スイッチングレギュレーター

今日の6件

counter: 203
today: 1
yesterday: 0
online: 1

電気電子設計

電源 †

■ページ内リンク
1.オンボード電源とは
2.オンボード電源の種類
3.　1.リニアレギュレーター動作原理
4.発振回路の重要事項
5.発振回路の測定上の注意事項

1.オンボード電源とは？ †

基板への入力電源をマイコン等の被供給デバイスに合うように昇圧、または高圧、整流し、電力を供給する回路です。
AC入力をDCへ変換するものもありますが、ここでは実際の基板で頻出のDC-DCのみ扱います。

代表的なものは、非絶縁タイプのものです。
絶縁タイプのものもよく使いますが、時間の都合上、非絶縁タイプのものとします。

違いはGNDの接続の仕方にあります。

#ref(): File not found: "p1-2.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図1 絶縁、非絶縁DCDC相違

上図のように、絶縁タイプは基本的にトランス内蔵となりますので、サイズがおおきくなる傾向にあります。
非絶縁タイプは,トランスが不要なため、方式によって小さくできます。

2.オンボード電源の種類 †

オンボード電源の種類と、簡単な動作原理を説明していきます。オンボード電源には発生頻度の高い下記3種類（①、②、③）を覚えておくとよいでしょう。

１．リニアレギュレーター （またはドロッパー、シリーズレギュレーターなどと呼称）－－－－－－①
２．スイッチングレギュレーター 
　2-1.ダイオード整流レギュレーター　－－－－－②
　2-2.同期整流レギュレーター　－－－－－－③

3. 1.リニアレギュレーター動作原理 †

１．リニアレギュレーター（またはドロッパー、シリーズレギュレーターなどと呼称）

リニア（直線）レギュレーターの構造と動作原理を説明します。
入力5[V]から3.3[V]を生成することを考えます。

どうやって実現したらよいでしょうか?

とりあえず知っている知識からして、任意の電圧を取り出せるものとして抵抗分圧があります。

それでは単純に抵抗分圧ではいかがでしょうか？

#ref(): File not found: "p2.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図2抵抗分圧での3.3[V]出力回路原案

求め方。
まずR2=100Ωと仮に置きます。
今はとりあえず3.3[V]がでればよいのですから、定数に意味はないです。
すると、

Vout ={ R2/(R1 +R2)}× Vin　が成り立ちますから、ここに数字をいれます。

3.3 = {100/(R1 + 100)}×5　なので、
3.3R1 + 330 = 500
R1 = 170/3.3 = 51.5 [Ω]

近い値として50[Ω](49.9Ωを使用することが多いです)を選定します。
再度計算しなおします。

Vout =100/(50 + 100) ×5 =100/150 ×5 =2/3 ×5= 3.33....... [V]

3.33[V]として、3.33/3.3 ×100 =100.9 [%]
誤差は0.9％となりました。

さて、せっかくですのでできた電源を下図に示します。

#ref(): File not found: "p3.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図3抵抗分圧での3.3[V]出力回路

これで大丈夫でしょうか？
いえいえ、じつはこれでは困ったことが起こります。

定電圧源ですから、負荷によらず、一定の電圧3.3[V]を出力することを期待されています。
しかし、下図のように負荷RL=100[Ω]を接続したらどうでしょうか？~|

#ref(): File not found: "p4.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図4抵抗分圧での3.3[V]出力回路+負荷RL追加

GND側抵抗R2の値は、負荷が接続されると、負荷と並列抵抗となります。
このため、下図のように出力電圧が狂います。

#ref(): File not found: "p5-1.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図5抵抗分圧での3.3[V]出力回路+負荷RL追加したときの出力Voutの値

このため、実際はトランジスタを追加します。
トランジスタの動作については下図の動作のみとりあえず覚えてください。

#ref(): File not found: "p6-2.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図6抵抗分圧にトランジスタTr1追加

図6の説明にあるように、このTr1をオンさせると、コレクタ電流Icが流れます。
R1,R2の分圧抵抗を利用してTr1のベース電圧を0.6[V]以上に持ち上げています。

これが抵抗分圧と異なる点。

■(1)基本構成
下記に発振回路を示します。
U1インバーターは、単に入力電圧の反対の電圧を出力するロジックICと考えてかまいません。
例えば入力Highなら出力Low、入力Lowなら出力Highです。
図4の赤線囲み内のデバイス、U1,X1,C1,C2すべてを1パッケージ化したものが発振器です。

#ref(): File not found: "osc4.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図4発振回路基本構成

3.発振回路基本動作原理 †

下図U1の入力電圧Vinを0[V]とします。①→②→③のように動き始めます。

#ref(): File not found: "osc5.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図5発振回路動作1

ここで、水晶振動子はマイナス抵抗を持つことが知られております。ここでは-1[kΩ]だとします。
すると下図6のように、X1に流れる電流は逆向きになります。

#ref(): File not found: "osc6.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図6発振回路動作2

Ixtalの電流の向きが通常とは逆のため、Vinの電圧が上昇します。

#ref(): File not found: "osc6_1.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図7発振回路動作3

VinがHighとなったので、出力Voutは反転し0[V]出力となります。

#ref(): File not found: "osc9.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図8発振回路動作4

以降①~⑥を繰り返し、Voutは3.3[V],0[V]を順に繰り返し出力し続けますので、クロックを生成することができます。
ここで、Xtalが発振回路でより大きな値を持つマイナス抵抗（負性抵抗）と見えることが発振の安定度として重要です。

VinのHigh、Low変化に必要な電流が少なくて済む(発振時の必要電力が小さくて効率的)ためです。

従って発振の安定度を見たい場合は、下図9のようにVR1を挿入する方法があります。
VR1を少しずつ大きくしていくと、発振が止まります。

#ref(): File not found: "osc10_1.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図9 発振回路直列抵抗R1追加

一般的に、Ri（振動子内部抵抗カタログ値）× 5 =<　VR1(発振がとまったときのVR1の値)　であればよい、
つまりカタログ値の5倍以上確保できる回路構成になっていればよいとされています。

4.発振回路の重要事項 †

発振回路を、設計、解析する上で特に重要なことを記述します。

■(1)負荷容量

上図4,5,6,7,8にもありましたが、C1,C2について説明します。
負荷容量と呼ばれるこのコンデンサC1,C2の容量は、発振の安定度と発振周波数の精度に重要な役割を果たしています。

詳細は省略しますが、下図10 中の式のように選定します。

#ref(): File not found: "osc11.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図10 負荷容量

例えばLAN 25MHz等によく使用する大真空製振動子DSX321Gがあります。 http://www.kds.info/product/dsx321g/

カタログ上の負荷容量は、8,10,12[pF]が選べますが、ここでは10[pF]を選んだとします。浮遊容量Csは、基板上に存在する容量ですが、これを6[pF]とします。

すると、C1×C2/(C1+C2) + 6 = 10 [pF] となります。
ここでC1 = C2 = Cと置けば、 C/2 = 4 ですから　C= 8 [pF]　となります。
この値よりかけ離れていると、発振不具合の可能性が高くなります。

■(2)浮遊容量
浮遊容量Csは、どこにでもある容量で、導体2つが向かい合っていれば存在します。
基板は、層構成を持ちますから、層間でも持つことになります。（下図12参照）
多層基板ほど層間が狭くなるため、負荷容量は小さい定数となることが想定されます。
ですので、近年負荷容量としては、数[pF]～十数[pF]程度が妥当であり、47[pF],22[pF]等大きいものは、昔の定数をそのまま引き継いでいる（マッチングされていない）
可能性が高いです。

#ref(): File not found: "osc14.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図12 基板層間レイアウト図

■(3)実装直後の発振安定性
振動子は、熱を加えて実装した直後は、パッケージと、基板との熱膨張係数の違いにより、パッケージが歪みます。
このため、内蔵水晶も歪み、共振周波数がずれるため、発振が不安定となります。
一般的には72時間は影響が残りますので、観測するタイミングによって、発振していたり、していなかったりということがあり得ます。

#ref(): File not found: "osc15_1.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図13 振動子　基板実装直後の歪み

5.発振回路_測定上の注意 †

発振回路は絶妙なバランスにより、永続的に発振ができるようになっております。
前項目No4のように数pFを気にする世界ですので、精確にプロービングすることができません。

簡易的には、下図のようにできるだけ容量の小さいパッシブプローブを使用して観測することになります。

#ref(): File not found: "osc12_2.png" at page "スイッチングレギュレーター"

・図14 発振波形観測方法一例

しかし、これでも、影響は避けられませんので、実際に発振していない波形がみえても、本当は発振している可能性があります。

今日の7件

counter: 203
today: 1
yesterday: 0
online: 1