劉表の長男。
父譲りの風貌と知性を備え、当初は劉表からも後継者候補として可愛がられていたという。
しかし蔡夫人(本作では蔡氏表記。正史では劉琮の義理の伯母、演義では劉琮の実母)が劉琮を後継者とするべく陰謀や讒言に暗躍したため、やがて劉表からも疎まれるようになってしまう。
命の危険を感じるまでに至った劉琦が劉備配下の諸葛亮に助言を求め、孫権に討たれた黄祖の後任として江夏に赴任するという下り、
そして劉表の危篤に駆け付けようとするが蔡瑁らの妨害に遭い、ついに父の死に目に会う事すらできなかったという場面は演義にも書かれている。
劉琮が曹操に降伏すると劉琦は劉備と合流するが、ほどなくして病死。
かくして劉琮を配下に入れた曹操、劉琦を後見した劉備、宿敵黄祖は倒したものの荊州を切り取るまでには至らなかった孫権。
三者の言い分と思惑とが激突し、かつて劉表が平穏を築き上げた荊州は、以後数々の死闘を生む三国時代きっての激戦地域となるのである。
あっさり病没してしまうためか、演義では聡明だが病弱というキャラ付け。
しかし長坂の戦いでは関羽と共に援軍を率いて現れるという場面もあり、ただの軟弱者ではない一面を見せる。
またNHKの「人形劇三国志」では、周瑜から脅迫を受けるも突っぱね、劉備を荊州の後継者にするよう遺言して息を引き取るという壮絶な最期が描かれる。
正史の時点で劉備寄りの人物であるためか、創作では何かと良い扱いを受けているようだ。
白井恵理子の『STOP劉備くん!』では、作者の好きな某新世紀ロボットアニメの主人公のようなキャラクターにさせられている。
時代に合わせてキャラの性格・立ち位置もしょっちゅう変わる作品の中で、キャラが珍しく変わらない1人でもある。