電気電子設計(上級)/伝送線路1

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伝送線路1 †

■ページ内リンク
1.伝送線路
1-1.伝送線路モデル
1-2.分布定数回路モデル方程式
1-3.方程式解法
2.伝送線路_方程式_負荷接続
2-1.負荷接続
2-2.インピーダンス整合
2-3.規格化インピーダンスと反射係数_スミスチャート
2-4.スミスチャート_説明まとめ
3.定在波
3-1.定在波

1.伝送線路 †

■信号、電力伝送に必須の概念”伝送線路”
本稿は、信号、電力伝送に必須の回路"伝送線路"、独自の視点で説明するものです。
教科書的な説明にならないように気を付けます。。
理解しやすさを最優先します。数学的な厳密性は欠いたものとなりますのでご了承ください。
教科書で挫折した人、歓迎です。

1-1.伝送線路モデル †

■伝送線路ってなんだ？

伝送線路というには、信号もしくは電力を供給するための閉回路(リターンがあるという意味)です。~
まずは下図をご確認ください。

図1-1.伝送線路1

送電端は交流電源。
受電端は何らかの負荷が接続されるものとします。

電力系なら発電所から各家庭への電力供給。
基板内であればオンボード電源から負荷となるIC等への電力供給。
もしくは信号ならば送信信号源から受信端です。

さて、今までは何気に無視してきたのですが、導線には微小ながら抵抗が存在します。
導線が少し円弧上になっていればコイルとみなせますので微小ながらインダクタンスLが存在します。
また、導線と他の導体間は面積極小のコンデンサとみなせますのでキャパシタンスCが存在します。

これが、伝送線路の至るところに無数に存在している、というのが基本的な考え方です。
このようなモデルを、”分布定数回路”と呼称します。
一方いままでの抵抗器やコンデンサ、コイルが理想導体線(R,C,Lなし！)で接続されているのは本来"集中定数回路"と呼ばれるものです。

抵抗、コイル、コンデンサを追記し、分布定数回路として可視化した回路モデルを下図に示します。

図1-2.伝送線路2

１つの等価モデル(極小⊿x[m]の範囲内)を考えて極限をとってこの伝送線路回路の方程式を導きます。
それでこの回路の動作を数式として理解することを本項の目的とします。

1-2.微小区間⊿xにて方程式立案 †

1-1項の絵図1-2から、微小区間⊿xにて方程式を立てます。

-⊿V = (R + jωL)I⊿x　---①
-⊿I = (G + jωC)⊿xV　---②
(1m当たりの方程式を微小区間⊿xについて式を立てているから、⊿Vは⊿ⅹ倍下がり、⊿Iは⊿x倍減少する..という考え方)

①、②式ともに左辺にマイナス記号があります。
この微小区間等価モデルを通過すると、電圧がわずかに減り、電流がわずかに減る(GNDへ流れる)ことを仮定しています。
⊿R,⊿L,⊿G,⊿Cの⊿は⊿xで統合するため、それぞれ⊿がとれてR,L,G,Cとなります。

そして⊿xを左辺に移動し、極限をとる(表記を⊿->dへ変える)と下記の通りです。

図1-3.伝送線路方程式1

みなさんの思い描いたとおりですね、

1-3.方程式解法 †

さて前項にてたてた方程式を解きたいと思います。
変数I,Vと２つあり、式は２つですので連立方程式ですね。これを解いていきます。
まずはVについて求め、そのあとそのVを使ってIを求めます。

図1-4.伝送線路方程式解法1

Vが求められましたので、これを①´式に代入し、Iを求めます。

図1-5.伝送線路方程式解法2

さてIも求まりましたが、2項目にへんなものがいますね。

図1-6.伝送線路方程式解法3

〇イム〇トロールにつかまりそうですのでこの辺にしておきます。
反対方法に進電流の存在が示唆されている、としましょう。
時間を遡っても物理的には全く問題ないですけど、一般的な方は理解が難しいと思います。
現代社会は老いて死ぬことを未来と定義しているから...と個人的には思います。

2.伝送線路方程式_負荷接続 †

前項で求めた方程式は、定数V1,V2がまだ未定でした。
ここで負荷を接続することによって、それらが定まっていき、実際の回路方程式が導出する過程を説明します。
また電気電子設計(中級)ででてきたインピーダンス整合の本当の数式とその意味についても学びます。

2-1.負荷接続 †

下記のように負荷Zℓを接続します。
ここでの想定電源(あるいは信号源)の周波数はRF帯域とします。

図1-7.伝送線路負荷接続

図1-8.伝送線路負荷接続

図1-9.伝送線路負荷接続

はい、かなり苦労しましたが、定数V1,V2をもとめることができました。
これらは波動方程式の解を求めるに当たりでてきた定数で、負荷接続という初期条件を与えたため、値が定まったものです。

ということで、④、⑤式にこれらの式を代入すれば完全な式が求まることになります。
まず④式に着目して正確な式を構築していきます。

図1-10.伝送線路負荷接続

2-2.インピーダンス整合 †

図2-1.インピーダンス整合

2-3.規格化インピーダンスと反射係数の関連性 †

図2-2.規格化インピーダンスとKの関係性

調べるにあたっては、 (1)まず虚数は0として実数のみを動かして確認（①、②、③)、
(2)実数は0として虚数のみ動かして確認(④、⑤、⑥)とし、
(3)同時に動かしたときの挙動を類推します。

図2-3.規格化インピーダンスの反射平面への写像

上記のようにやや強引ではありますが、規格化インピーダンスと反射係数の関連性が示せました。
この写像はスミスチャートとして知られるもので、そのチャート上の動きを追えば、インピーダンスマッチングの状態がわかるというものなのです。

2-4.スミスチャート説明まとめ †

図2-4.スミスチャート

3.定在波 †

伝送線路の方程式がわかったし、インピーダンス整合の挙動も分かりました。
さて最後に伝送線路における電圧分布はどうなっているかを説明します。

3-1.定在波 †

伝送線路の任意の位置"x"について電圧Vは④式で与えられていました。下記に再掲します。

図3-1.伝送線路電圧式

図3-2.定在波導出1

図3-3.定在波導出2

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