プロフィール †
- 魯粛 字：子敬
- ろ しゅく 字：しけい
- （生年172年〜没年217年）
- 徐州・臨淮郡東城県
呉の武将。
孫策と孫権の二代に仕えた武将・参謀。
孫策に仕える前は袁術に仕えていた。
赤壁の戦いでは周瑜と共に主戦派に立ち、劉備と組むことを提言し、自ら外交役となり、劉備陣営との提携に成功している。
周瑜の死後は遺言により後継者として選ばれた。
正史 †
- 周瑜が食料援助を求めてきた時、所有している２つの蔵の内１つをまるごと与えた。
- 208年 赤壁の戦い
演義 †
- 諸葛亮と周瑜の間で右往左往するお人好しで、損な役回りを演じている。
Pick Up †
正史と演義で書かれ方がまったく違う人物。
「魯粛、米をやる」 †
袁術の武将とはいえ、ほぼ孫策旗下にあり、袁術と冷戦状態にも近い周瑜。
袁術の誘いを断り、江東脱出を狙っていた。そして、魯粛の元を訪れ、食糧援助を求める。
で、魯粛はそれを了承するわけだが、その規模が半端ない。
魯粛はほぼ初対面の周瑜相手に、２つある倉の片方を指差したのだった。
それは「そっくりそのまま倉にある分全部やるよ」という意思表示。
魯粛が非凡な人材であると知った周瑜は魯粛と固く交友を結ぶ…という美談。
「魯粛、暴走する」 †
劉表が死んで混乱の坩堝となった荊州。
そこへ弔辞に向かうといって赴いた魯粛。
魯粛自身も孫家も彼らとは親交があったわけではないから、情勢を見に行ったと見て間違いない。
そして、魯粛の大暴走が始まる。
主君孫権の意も聞かず、単独で劉備との同盟を結んで帰ってきてしまうのだ。
結果、（もともとなかったようなものだが、）柴桑会議での魯粛の発言権はあってないものとなってしまう。
「魯粛、脅迫する」 †
赤壁に迫る曹操軍の対処を決めようとしていた柴桑会議。
大勢を占めた降伏論。この中、無官の魯粛に発言権はあってないようなものだった。
不利は明らかでも、魯粛の目指す覇業は戦った先にしかない。
白眼視される中、魯粛の意見を孫権に直接ねじ込むチャンスが来た。
孫権が「ちょっとトイレ」と、会場を離れたのである。
近づいた魯粛に孫権は意見を求める。
魯粛は「間違った方向に導く意見ばかりですな。確かに、私なんぞは降伏すれば官位を貰えるでしょうが、ご主君はどうですか？どこに身をおちつけるというのです？降伏してはいけません」と答える。
大計だと褒めた孫権だが、これは立派な脅迫だ。
重用されるとすれば降伏派の張昭らである。
反・曹操で動いた魯粛は阻害されるのが８割、（曹操の性格から考えて）重用されるのが２割といった所。孫権と立場的に大差ない。
（孫権が落ち着く場所もないわけじゃない。先に降伏した劉ソウは青州刺史になっている。実権はないだろうが要職に就けると考えるのが自然）
要は「降伏なんかしたらあんた殺されんだよ」といっているわけだから。
かく言う魯粛に勝算があったわけではない。そのままでは、孫権はどっちみち死んでしまう。
この後、戦略に長ける周瑜が会議に参加したことで開戦に傾くのである。
「魯粛、関羽にキレる」 †
演義では荊州問題で会談する時、魯粛は関羽を亡き者にしようとこっそり兵を忍ばせていた。
だが、関羽は少数で来たばかりか交渉不利と分かるといきなり魯粛を抱えて自分が乗ってきた船の手前で投げやりそのまま逃げてしまった。
正史では魯粛の行動は全くの正反対で、彼の方から刀一振りを帯びて会談に臨むよう申し入れた。
そして、彼は厳しい態度で「元々あなた方に土地をお貸ししたのは、そちらが戦に破れ資本を失ったと思ったからです。益州を手に入れたにも関わらず、ただ三郡を要求しただけでもやはりご命令に応じられないとは」（意訳：「あんた方が困ってるなと思って土地を貸してあげたのに、功挙げた後にその一部すら返そうとしないのは何様だ！？」）と言った。
関羽が言い返せないでいると、お供が「そもそも土地というものは徳のあるところに行き着くもの。恒久的な所有権なぞ無い」と言った。
その言葉を聞いたとたん魯粛はいきなりその者を激しい口調で叱りつけた。
関羽も「これはもとより国家のこと。汝が分かることではない！」とその者を睨み、追い出したという。
この会談の結果、彼は兵を用いずして荊州南部の三郡（長沙・黎陽・桂陽）を取り返す事に成功したのである。
