ビルドはどのような要件を満たすべきか


ビルドが満たすべき要件

 ビルドは、以下の要件を満たしていなければなりません。

  • [1] リリースされる範囲が明確であること
  • [2] ビルド番号が付加されていること
  • [3] リリースノートが添付されていること
  • [4] インストーラが添付されていること
  • [5] ゴールが設定されていること

 このビルドに添付されたリリースノートにビルド番号が書いてあるだけでは、ビルド番号が付加されているとはいえません。最初のビルドからビルド番号をリソースという形でプログラム中に埋め込んでおき、これを確認する手段を用意しておくことを強くお勧めします。    例えば、コマンドラインで動作するプログラムであれば、ビルド番号を表示する-versionオプションを用意しておくとか、Windowsアプリケーションならバージョン情報ダイアログ(aboutbox)を用意するといったことです。サーバサイドアプリケーションであれば、このビルド番号をクライアント側からでも確認する手段があるとなおよいでしょう。QAは必ずビルド番号を確認してからテストを実施するようにします。

リリースノート

  • ◇ 製品名
  • ◇ ビルド番号
  • ◇ ソースコード管理ツールに打ったブランチ、タグ(ラベル)などの名前
  • ◇ リリース場所(ファイルサーバ名やディレクトリの位置など)
  • ◇ インストール手順
  • ◇ 変更点、新機能
  • ◇ 制限事項
  • ◇ その他 (このビルドに含まれるモジュール、ファイルの一覧など  ソフトウェア開発に際しては、さまざまなドキュメントを書く機会がありますが、どんなドキュメントを書くときでも、そのドキュメントの対象読者と目的を意識して記述する必要があります。weekly buildに添付するリリースノートの対象読者はQAで、この目的はQAが効率よくテストを行い、品質の良い不具合報告書を記述できるようにすることです。

 QAは、新しいビルドが出るたびに、古いビルドをアンインストールして、新しいビルドをインストール(デプロイ)し直さなければなりません。また、どこをテストすべきで、どこをテストすべきでないかを知っておかなければ、テストの作業に着手できません。リリースノートは、QAの作業が滞りなく行えるようにするためのインプットを提供する文書であることが、お分かりいただけると思います。

インストーラが添付されていること

顧客にリリースするのと同様の体裁を整えるべきです。というのは、ユーザーが正しくソフトウェアをインストール(デプロイ)できるかどうかも、QAによるテストの対象とすべきだからです。そうでなければ、ウォーターフォールモデルでいうところの「結合」が、正しく行われているとはいえません。また、正しい手順でインストールされたソフトウェアをテストするのでなければ、品質の悪い不具合報告書が記述されてしまうことにもなります

ゴールが設定されていること

どこまでの機能を実現するか、ということが決められていなければ、QAは何をテストすればいいのか分かりません。