【ノンフィクション】小三だって分かるもん><


プロローグ


 はねをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいい話だが、それでも俺がいつまでもはねなどという想像上の小三を信じていたかと言うと、これは確信を持って言えるが最初から信じてなどいなかった。
 幼稚園のクリスマスイベントに現れたはねは偽はねだと理解していたし、書き込みしてるところを目撃したわけでもないのに第五回にしか参加しない小3の存在を疑っていた賢しい俺なのだが、はてさて、トガキやシクラやディアルガや空夢や雷光や翼羽やそれらと戦う良心的常識的ネット的企画者がこの世に存在しないのだということに気づいたのは相当後になってからだった。
 いや、本当は気付いていたのだろう。ただ気付きたくなかっただけなのだ。俺は心の底からトガキやシクラやディアルガや空夢や雷光や翼羽が目の前にふらりと現れることを望んでいたのだ。
 しかし現実ってのは意外と厳しい。
 世界の物理法則がよく出来ていることに感心しつつ、いつしか俺はストテラのぼくものや自演をそう熱心に観なくなっていた。はね、トガキ、シクラ、そんなのいるワケねー……でもちょっとはいて欲しい、みたいな最大公約数的なことを考えるくらいにまで俺も成長したのさ。
 中学校を卒業する頃には、俺はもうそんなガキな夢を見ることからも卒業して、この世の普通さにも慣れていた。
 俺はたいした感慨もなく高校生になりストテラ界に行って――そいつと、出会った。

「自演中出身、はね。ただの小3には興味ありません。もしこの中に、トガキ、シクラ、ディアルガ、空夢がいたら私のところにきなさい。以上」

 さすがに振り向いたね。
 はねの白い喉がまぶしかったのを覚えている。えらい小3がそこにいた。
 はねは喧嘩でも売るような目つきでゆっくりと教室中を見渡し、最後に俺をじろりと睨むと、にこりともせずに着席した。
 これ、笑うとこ?


 誰もが冗談だと思っただろう。結果から言うと、それはギャグでも笑いどころでもなかった。はねはいつでも大マジなのだ。
 こうして俺たちは出会っちまった。しみじみと思う。偶然だと信じたい、と。

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