J.ラカン『精神分析の四基本概念』


J.ラカン『精神分析の四基本概念』

  • N々村君が大学院進学を目指しており、外国語でフランス語が必要であるということを聞きつけました、最近錆付きぎみの文照が提供する「強引にラカンを読む会」を開催します。
  • 本国でも版権の問題でもめているくらいですので、原文をアップして、という形式を取るのは気が引けます。そこで原文と翻訳のWordファイルを添付ファイルでアップしますので、それをダウンロードして頂いて、コメントは簡易掲示板に載せていただくという形式で行こうかと思います。しばらくは実験的にこのように進めていきます。
  • 翻訳した部分は、反転していますので、フォントの色を黒くすれば読むことができます。

  • 内容に関しても議論したいと思うのでが、ある程度の区切りまで行ってからの方がいいかな、と思いますので、こちらはしばらくお待ちください。

第1回

コメントしてみました

? (2005-05-05 10:10:56 (木))

 仏語は、あまり勉強してないし、最近全然読んでないしで、口を差し挟む資格はあまりないのですが、寂しい状態だったので、とりあえずコメントしてみます。あくまで私見ですので、間違っているものはご指摘ください。

  • 第0節(lacan1)
    • ‘L'élément de comique pur.’。「喜劇的なもの」だと定冠詞がつくはず(‘le comique’のように)。しかも‘pur’は形容詞であって副詞ではない。だから、この文の訳は「純粋喜劇の本質」のようなものになるはずです。
    • ‘la série de’。英語だと‘a series of’。「連続」というよりは「一連の」。
    • ‘seulement’は'aujourd'hui'ではなく、'indiquer'にかかっているのでは?
  • 第1節(lacan2)
    • ‘M.’は‘Monsieur’の略。
    • ‘Fernand’のフランス語読みは「フェルナン」。
    • ‘autoriser qn. à + inf.’で、「誰それが何々することを許可する」という意味になるので、この箇所は、「私はあなた方の前でこの主題についてここで話すのを許されている」というように翻訳すべきかと思います。
    • ‘de par...’には「…が原因で」「…に基づき」という意味がある。
    • ‘que s'adressait à des psychanalystes’は‘un seminaire’にかかっているのではないでしょうか?
    • したがって、この一文は、「私はあなた方の前でこの主題についてここで話すのを許されているのは、精神分析家たちに向けられたセミネールと呼ばれるものを行ってきたという風聞に基づいてのことです。」といった感じなります。
    • ‘Comme certains le savent’。「ご存知のように」は少し不正確。「ご存知の方もいらっしゃるでしょうが」ぐらいの意味かと。
    • ‘ce qu'on appelle une societe psychanalytique’の‘on’は一般に、「人」とわざわざ訳出しない方がよいとされています(日本語で「人」と訳出すると意味が強くなりすぎるから)。だから、「精神分析協会と呼ばれるもの」とか、「いわゆる精神分析協会」といった風に訳した方がよいと思います。
    • ‘precisement’は「特に」よりは、「まさにその」とした方が分かりやすいかと。
    • ‘pour remplir ailleurs cette mème fonction’の訳は「のがよい」がどこから来ているのか分かりません。単純に「この同じ役割を他の場所で果たすためには」(問題とされることがない)という訳でいいのではないでしょうか?
    • ‘qujourd'hui’は‘aujourd'hui’の誤植。
    • ‘fut l mein’は‘fut le mien’の誤植。
    • ‘comme une nouvelle étape’は「新しい段階であるかのように」より「新しい段階として」の方がよいように思います。
    • ‘qui me délègue ici devant vous’は「あなた方の前のここに私を代表として送る」。
    • ‘nobless’は‘noblesse’の誤植。
    • ‘M. Braudel, empéché,...’以下の一文の試訳。「ブローデル氏は、出席できませんが、今日私が彼に敬意を表する瞬間に居合わせることができないことに対して遺憾の意を私に述べていました。そして、この機会に、彼が、私が完全に沈黙に追いやられないように、結局のところスタイルと評判以外の何も彼には伝わっていなかった教育のために、私が置かれた欠如状況に備えたいと、そのせいで(その気高さ故に)思ってくれたところの、私が気高さと呼ぶものにも(敬意を表します)。」。すなわち、‘laquelle’は‘ce que j'appellerai la nobless’にかかり、‘avec’は、原因・理由の‘avec’と取ります。あるいは様態の‘avec’と取り、「気高く〜するところの」という意味と解釈してもよいかもしれません。‘ou j'etais’は、‘la situation de défaut’にかかり、‘la situation de défaut’というのは、‘fonction’を欠いている状態。要するに失業状態。正確には、誰にも教育できない状況のこと。
       以上が僕の解釈ですが、あまり自信はありません。
    • ‘il s'agit d'accueillir’を「受け入れることが討議される」というのは少し変なので、「受け入れることが問題である」とか「受け入れることに関することである」などとした方が無難かと。

       ところで、フランス語の勉強といえば、下のサイトを見つけました。
      ・新訳・星の王子さま
      http://www.tbs.co.jp/lepetitprince/
      「みんなでフランス語の「星の王子さま」を日本語に訳すプロジェクト」。