電源 - stillalive

今日の20件

counter: 83
today: 1
yesterday: 0
online: 1

発振回路 †

■ページ内リンク
1.発振回路とは
2.発振回路基本構成
3.発振回路基本動作原理
4.発振回路の重要事項
5.発振回路の測定上の注意事項

1.発振回路とは？ †

自立して交流電圧を発生し続ける回路のことです。
代表的なものは、振動子や、発振器を用いたものです。
振動子は単体では発振し続けることはできませんので、マイコン側に発振させる回路が内蔵されています。

発振は、発振条件さえ満たせばどんな回路でも発振回路に成り得ます。

たとえば負帰還をかけないオペアンプはどうでしょうか？

#ref(): File not found: "osc3_2.png" at page "電源"

・図3OPアンプ構成負帰還なし

この場合、VinN端子が不定ですので、ノイズ等により、Vout端子が発振する場合があります。

実際は、この発振条件を意図的に作り出すことになります。つまり設計的に安定して発振できるようにしなければなりません。
それが発振回路の本質なのです。

2.発振回路基本構成 †

回路上、発振回路を組む場合は、下記2つのデバイスを使用することがほとんどです。

1．振動子(Xtal,crystal)
文字通り水晶単体。これだけでは動作できない。発振条件を満たすように周辺回路を設計する必要がある。~

2. 発振器(Oscillator)
発振回路を内蔵したもの(単体で発振条件を満たす構造を持つ)。CMOS3.3V 等のロジック電圧で出力可能。~

2.発振器については、ほぼ通常のデジタルICと同じですので説明はせず、1.振動子について説明します。

■(1)基本構成
下記に発振回路を示します。
U1インバーターは、単に入力電圧の反対の電圧を出力するロジックICと考えてかまいません。
例えば入力Highなら出力Low、入力Lowなら出力Highです。
図4の赤線囲み内のデバイス、U1,X1,C1,C2すべてを1パッケージ化したものが発振器です。

#ref(): File not found: "osc4.png" at page "電源"

・図4発振回路基本構成

3.発振回路基本動作原理 †

下図U1の入力電圧Vinを0[V]とします。①→②→③のように動き始めます。

#ref(): File not found: "osc5.png" at page "電源"

・図5発振回路動作1

ここで、水晶振動子はマイナス抵抗を持つことが知られております。ここでは-1[kΩ]だとします。
すると下図6のように、X1に流れる電流は逆向きになります。

#ref(): File not found: "osc6.png" at page "電源"

・図6発振回路動作2

Ixtalの電流の向きが通常とは逆のため、Vinの電圧が上昇します。

#ref(): File not found: "osc6_1.png" at page "電源"

・図7発振回路動作3

VinがHighとなったので、出力Voutは反転し0[V]出力となります。

#ref(): File not found: "osc9.png" at page "電源"

・図8発振回路動作4

以降①~⑥を繰り返し、Voutは3.3[V],0[V]を順に繰り返し出力し続けますので、クロックを生成することができます。
ここで、Xtalが発振回路でより大きな値を持つマイナス抵抗（負性抵抗）と見えることが発振の安定度として重要です。

VinのHigh、Low変化に必要な電流が少なくて済む(発振時の必要電力が小さくて効率的)ためです。

従って発振の安定度を見たい場合は、下図9のようにVR1を挿入する方法があります。
VR1を少しずつ大きくしていくと、発振が止まります。

#ref(): File not found: "osc10_1.png" at page "電源"

・図9 発振回路直列抵抗R1追加

一般的に、Ri（振動子内部抵抗カタログ値）× 5 =<　VR1(発振がとまったときのVR1の値)　であればよい、
つまりカタログ値の5倍以上確保できる回路構成になっていればよいとされています。

4.発振回路の重要事項 †

発振回路を、設計、解析する上で特に重要なことを記述します。

■(1)負荷容量

上図4,5,6,7,8にもありましたが、C1,C2について説明します。
負荷容量と呼ばれるこのコンデンサC1,C2の容量は、発振の安定度と発振周波数の精度に重要な役割を果たしています。

詳細は省略しますが、下図10 中の式のように選定します。

#ref(): File not found: "osc11.png" at page "電源"

・図10 負荷容量

例えばLAN 25MHz等によく使用する大真空製振動子DSX321Gがあります。 http://www.kds.info/product/dsx321g/

カタログ上の負荷容量は、8,10,12[pF]が選べますが、ここでは10[pF]を選んだとします。浮遊容量Csは、基板上に存在する容量ですが、これを6[pF]とします。

すると、C1×C2/(C1+C2) + 6 = 10 [pF] となります。
ここでC1 = C2 = Cと置けば、 C/2 = 4 ですから　C= 8 [pF]　となります。
この値よりかけ離れていると、発振不具合の可能性が高くなります。

■(2)浮遊容量
浮遊容量Csは、どこにでもある容量で、導体2つが向かい合っていれば存在します。
基板は、層構成を持ちますから、層間でも持つことになります。（下図12参照）
多層基板ほど層間が狭くなるため、負荷容量は小さい定数となることが想定されます。
ですので、近年負荷容量としては、数[pF]～十数[pF]程度が妥当であり、47[pF],22[pF]等大きいものは、昔の定数をそのまま引き継いでいる（マッチングされていない）
可能性が高いです。

#ref(): File not found: "osc14.png" at page "電源"

・図12 基板層間レイアウト図

■(3)実装直後の発振安定性
振動子は、熱を加えて実装した直後は、パッケージと、基板との熱膨張係数の違いにより、パッケージが歪みます。
このため、内蔵水晶も歪み、共振周波数がずれるため、発振が不安定となります。
一般的には72時間は影響が残りますので、観測するタイミングによって、発振していたり、していなかったりということがあり得ます。

#ref(): File not found: "osc15_1.png" at page "電源"

・図13 振動子　基板実装直後の歪み

5.発振回路_測定上の注意 †

発振回路は絶妙なバランスにより、永続的に発振ができるようになっております。
前項目No4のように数pFを気にする世界ですので、精確にプロービングすることができません。

簡易的には、下図のようにできるだけ容量の小さいパッシブプローブを使用して観測することになります。

#ref(): File not found: "osc12_2.png" at page "電源"

・図14 発振波形観測方法一例

しかし、これでも、影響は避けられませんので、実際に発振していない波形がみえても、本当は発振している可能性があります。

今日の20件

counter: 83
today: 1
yesterday: 0
online: 1

電源

最新の20件

今日の20件

発振回路 †

1.発振回路とは？ †

2.発振回路基本構成 †

3.発振回路基本動作原理 †

4.発振回路の重要事項 †

5.発振回路_測定上の注意 †

最新の20件

今日の20件