その“ソリューション”は本物か? / 形が見えてこそ具体的なイメージが浮かぶ



その“ソリューション”は本物か? / 形が見えてこそ具体的なイメージが浮かぶ

 ソリューション提供やシステム開発は「カスタムメイド商品」といえます。工程の初期には形が見えず、顧客とSE間の意思伝達とその確認作業のみが商品(ソリューション)の完成イメージとなります。そのため顧客は仕様打ち合わせや仕様書作成の段階では、自分たちが購入する商品の完成イメージを作りきれていないことがあります。工程が進むにつれ、より具体的な商品が見えてくるに従い、自分のイメージと実際の商品のギャップに気付くことになります。もしくは商品の形が見えてくるに従って、それまでのイメージの間違いに気付いたり、新しいイメージが浮かんできたりすることもあるでしょう。

 このように顧客と提供者のイメージのズレが発生するような商品で身近な例として“理容室”があります。髪を切り始める前に理容師に要望を伝えていたはずなのに、カットが進むにつれ“うわ、思っていたより短い……”というような経験はありませんか。小心者の私はそれを口に出すことはなく、“しばらくすれば自然に伸びることだし、まぁいいか”と自分を納得させます。

 住宅の建築にも同様の問題があるそうです。設計図の段階では顧客側はイメージが完全ではなく、建築が進むにつれイメージが具体化してきたり、自分のイメージと建築中の家とのギャップに気が付くことがあります。そのため、「やはり壁紙は白ではなく薄いグリーンに変更してください」など、建築途中での施主の要望による仕様変更は日常的なことのようで、中には設計変更しなければならないような大きな変更要求になるケースもあるようです。設計時に間取りについて十分に検討したはずなのに、家が完成して住み始めてから動線の使い勝手の悪さに気が付くことも多いといいます。

 家を新築された経験のある方は、多かれ少なかれ似たような経験があるのではないでしょうか。「家は3度建てて初めて満足できる」といわれたりします。ソリューションも何度か失敗してからでないと満足できるものは導入できないのでしょうか。

 医師や建築のたとえ話で説明しましたが、ソリューション力とは問題発見能力に大きく依存し、問題を特定することができればその解決は8割が成功したといえます。ソリューション力を高めるには、問題発見能力を高めることがポイントとなるのです。