賈逵の子。
当初は曹爽に仕えていたが、曹爽らが失脚・処刑されると免官され、司馬師によって再度取り立てられる。
以後は司馬氏に仕え、その懐刀・汚れ役として大いに暗躍した。
その最たるものは傀儡となっていた皇帝・曹髦によるクーデター未遂で、
司馬昭の命を受けて鎮圧に向かうと、皇帝に手を下すことを恐れる配下の成済に「不問にする」と約束した上で殺害させ、
後に約束をあっさり反故にし、全責任を成済に被せて処刑してしまう(因みに本作での賈充の計略である「暗殺の密命」は、この曹髦暗殺の経緯をモチーフとしている模様である)。
この顛末は当時の人々も知っていたようで、賈充の母は成済を不忠者と罵っていたが、その無知を冷笑されていたという。
司馬昭が死去すると司馬炎に仕え、禅譲のお膳立てをするなど晋王朝の成立に尽力。
司馬炎が即位すると、賈充は建国の元勲のひとりとして大いに厚遇された。
晋王朝成立後もその陰謀・暗躍は留まるところを知らず、
呉征伐には終始消極的な態度を取り羊コ・杜預・張華ら主戦派の足を引っ張り続けるなど己の地盤固めを徹底し、
ついには娘の賈南風を司馬衷に嫁がせ権力を手にすると、個人的感情重視の人材評価を行い政治腐敗を加速させた。
そして彼の没後、血は争えないのか賈南風もまた生涯を通して権力闘争に明け暮れ、八王の乱を招き賈氏の栄華も終焉(ひいては一族皆殺しによる族滅)を迎えることになる。
司馬炎の意向により諡は「武侯」だが、生前の悪事が祟ってか「荒侯」という悪諡を付けられかけている。