電源2 †
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1.スイッチングレギュレーターとは？ その種類 再掲
2.スイッチングレギュレーター動作原理
3.スイッチングレギュレーターの作成と検証
4.ダイオードの名称と役割について
5.スイッチングレギュレータ2種類の使い分け
1.スイッチングレギュレーターとは？ 再掲 †
スイッチングレギュレーターとは文字通り、スイッチをオンオフさせながら必要な電圧を取り出す回路のことです。
主に2あります。
前回引き続きですので番号も引き継ぎます。
2-1.ダイオード整流レギュレーター −−−−−�� 2-2.同期整流レギュレーター −−−−−−��
前回は2-2を先に説明しました。
今回は2-1を説明します。
まず、前々回のおさらいです。リニアレギュレーターの構成は下図のようでした。
・図1 リニアレギュレーター
この回路は常に平衡状態で電流が流れ続け、トランジスタVceで常に発熱が生じています。
そして次にスイッチングレギュレーターの構成です。
・図2スイッチングレギュレーター（同期整流）
前回説明したようなFETを２つ使用するものを同期整流と呼びます。
スイッチングのタイミングは特殊な電源ICや動作モードを除き、電源内の基準クロックと同じ(同期)しているからです。
今回は2-1を説明します。
2-1.ダイオード整流スイッチングレギュレーター動作原理 †
ダイオード整流の場合も、基本的には同期整流と同じです。
ですので今回は最終的な構成を先に提示し、説明します。
下図構成です。
・図3 ダイオード整流スイッチングレギュレーター
同期整流の２つのFETの内、下のFET(LowerGATE)をダイオードに置き換えたものです。
それではさっそく動作を見ていきます。
スイッチング素子が１つしかない構成を考えます。
下図はSW１、コンデンサC1を追加した状態です。
・図4 基本構成（ダイオード追加前） と出力
さて、ダイオードを入れました。（下図5）
出力は...変わりません。
なぜなら、入力電圧側にカソード、GND側にアノードで、逆方向だからです。
この場合、ダイオードには電流が流れません。
いれていないのと同じです。
・図5 基本構成（ダイオード追加後）出力変化
ともかく、前回同様コイルを入れてみます。（下図6）
・図6 基本構成（ダイオード,コイル追加後）出力変化
SW1オンのときはさほど変わりませんが、SW１オフのときの波形がより平坦になります。
これはなぜでしょうか？
もちろん入れたダイオードが関係します。
コイルは結局はバネだということを思い出してください。(下図7)
・図7 コイル+ダイオード と バネ+壁(固定)の動作比較
ダイオードは、電流の流れ道を作るために必要だったのです。
この点はバネと違いますが、動作はほぼ同じです。
電流をGNDからコイル、出力側へ回す役割をするため、転流ダイオードと呼びます。
なぜなら、"電圧を加える"というのは、電子eに力を加えていることに他ならないからです。
F = eV [N]: F[N] は、電荷eにVをかけたもの F = Ma [N]: F[N]は 質量Mに加速度aをかけたもの。加速度がaです。
抑える力(電圧)がなくなれば蓄えた磁気エネルギーを電流として放出するのがコイルです。
（バネは機械的な歪のエネルギーで蓄えています）
さて、
軽負荷のときはどうでしょうか？
同期整流とは違い、LGATEがありませんから電流を捨てられません。
そのときはSW1をオンせず、オフのままスキップさせて待つことで対応します。(下図8)
・図8 基本構成（ダイオード,コイル追加後）負荷変動出力変化
完成形を再度示します。(下図9)
・図9 非同期（ダイオード）整流コンバーター
3.スイッチングレギュレーターの作成と検証 †
それでは、今までの動作原理を元に、シミュレーション回路を作ります。
簡単のため、負荷変動はないものとしますが、スキップの動作をみるため、2.5[V]を少し超えさせます。
・図10 非同期スイッチングレギュレーターシミュレーション回路図
今までアナログ素子で構成していた箇所にあえてデジタル素子を入れてみました。
"AND1”,"D-FF1"がそれです。
デジタル素子を簡単に説明します。
まずANDです。(下図10-2)
入力が一致（ともにHigh）ならHighです。NANDはその時Lowです。
教科書的には論理積素子ですが、単純に"一致回路"と思えば簡単です。
・図10-2 AND素子説明
次にD-FF1です。これは、D型フリップフロップ(フリフロ)というものです。
入力データをクロック立ち上がりで出力します。そして次のクロック立ち上がりまで保持します。
・図10-3 D-FF1素子説明
このような同期回路は、図11中にも書きましたが、真理値表ではなく、タイミングチャートで考えてください。
実際デジタル回路で問題となる箇所は、"タイミング"に依存することが多いです。
この2つを組み合わせ、いつ来るかわからないオペアンプ出力を源発振と同期をとり、ANDを取って確実にパルスを消すようにしているのです。
さて、話をもとに戻します。
この回路を動かしてみた結果は下グラフの通りです。
緑：Vout出力です。およそ2.5[V]位になっているのがわかります。
青：UGATE FET1のゲート電圧です。
赤：LGATE FET2はないのでありません。
・図11非同期スイッチングレギュレーターシミュレーション結果グラフ
緑：Vout出力です。2.51~2.49[V] 0.02[V]ずれるとして誤差0.8%です。
前々回リニアレギュレーターの誤差が0.01%程度でしたので、原理的に精度が若干悪くなります。
青：UGATE FET1のゲート電圧がオンのとき、Vout出力は上昇しています。
オフのとき、なだらかに減少しているのがわかります。(下図12)
・図12非同期スイッチングレギュレーターシミュレーション結果グラフ
今回の新規要素ダイオードはどうでしょうか？
効果を確かめるため、D1の電流を観測します。(下図13)
緑：D1の電流(右軸mAが単位)
青：UGATE電圧
水色：VOUT
・図13非同期スイッチングレギュレーターシミュレーション結果グラフ2
青UGATEがオフした瞬間、緑D1電流がながれていることがわかります。
プラス側ということは、ダイオードの順方向に電流がながれていることを示します。
このようなレギュレーターを非同期整流DCDCコンバーターといいます。
解析のポイントとしては、入出力電圧が正常かどうかは当然確認します。
出力電圧が異常の場合、ゲート電圧を確認するとよいでしょう。
解析の場合は軽負荷の場合がほとんどだと思いますのでスキップされている場合も考慮してください。
尚、ゲートのオフ時間にL1P(D1カソード側)で発振波形が見えることがあります。（下図14,15）
緑：VOUT
青：UGATE電圧
赤：L1P電圧
・図14非同期スイッチングレギュレーター構成
・図15非同期スイッチングレギュレーターシミュレーション結果グラフ3
これは、SW1がオフ状態でこのラインをドライブする素子がいないため、フリー発振している波形です。
このときは、コイルとダイオード、他寄生容量等によってきまる共振条件で発振が見られるものです。
入出力波形、ゲート電圧に異常がない場合はこれは不良ではありません。
4.ダイオードの名称とその役割 †
今回追加したダイオードは、一般的に"転流ダイオード"と呼ばれるものですが、"フライホイールダイオード"と呼ばれることもあります。
フライホイールとは、回転する円盤に運動エネルギーを蓄えるものです。
突発的な負荷変動にエンジンでは間に合わない(アクセルを踏みに行くまででも相当タイムラグがあります)ため、このエネルギーを消費させます。(下図16)
・図16フライホイール概略図
エネルギー供給源が間に合わないときの補助エネルギー源という意味においてまったく同じ機能を果たしています。
5.スイッチングレギュレーター2種類の使い分け †
これでスイッチングレギュレーター2種類を学びました。
どちらをどのようなときに使用するかですが、1長1短がありますのでそれぞれ使い分けます。
�＼催戮箸靴討脇唄�整流が有利(電力を増減させることができる。非同期は減らすことができない)
�△發舛蹐麁唄�整流の方が効率が高い。(電力を増減させることができる。追従性が良い。)
�９柔�は同期整流の方が複雑なので高価（UGATE,LGATEで2つを制御しなければいけない）
ですのでそれほど精度を求めなくて、中負荷中電源はダイオード整流が良いとされます。
例えば、
24V入力→ダイオード整流→12V→同期整流→3.3V 等。
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