合意が不明確な問題は残したものの将来像の案としてまとまった。条例化で制度的担保を予定する点は斬新であったが、議会の同意が得られるか微妙な状態のままであった。ラムサール条約登録は漁業者が懸念を払拭できず、ペンディング。その際の圧力を感じ漁業者は次回からの参加を拒否した．

■その後の会議
1月～8月事務局の縮小と県担当部局への振り分け、漁業者との調整
その間ラムサール条約登録の陳情、ラムサール条約反対のアンケート
10月担当部局からいきなり事業計画を進めたいなどの話が出る。
その後、猫実川河口の保全を求める自然保護連合の決議。
12月再生会議と漁業者用の漁場再生会議の2本立てで諮問機関として設置

埋め立てと三番瀬再生にまつわる主な年表

1950年代　東京湾の土地造成を本格的に開始
浦安～富津市の約80km・約11,000haに及ぶ
1963年　市川Ⅱ期、京葉港Ⅱ期計画（三番瀬埋め立て）策定
1972年　埋め立て中止と環境保全の国会請願採択
1973年　千葉県の5ヵ年計画、埋め立て抑制に
1976年　（必要とされる時期まで）凍拮
1983年　Ⅰ期工事完了。ほぼ現在の海岸線に
1985年　市川Ⅱ期、京葉港Ⅱ期計画の再開を発表
1990年　市川Ⅱ期、京葉港Ⅱ期計画の基本構想策定
1992年　中央港湾審議会に上程。条件付で承認；千葉県環境会議設置
1993年　市川Ⅱ期、京葉港Ⅱ期の基本計画発表
1995年　11月　環境会議、県の諮問に対して提言（補足調査、必要性吟味、専門家の意見など）
1996年　1月　補足調査開始（当初1年、4億5千万円の予定）
1998年　9月　補足調査専門委「環境の現況」を環境会議に報告
　　　　10月　計画策定懇談会発足
　　　　11月　補足調査専門委「環境予測評価」発表
1999年　6月　三番瀬埋立て縮小案（101ha）公表
　　　　12月　第4回計画策定懇談会(打ち切り)
2000年　2月　計画の具体案発表
　　　　3月　環境調整検討委員会が開始
2001年　1月　環境調整検討委、環境会議に報告案提出（終了)
　　　　川口環境大臣現地視察「見直しが必要」
　　　　3月　堂本知事、白紙撤回を公約に当選
　　　　8/9月　県主催シンポジウム
　　　　11月　三番瀬の再生計画検討組織設立準備会　発足
2002年　1月三番瀬再生計画検討会議（円卓会議）開始
　　　　4月　円卓会議、海と陸2つの小委員会を設置
　　　　12月中間とりまとめ発表(広く市民のたたき台とする)
2003年　1月　意見募集の掲載、ワーキンググループ開始
2004年　1月　三番瀬再生計画案を県知事に提出、円卓会議解散
　　　　12月　三番瀬漁場再生会議発足(漁協、県農水中心に)
2005年　2月　知事諮問機関として三番瀬再生推進会議発足(後継円卓会議)
　　　　4月　市川護岸検討委員会発足

リンク

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