その“ソリューション”は本物か? / 信頼できる医師とは



その“ソリューション”は本物か? / 信頼できる医師とは

患者を問診し症状を聞く その症状を引き起こす可能性のある病気を類推する 類推した病気が引き起こすほかの症状が出ていないか、質問したり触診する 必要があればレントゲンを撮ったり、検査したりして病気を特定する 特定した病気そのもの治療と、病気によって引き起こされる症状の緩和を行う

信頼できる医師とそうではない医師との差は、「病気の原因を特定し、根本的な治療を行うこと」と「対症療法的な治療を行うこと」の差といえます。医師と患者の関係では、対症療法は“ソリューション”というには明らかに違和感があるにもかかわらず、IT分野のソリューションに関しては対症療法的なケースも多く存在するのではないでしょうか。

 「信頼できる医者」と、非常に難易度の高い手術をこなせる「腕の立つ医者」とは必ずしも一致しません。治療に特殊なスキルを必要とするケースはそれほど多くはなく、信頼できる医者の重要なファクターは症状の原因となっている病気を特定することといえます。信頼できる医師とは「見立ての良い医者」――すなわち「問題発見能力のある医者」といい換えることができそうです。

 先ほどAさんが話していた「顧客はわがままで、システム開発の途中でいっていることがころころ変わる。仕様を決める際にはいっていなかったことで、仕様変更が必要になることが多々ある」についても問題発見能力が大きく影響しています。

 顧客自身が問題の根本的な原因を特定していない場合、ソリューションSEであるAさんに症状を伝えることになります。一生懸命に顧客の要望を聞きシステムを開発していたつもりが、実は顧客の訴える症状に対処するにとどまっていたのかもしれません。