電気電子設計/ADコンバーター,DAコンバーター

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ADコンバーター,DAコンバーター †

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1.ADコンバーターとは、DAコンバーターとは？
2.ADコンバータの原理
2-1.A部アナログフロントエンド
2-2.B部 ADコンバーターIC内部
2-3.C部マイコンI/F
2-4. A,B,C統合 ADコンバーター回路構成
3.DAコンバーターの動作原理
4.解析の方法

1.ADコンバーターとは？ †

①ADコンバーターとは、温度や、各種センサーからのアナログ入力値を、デジタルに変換するデバイスのこと。
②DAコンバーターとは、その逆で、デジタル値を入力してアナログ値を出力するもの。

自然界にあるものは、0,1のような、離散的な値を取るものはすくなく、連続した値をとるものが多いです。
例えば、温度がそうです。

そのままではデジタルにできないので、これをどのように検出するかを考えます。
ADコンバーターがわかればDAはその逆ですので、ADコンバーターを中心に説明します。

2.ADコンバーターの原理 †

前述したように、連続的に変化するアナログ値を、デジタル値に変換することを考えます。(下図1参照)

・図1 ADコンバーター基本構成

上図1で、被測定物は筐体内部温度です。
これをマイコンで値を読むことを考えます。

まずA部(アナログフロントエンドと呼称します)で、温度を電気信号へ変換する必要があります。

基板上では5[V]電圧があるのでこれを使います。0[V]～5[V]の範囲がよさそうです。
そしてB部ではその電気信号を適宜デジタル値に置き換えます。

C部では、AD変換ICと、マイコンが両方ともサポートしているI/Fであれば、同じ5[V]同士で通信が可能といえそうです。
ここには0[V]～5[V]相当のデジタル値(例えば0x0000～0xFFFF等)の信号が流れることになります。
0x は16進で記述しています、という意味です。
2進だと、0b0000000000000000～0b1111111111111111 の間です。10進だと0～65535 です。

ちなみに、たとえば0x1234は、せんニヒャクさんじゅうヨン、とは読めません。
0x1234は、10進で4660（よんせんロッピャクろくじゅう）ですので。

Ａ部(アナログフロントエンド) †

ではまずＡ部(アナログフロントエンド)から考えます。
温度はそのままでは、ＩＣが読めませんので電気信号に変換させる必要があります。

日常的に、温めたり、冷やしたりして出る不具合が良くあります。
これは基板に搭載されている素子（半導体や抵抗等の受動素子）が温度特性をもっているからに他なりません。
つまり、基板に搭載されている部品というものは、本来温度特性を持っているので、この中からなにか使えそうなものを探します。

例えばツェナーダイオードはどうでしょうか？(下図3)

・図3 ツェナーダイオード温度特性

いきなり温度を電圧に変換できます。
使えそうですが、電流を10mA固定というのは面倒です。
そもそも特性図をわざわざ作らなければいけないものを使う意味もありません。

それではトランジスタはどうでしょうか？
IC内部にも何万ゲートという数で使われていたりしますが...（下図4）

・図4トランジスタVbe温度特性

Vbeに温度特性があり、これを利用すると電圧に変換できます。
使えそうですが、電流を1A固定というのはやはり面倒です。
そもそも特性図をわざわざ作らなければいけないものを使う意味もありません。

それではチップ抵抗はどうでしょうか？(図5)

・図5 チップ抵抗温度特性

残念ながら100℃で1%しか違わないのでは、あまりにも変化がなさ過ぎて難しいです。

そこで、通常もっと温度に対する抵抗値変化の大きい素子"サーミスタ"を使うことになります。

今回はムラタ製のNCP**XH153**を使うことにします。(図6)

・図6 サーミスタ温度特性

さすがに専用素子なだけあって綺麗な特性をしています。

これをADコンバーターに接続しますが、電圧がでるようにするのにはどうしたらよいでしょうか？

電源を接続すればよさそうです。(図7)

・図7 Aアナログフロントエンド1

しかしこれでは、電圧が変化しません。
そこで次のようにします。

・図 8 Aアナログフロントエンド2 抵抗分圧

抵抗分圧すれば、TH1の値の変化に応じてAINへの入力電圧を変化させることができそうです。

しかし、AIN端子には対GNDで内部抵抗があります。(図9)

・図9 Aアナログフロントエンド3 抵抗分圧 AIN内部抵抗記述

ここで、緩衝(バッファ)となる素子を使います。
再々の登場ですが、オペアンプを入れます。入れ方は当然ボルテージフォロワ(バッファともいう)です。(図10)

・図10 Aアナログフロントエンド4 抵抗分圧 OPAMP追加

これで、TH1とAIN端子がハイインピーダンスにて分断されました。
それぞれ単独で分けて検討してよいことになります。

・図11 Aアナログフロントエンド5 抵抗分圧 OPAMP追加

さて電圧レベルをもう少し緻密に合わせたいときは、非反転増幅回路を追加するのはいかがでしょうか？(図12)

・図12 Aアナログフロントエンド6 抵抗分圧 OPAMP追加

それでは完成です。(図13)

・図13 Aアナログフロントエンド7 完成図

AINの直近にR4,C1を追加しましたが、これはローパスフィルタと呼ばれるもので、交流ノイズをここでGND側へ落とす役目があります。
AINにクリーンな抵抗分圧の信号を入れるためです。

またVrefを追加し、5[V]へ接続としました。
理由は後述します。

B部 ADコンバーターIC 内部) †

AD変換の原理にはさまざまなものがあり、ADコンバーターICを選定すると決まってしまいます。
内部構造を理解することはあまり重要ではないので、ここでは触れるだけにします。

・逐次比較型ADコンバーターこれは、ADコンバーターが内部リファレンス電圧の例えば1/2電圧と比較して、入力電圧がHighかLowかを判定し、
さらに残された1/2の領域の1/2電圧を比較...とすることを繰り返して入力を測定するものです。(図14) そしてこの1/2分割の大元の電源電圧としてVrefに入力した5[V]が使われます。

・図14 B ADコンバーターIC内部

図14では、5[V]を4回分割したため、5の1/2の1/2の1/2の1/2で、1/2^4 分割、つまり16分割となり、最少電圧幅が分解能と呼ばれるものです。
これ以上の精度では測定が不可能であることがわかると思います。

結局10bitでは0~1023、12bitでは0~4095、16bitでは0~65535分割です。
65535分割のとき、1bitが76.295uVとなります。(図15)
20digit分のずれは、わずか1.5259mVにしかすぎず、いかに精密かがわかると思います。

・図15 B ADコンバーターIC内部

また精度を決定する要素として、Vrefが重要であることがわかると思います。

C部マイコンI/F) †

ADコンバーターとマイコンとのI/Fは通常デジタルI/Fであり、双方を選定した瞬間決まってしまいます。
例えばSPI接続ならそれで結線するだけです。
設計としては、それで通信速度が間に合うか等考慮すべきことはあります。
またGNDプレーンを分ける都合上、配置も検討しなければなりません。
量産ではそれらがすべて確定しており、特にデジタル系で不具合を起こす可能性は稀ですので省略します。
ここではSPI接続としておきます。

A,B,C部統合 ADコンバーター回路構成) †

さて、完成図です。（下図16）

・図16 ADコンバーター回路構成

尚、ADコンバーターとマイコンのGNDを2種類に分けました。
DGNDとAGNDです。
これは主にデジタル系のノイズをアナログ側に回り込ませたくない場合に分けます。
これらが絶縁されている場合、オシロスコープでのプロービングはそれぞれ対応したGNDとする必要があります。
絶縁されていない場合、単純に機能確認なら問題ありませんが、精度を気にする場合はアナログ波形はAGNDでプロービングするようにしてください。

3.DAコンバータの動作原理 †

DAコンバーターに関しては、ADコンバーターの逆ですので、概略だけにします。

もっとも基本的な抵抗バイナリ方式というもので説明します。

・図17 DAコンバーター回路構成

図は、R-2Rラダー回路と呼ばれるものです。Rの値が10kΩの場合2Rはその2倍、つまり20kΩで構成するという意味です。
こうすることにより、図中の表にあるようにこの場合、2bitをアナログ値へ変換することができています。

なぜこうなるか検証します。
検証するに当たり、前提条件と求め方を下図18に示します。

・図18 DAコンバーター回路構成原理　前提条件

まずは、Vd1です。(図19)

・図19 DAコンバーター回路構成原理　Vd1寄与電圧

次に、Vd0です。(図20)

・図20 DAコンバーター回路構成原理　Vd0寄与電圧

最期にVd1---①,Vd0---②を足し合わせて完了です。(図21)

・図21 DAコンバーター回路構成原理　Aoutの値

尚Nbitへ拡張するには下記の通りです。(図22)

・図22 DAコンバーター回路構成原理　Aoutの値 Nbit拡張式

それでは完成系です。(図23)

・図23 DAコンバーター回路構成

ラダーへの接続がイメージしやすいように、マイコンとのI/Fはパラレルとしました。
しかし近年は少なくなってきています。
本数が嵩むと面積が必要だったり、絶縁するとき本数分のカプラが必要だったりしてコストが高くなくケースがあるためです。

解析の方法 †

量産時には、工程不良として機能しない、ということはまずなく、ほとんどが精度にかかる不具合になります。

主な誤差要因現象別。

①まったくでたらめな値が入出力される。
これは上位CPUとの通信ができていない可能性が大です。デジタル系を疑います。
きりのいい数字のときもそうです。
例えば、デジタル値で、65535,4095,1023等です。アナログ値では、0[V]、もしくはVrefの値等。
あるいは、素子のGNDピン浮き等の製造不良が考えられます。
(不定となると、オペアンプでは電源電圧付近か、0[V]に振り切れる現象があります。)

ADコンバーターで入力がない場合、0[V]ぴったりを検出することは極めて難しいです。

②そこそこ近い値がでるが、判定値外

まずVrefの入力電圧が正しいかどうかを見ます。
あとは、非反転増幅回路等のゲインに使用されている抵抗のばらつき等です。
他難解なケースとなります。

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