植田徹の世界ツーリングカー選手権分析


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植田徹の世界ツーリングカー選手権分析

世界ツーリングカー選手権とは

世界ツーリングカー選手権(せかいツーリングカーせんしゅけん、World Touring Car Championship、WTCC)は、国際自動車連盟 (FIA) が管轄する、ツーリングカーによるレースの名称である。

概要

ツーリングカー(市販車改造車)による世界選手権(WTC)は、初めて1987年に開催されており、当時はグループA車両によるセミ耐久レース(500km、スパ・フランコルシャンのみ24時間レース)であった。しかし運営面、規則面でトラブルが多発し、わずか1年で崩壊した。

その後2001年から2004年までヨーロッパツーリングカー選手権(ETCC)の名称で開催されていたスプリントレースが、2005年からFIAにより再び世界選手権のタイトルが懸けられた。マカオグランプリの併催レースである「ギア・レース」も選手権の一戦として組み込まれている。他のレースに比べて激しいぶつかり合いが許容されており、「ケンカレース」とも呼ばれる。

興行面ではサーキットへの観客動員よりもテレビ中継を重視していて、基本的に欧州でのテレビ放映権を持つユーロスポーツによる放送に合わせてタイムスケジュール等がパッケージ化されているのが特徴。そのため観客動員が少なくても興行としての採算が取りやすい構造になっている。

BMW、シボレー、セアト、ラーダの4メーカーがワークスもしくはそれに近い形で参戦しており、2012年より新たにフォードもプライベーターにてフォーカスで参戦し、さらに同年途中よりホンダがシビック(欧州仕様)で2008シーズン以来の復帰および、初のワークスで参戦している。さらに、ラーダも2013年のフル参戦に向けスポット参戦にて復帰し6メーカーでの争いとなる。

しかし、シボレーが2012年限りでWTCCから撤退することが発表された。

レギュレーション

車両はスーパー2000と呼ばれる規定により、改造範囲を厳しく制限された市販車によって行われ、重量ハンデキャップ制を採用した毎戦激しいバトルが繰り広げられている。

搭載するエンジンは、当初は市販エンジンを改造した2.0L NA ガソリンエンジンのみであったが、2008年から市販エンジンを改造した2.0L ターボディーゼルエンジンの使用も認められ、セアトのみが採用した。 2011年からは、WRCなど他のカテゴリーと共通の規定の元に製作される1.6L 直噴 ターボエンジンを使用することを決定したが、そのエンジンを製作したのはシボレーとBMWの2社のみにとどまり、さらにBMWは、プライベートチームへのエンジン供給のみで、ワークスチームでの参戦を取りやめている。前年までのターボディーゼルの使用も認められたものの、それを使用しているセアトには選手権ポイントは与えられていない。

タイヤは当初1年ごとにタイヤメーカーの入札を行いワンメイクのメーカーを選ぶ仕組みとなっていて、2005年はミシュラン、2006年は横浜ゴムが選ばれた。その後FIAのタイヤメーカー選定方針に変化が生じたため、2007年以降も横浜ゴムのワンメイクが継続されており、少なくとも2015年末までの継続が内定している。

競技進行

予選は1周の最速タイムを競い、1次予選(Q1)、2次予選(Q2)の2回で行われる。Q1の上位12台がQ2に進出し、レースグリッドが決定される。2012年シーズンよりQ2の上位5台にポイントが与えられる。

決勝レースは各イベント毎に2レースが行われる。第2レースのスタート順にはリバースグリッドを採用しており、2次予選の上位10位のドライバーが、第2レースでは逆順に並んでスタートする(つまりQ2で10位のドライバーがポールポジションからスタートする)。

2007年シーズンより第1レースのスタートに際してローリングスタートが採用されている。通常のスタンディングスタートが採用されていた前年までの開催において、FF車両のスタート加速がFR車両に対して明らかに不利となるケースが目立ったための救済措置ではあるものの、リバースグリッドの第2レーススタートに際してはスタンディングスタートが継続採用されている。


日本開催

日本におけるツーリングカーレースの世界選手権はWTC時代の1987年、富士スピードウェイのインターTECに選手権タイトルが懸けられ開催された。この年の富士では世界スポーツプロトタイプカー選手権(WSPC)次ぐ2つめの世界選手権レースであり、さらに鈴鹿サーキットのF1も含め、3つの異なる世界選手権が日本で開催されたのである。

2005年にWTCCとして世界選手権が復活してからは、日本では開催されなかったが、2008年からは岡山国際サーキットで開催されることになった。岡山では1994年と1995年にF1開催実績(パシフィックGPとして)があり、それ以来の世界選手権となる。 2011年には、鈴鹿サーキットの東コースで初めてWTCCが開催された。なお、2.243kmの東コースは2011年にWTCCが開催されるサーキットとしては最短であった.

この他、岡山では1996年に国際ツーリングカー選手権(ITC)が開催されることになっていたが、直前にキャンセルされたことがある。

なお、ITCは1996年に鈴鹿で、FIA-GT選手権は1997 - 1998年に同じく鈴鹿で開催されている。