プロフィール †
関羽 字：雲長
- かん う 字：うんちょう
- （生年不明〜没年219）
- 司隷・河東郡解良
蜀の武将。
劉備の義兄弟。身長九尺（約２m）、二尺の長いひげを持ち、「美髯公」と称えられる。
義弟・張飛と同様に兵１万に相当するとされる豪傑である一方、春秋左氏伝をそらんじるなど、文武両道の面を併せ持っている。
五虎大将の筆頭。
中国では、商売の神様としてあがめられている。
正史 †
- 劉備と出会う。
- 184年 黄巾の乱
- 義勇軍として黄巾の乱討伐に参加(ただし、ほぼ残党狩り)。
- 劉備に従い各地を転戦。
- 199年 徐州の戦い
- 劉備軍が曹操軍と反目。
劉備軍は曹操軍に散らされ、城の守りについていた関羽は劉備・張飛と離れてしまう。やむを得ず曹操に投降した。
関羽の出した投降の条件は「劉備妻子の身柄の安全」、「劉備の所在が知れた時に自身が退去することの許可」など５項目。曹操も渋々この条件をのんでいる。
- このとき、曹操は関羽を自軍に引き入れるため、美女や金品など、数々の贈り物を渡している。しかし、関羽は頑として受け取らなかった。
- 200年 官渡の戦い
- 袁紹軍猛将、顔良を討ち取る。
その功を置き土産に曹操軍を退去、劉備の下へ出奔する。
- 劉備に従って流れていく。
- 208年 赤壁の戦い
- 荊州に駐屯する。
- 外征では魏・呉両国に睨みを利かせ、内政では恩得と威信が行き渡る善政を敷いていた。
- 215年 魯粛・呂蒙の侵攻
- 蜀と呉の同盟も危うくなるが、呉国内の叛乱や魏の漢中侵攻により和平交渉が行われる。
- 219年 劉備が漢中王に。
- 219年 荊州攻防
- 曹仁の守る樊城を攻める。悪天候を利用した水攻めで樊城を包囲。于禁を降伏させ、ホウ徳を討ち取っている。
- しかし、呂蒙の策によって部下の糜芳?・傅士仁?が離反。徐晃も派遣され、魏と呉の挟撃にあい、撤退を余儀なくされる。
- 麦城に籠城。奮戦するも捕縛され、処刑される。
- 処刑された関羽の首は、曹操に送られ、彼の手で諸候の礼をもって葬られる。
- 劉備は怒り心頭で222年に夷陵へ孫呉討伐軍を出兵、敗北する。
- 260年 蜀漢より謚号「壮穆侯」を送られる
演義 †
- 劉備・張飛と出会い、桃園の誓いで義兄弟に。
- 184年 黄巾の乱
- 反董卓連合に参加。
- シ水関の戦い
- シ水関には董卓軍猛将・華雄が陣取っている。豪傑が幾人も華雄の武の前に撤退する中、名乗りを上げたのがまだ無名の関羽であった。
群雄達は関羽の暴挙ともいえる行動を非難するが、曹操が関羽を擁護し、景気付けに酒を勧める。
関羽はそれを受け取らずに華雄に挑み、見事首級を上げた。曹操の手の中にあった酒は、まだ温かかったと言う。
- 虎牢関の戦い
- 虎牢関の守将は呂布。張飛が呂布に挑むも、何合打っても決着がつかない。そこで関羽が加勢に出た。しかし、呂布は２人と打ち合っても互角。劉備・張飛とともに呂布と戦うも逃げられる。
- 劉備に従い各地を転戦。
- 曹操軍に散らされ、劉備・張飛と離れてしまう。やむを得ず曹操に投降。
- 関羽の出した投降の条件は「劉備妻子の身柄の安全」、「劉備の所在が知れた時に自身が退去することの許可」など５項目。曹操も渋々この条件をのんでいる。
- このとき、曹操は関羽を自軍に引き入れるため、美女や金品など、数々の贈り物を渡している。しかし、関羽は頑として受け取らなかった。
そんな中関羽の受け取った唯一のものが、この後関羽の愛馬として活躍する、かつての呂布の愛馬・赤兎である。
- 200年 官渡の戦い
- 敵先鋒は袁紹軍猛将・顔良。顔良は曹操軍の将達を討ち取り、徐晃も撤退していた。
関羽は数合も斬り結ばぬうちに顔良を討ち取って帰還する。
- 仇討ちに燃える文醜が関羽に攻めかかってきた。こともなげにこれを討ち取る。
- 関羽千里行
- 劉備の居所を知り、曹操の元を退去した関羽。
張遼に見送られ、赤兎にまたがり、劉備夫人を乗せた馬車を導いて劉備の下へひた走る。その行く手には５つの関があった。
曹操の許可は得ていたものの、通行手形を持たない関羽は関所の役人を斬り殺して関所を突破していく。
追撃してきた夏侯惇を追い返し、千里を走る。
- 劉備に従って流れていく。
- 208年 赤壁の戦い
- 火計が成功し、水軍の戦いは孫・劉連合軍の勝利に終わる。
周辺を警戒していた関羽は、華容道で逃亡する曹操を見つける。官渡前に見せたあの威厳は何処にもなく、よれよれでみすぼらしい敗軍の将であった。さらに側には夏侯惇や張遼といった武将も連れていなかった。
関羽を見つけた曹操は、死を覚悟する。しかし、関羽は曹操の元から逃亡する際、関所の役人を５人斬り殺して進んだ件を不問にしてもらった恩を返す為に、曹操を見逃す。
- 荊州に駐屯する。
- 外征では魏・呉両国に睨みを利かせ、内政では恩得と威信が行き渡る善政を敷いていた。
- 215年 魯粛・呂蒙の侵攻
- 蜀と呉の同盟も危うくなるが、呉国内の叛乱や魏の漢中侵攻により和平交渉が行われる。
- 219年 劉備が漢中王に。
- 219年 荊州攻防
- 曹仁の守る樊城を攻める。悪天候を利用した水攻めで樊城を包囲。于禁を降伏させ、ホウ徳を討ち取っている。
- しかし、呂蒙の策によって部下の糜芳?・傅士仁?が離反。
魏からは徐晃も派遣され、魏と呉の挟撃にあい、勝利を掴めぬまま撤退を余儀なくされる。
- 麦城に籠城。奮戦するも捕縛され、処刑される。享年58歳。
その首は曹操の元に送られ、曹操は諸候の礼をもって関羽を手厚く葬った。
- その後、孫呉では祝宴が開かれた。孫権は最大の功労者である呂蒙に酒を勧めた。
恭しく受け取った呂蒙だったが、すぐに杯を叩き割ると、孫権の胸ぐらを掴んで押し倒し、こう云った。「我こそは関 雲長なり」。
一同が平伏すると、呂蒙は血を吐いて倒れ、そのまま死んでしまい、関羽の祟りと騒がれる。
- このくだりは、「義理堅い関羽らしくない」、「非現実的である」との意見により、削除されることもある。
- 劉備は怒り心頭で夷陵へ孫呉討伐軍を出兵、敗北する。
Pick Up †
「武勇伝」 †
演義の主人公格である関羽の武勇伝はかなり増やされている。
上記の正史と演義を見比べれば一目瞭然。
講談・京劇などの創作が、積極的に取り入れられた結果であると思われる。
- 酒が冷める前に華雄を討ち取る
- 文醜を討ち取る
- 曹操の元を去る時に、５つの関を越え、６人の将軍を切って突破した
- 赤壁の戦いの後、逃亡する曹操を見つけるも見逃す
- 呂蒙を呪い殺した
実際の関羽は、個人的武勇も高かったが、それよりも、司令官として軍全体を動かすことに長けていたといわれる。
「人柄」 †
演義では義に厚い好漢として描かれている関羽だが、正史でも概ねその傾向が伺える。
ただ、演義と違って「兵卒には優しいが、士大夫には傲慢不遜」と性格的欠点を指摘されている。
要するにプライドが高く、度々文官層に反発したという事だろう。
結局そのプライドの高さが原因で、呉に荊州を奪わてしまった。
「青龍偃月刀」 †
関羽愛用の武器といえば青龍偃月刀である。
重さは八十二斤（およそ40kg）。
名前の由来は刃に刻まれた青龍の刻印。
この薙刀に関して、ひとつの伝説がある。
ある刀匠が刀を打っていたとき。満足のいくものが出来ずに３日経った。
その夜、炉の中に青龍が飛び込んだ。そこから打ち出したのが、青龍偃月刀である。…という話。
しかし、偃月刀が開発されたのは、三国時代よりもう少し後の宋の時代。
現実的には使っていなかったと言われている。
「愛馬・赤兎」 †
演義における関羽の愛馬は赤兎馬。あの呂布が駆っていた馬である。
呂布が処刑された後、曹操の所有となったが、気性の荒い赤兎を乗りこなせるものはいなかった。
しかし、呂布に譲られて(189年ごろと推定)から関羽が死ぬまで(219年)およそ30年。
その間、一頭の馬がずっと現役でいられるかといえば、それは疑わしい。
一方で赤兎という名馬が存在したのは事実で、関羽の乗っていた馬を示すのに、赤兎がちょうど良かったというのが通説である。
「関聖帝君」 †
後世の人からも人気があり、敬われ続けた関羽は、現在では神様として祀られている。
正式な名称は「伽藍神」、「三界伏魔大帝神威遠震天尊関聖帝君」、「忠義神武霊祐仁勇威顕関聖大帝」。
世界中のチャイナタウンにある関帝廟は関羽を祀ったものだ。
ちなみに、「商売の神様」になった理由は「世界で初めてそろばんを使った（有名）人」だからなのだとか。
