プロフィール †
劉備 字：玄徳
- 姓：りゅう 名：び 字：げんとく
- （生年〜222年/在位 220年〜222年）
- 幽州涿郡涿県
蜀漢皇帝。
中山靖王劉勝の末裔を称する。むしろを売って暮らしていた。
黄巾の乱征伐に義勇兵として参加してから、乱世に翻弄されながらもその魅力で人心を集め、益州で国を興す。
梟雄の相があったとも言われる。
正史 †
- むしろを売って暮らしていたとされる。
（むしろを売るというのはあまり裕福ではなかったという比喩表現。実際に肉体労働をしていた訳ではない）
- 関羽・張飛らと出会う。桃園の誓いは結んでいない184黄巾の乱--義勇軍として参戦。黄巾賊の残党狩りに奔走。
- 徐州牧となる。
- 呂布に徐州を乗っ取られる。
- 徐州の戦い
- 曹操と対立。追い散らされて関羽と離ればなれに。袁紹の元へ。
- 200年 官渡の戦い
- 208年 長坂の戦い
- 208年 赤壁の戦い
- 江陵攻防戦
- 益州平定戦
- 219年 漢中争覇戦
- 219年 漢中王を名乗る。
- 220年 蜀漢皇帝就任。
- 222年 夷陵の戦い
- 関羽の弔いに呉へと出兵。
序盤は押し込むものの、陸遜の火計によって敗北。
- 223年4月 死去。享年63歳。
- 劉禅を後継に。諸葛亮に後事を託し、臣下に看取られながら息をひきとる。
諡号は「昭烈帝」
演義 †
- 中山靖王劉勝の末裔として誕生。
- 幼少期に父劉弘を亡くし、叔父劉元起の援助を受け母を扶養し草鞋・蓆を生計を立て涿県楼桑村に暮らす。
- 10代のころに盧植?の下で師事し、公孫瓚と交友。
- 184年 黄巾の乱
- 張角軍が幽州境を侵害。幽州の太守劉焉?が義勇兵を募る。
それに呼応し張飛と関羽と出会い意気投合。自分を長兄、関羽を次兄、張飛を末弟とした桃園の誓いで義兄弟になる。
旅商人張世平・蘇双から援助をうけ戦支度を調え自身も雌雄一対の剣を鍛冶屋に打たせ、義勇兵を集める。
- 劉焉の要請で鄒靖とともに黄巾賊程遠志?・?茂?を討伐。
劉焉のもとに青州太守龔景の援軍要請があり、鄒靖とともに援軍に急行し黄巾賊討伐。
- 鄒靖とわかれ、広宗で盧植の官軍に合流するも、穎川行きを引き受ける。
穎川につくも、皇甫嵩に広宗への帰還を命じられ、その途中冤罪で都に護送される盧植に出会う。
- 涿郡に戻る途中に張角軍より董卓を助けるも、酷い扱いを受けたため朱儁を頼る。
- 朱儁の官軍に参加。張宝軍と戦うも妖術に一度敗れるが、朱儁発案で汚物を使い妖術を破り張宝を陽城県城に追い込む。その際張宝の左肱を射抜く。
- 朱儁が南陽の黄巾賊残党趙弘・韓忠・孫仲討伐の詔を受け、その軍に参加。孫堅の援軍もあり討伐成功。朱儁、劉備の功績を上奏するが音沙汰なし。
- 郎中の張均に功績を訴え取成しを頼むも、張均は十常侍により罰せられ、端役の中山国安熹県の尉に任命される。
任をこなすも督郵に賄賂を贈らず張飛が督郵に乱暴したため出奔。
追っ手が差し向けられるが代州の劉恢に漢の皇族であるため匿われる。その後劉恢が劉虞に推薦。
- 幽州牧劉虞、漁陽の張挙・張純の反乱討伐。劉恢の推薦もあって都尉に取立てられ従軍。
- 張挙・張純の反乱平定後、劉虞が功を上奏し、督郵乱暴の罪も赦され、下密県の丞そして高唐の県尉に。
- 公孫瓚が上奏して別部司馬になり、平原の県令に。
- 190年 反董卓連合軍結成
- 公孫瓚が平原を通過する際に義兄弟と共に参加し従軍。
- 公孫瓚勢が連合軍に遅参して合流する際に袁紹らに紹介される。
- 関羽が華雄を討ち取るが、袁術から位の低さを理由に義兄弟共々罵られる。
- 連合軍、軍を二手に分け一方を虎牢関へ進撃させるも呂布勢の前に大苦戦。
- 呂布が反転攻勢をかけ公孫瓚を追い詰めるも義兄弟三人で協力して一騎打ちに持込み、呂布が応戦の疲れから関に引くところを連合軍の援護もあり壊走に追込む。
- 董卓が洛陽を破棄し長安遷都を決行ため、虎牢関を義兄弟と攻撃し連合軍もこれに続く。
- 玉爾や方針の違いから連合軍が事実上解散したため、公孫瓚が撤兵する途中に平原に来たところで同地の相に任命。
- 192年 界橋の戦い
- 公孫瓚陣営として参加。趙雲と出会う。
- 膠着状態のなか勅使が派遣され講和へ。公孫瓚が上奏文にて平原の相に推挙。
- その後太史慈から北海の孔融?への援軍要請に従い、管亥?率いる黄巾賊を討伐。
- 北海に援軍要請きていた徐州の糜竺に援軍の約束をし、孔融には先に援軍として徐州へ、自身は一旦公孫瓚の元にいき趙雲と兵を借りて徐州へ急行。
- 194年 曹操、徐州侵攻
- 陶謙の配下[[張闓]]が曹操の父曹嵩殺害。曹操、徐州侵攻そして虐殺を敢行。
陶謙側は孔融と田楷に援軍要請。
- 曹操勢を恐れ進軍しかねていた孔融と田楷に合流。張飛と共に少数で曹操軍を突破し徐州城内へ
- 城内は援軍に感激し、漢の血筋ということもあり陶謙から徐州牧を譲られるも固辞。
- 194年 陶謙から徐州刺史の任を譲り受ける。
- 196年 呂布により徐州をおわれる
- 荀?による二虎強食の計はかわすも駆虎呑狼の計にかかり、袁術討伐中に徐州を呂布に奪われ、投降し小沛に入る
- 198年 下邳の戦い
- 200年 小沛の戦い
- 200年 官渡の戦い
- 201年 汝南蜂起
- 207年 三顧の礼。
- 208年 長坂の戦い
- 208年 赤壁の戦い
- 209年 荊州四郡攻略
- 214年 益州攻略戦
- 215年 荊州領有問題深刻化
- 219年 漢中の戦い
- 自軍の将・黄忠が夏侯淵を討ち取り、漢中を占領。漢中王を称する。
- 219年 樊城攻防。関羽の死。
- 220年 曹操の死。
- 221年 蜀建国。蜀漢皇帝に即位。
- 前年の魏建国をうけて、諸葛亮・許靖・糜竺のすすめで自身も皇帝に即位し蜀漢帝国を建国する。
- 臣下の諌めも聞かず、関羽仇討ちのため呉征伐計画。
- 張飛の死。
范彊?と張達?が張飛の寝首を掻き呉に逃亡したため呉征伐の決意を新たにする。
趙雲、遠征に異を唱えたため従軍させず。
- 張苞?と関興?が加わるも仲違いをするため義兄弟にする。
- 黄忠、若いものには遅れは取らぬと奮戦の末に眼前で死ぬ。
- 呉征伐、緒戦は好調のうえ義理弟たちの仇を討ち、孫権からの和議は受付けずさらに進軍。
- 馬良、劉備の布陣を諸葛亮に相談するために成都へ。
- 222年 夷陵の戦い
- 陸遜の火攻めをうけて大敗。命からがら白帝城へ逃げ延びる。
- 223年4月 劉備の死
- 劉禅を後継に。諸葛亮に後事を託し、臣下に看取られながら息をひきとる。享年63歳。諡号昭烈帝
Pick Up †
「劉皇叔の真偽」 †
劉備といえば中山靖王劉勝が末孫という漢の血筋を引くものとして有名だが、実はとても疑わしいのである。
なぜかというとこの中山靖王劉勝という人は、な!な!なんと100人以上も子供がいたのだ。
劉備はその子孫を称しているのである。
史伝では劉勝のほうからたどっていくとその子供の劉貞が涿県にいたことはわかっている。
その後記述がなく、劉備の祖父は劉雄、父は劉弘、そして涿県の劉備になる。
こんだけ子孫が多いのなら嘘とも本当とも言い難い。
この血筋から献帝に謁見した後からは皇叔(叔父の意ではなく自分より上の世代のものをさす。)を名乗る。
演義では献帝に謁見した時に系図でその血筋を確認されているがこのシーンはフィクションである。
劉備はこの血筋をフルに活用して最後には蜀漢建国、皇帝に即位する。
しかし血筋だけではないのはいうまでもない。
ちなみに演義の家系図（孝景帝→劉勝→劉貞→劉?→劉禄→劉恋→劉英→劉建→劉哀→劉憲→劉舒→劉誼→劉必→劉達→劉不疑→劉恵→劉雄→劉弘→劉備）
「聖人君子の偶像」 †
三国志演義の中で、劉備は儒教道徳を体現する君子に描かれている。
一方の正史では、君子のようなところもあるものの、侠客の性質の方が色濃く出されているようにも思える。
実際のところ、劉備の流浪は「大勢力にかくまわれ、そこで力を蓄えて戦った後、出奔・離反する」の繰り返しなのである。
主君殺しこそしていないものの、そうやって移動した回数は、反骨将軍と呼ばれる者たちよりも多いほど。
梟雄と呼ばれても仕方がないかもしれない。
はたして、劉備は「大徳の漢」か、それとも「梟雄」なのか。
歴史はその裁定を下してはいない。
「劉備、人肉を喰らう」 †
曹操に追われているとき、劉備はとある民家に逃げ込んだ。
その家では、もてなす食糧がないということで、主人は自分の妻を殺し、その肉を劉備に差し出す。
いたく感動した劉備は後にその主人を高官にしている。
（その主人の息子を自らの養子・劉封にしたともいわれている）
勘違いしてはいけない。
現在の我々の感覚では非道な行いに感じられるが、古代中華世界では、この妻を殺して客をもてなすというエピソードは美談なのである。
女性の地位が非常に低い古代中国（これは現在も変わっていないが）。
女というものは牛馬並かそれ以下の扱いを受けていた。
籠城して食料が無くなった時、まず始めに食われるのは女なのである。
劉備の他にも将軍が自分の妻を殺して部下に振舞った、と言うような話が数多く伝えられている。
女性を大切に扱った曹操はむしろ異端であり、このエピソードのように女性を家畜程度にしか扱わないほうが普通なのである。
