乾 くるみ


お気に入りの小説(推理小説編)

乾くるみ

 「Jの神話」を読んで、「匣の中」「塔の断章」と読んだが、そこで止まっていた。
 最近知人から「イニシェーション・ラブ」を借りて読んで「これはすごい!」と思い、「リピート」を読み、「塔の断章」も再読した。

Jの神話 講談社(1998/02/05)

 第4回メフィスト賞受賞作
 読んだ人はみんな思うだろが、「こんなの(けなしているわけではない)がメフィスト賞とるんだ・・・」と言うのが初読の感想。しかしながら後から考えるとよくできている。ミスリードは後の作品でもすごいが。ここまで見越してメフィスト賞を与えたのはすごい(といっても最新二作は講談社ではないが)。「塔の断章」でも主人公の辰巳まるみと編集者の会話で「いい本をだすよりも才能ある作家を見つけるほうが重要」と書かれているが、これって作者のこと?

匣の中 講談社(1998/08/05)

塔の断章 講談社(新書1999/02/05 文庫2003/02/15)

 先にも書いたが、これを再読するきっかけは「天童」です。「リピート」を先に読んだので、天童がどうなるのかが気になって。
 作品については初読(新書)のときには「あ、そう」くらいで終わってしまったが、文庫の解説を読んで、なるほどと思った。もしこれから読もうという人はぜひ文庫版を読んでほしい(といっても新書を手に入れるほうが難しいか)。
 文庫の解説にもあるが、これは天童太郎が主人公の「タロウシリーズ」の16番目の話らしい。全部で22作あるということなので書ききってほしいものだ。
 以下かるいネタばれ
どうもこの全22作というのは1年1作みたい。
リピート 10番目の事件(平成3年1981年らしい)
塔 16番目の事件
なのでリピートの六年後と。あの性格はリピートした結果か?

リピート 文藝春秋(2004/10/23)

 これはおもしろい!おすすめ度★★★★^  いわゆる「新・本格」ではないし(他の作品もそうか・・)、ミステリー???て感じだが、重要な謎解きはあり、その意外な犯人が面白い。タイムトラベルものは多いし、有名な北村薫の3部作もあるが、あえてそのテーマを選んでここまで書けたのはすごいと思う。
またこれはタロウシリーズ10番目の事件(平成3年1981年らしい)とのこと。
以下ネタばれ
「塔」が「リピート」の後の話ということで(「塔」文庫の後書参照)、天童はなぜ生きているのかというのが、気になりました。
というのも黒いオーロラに入った人はそのあと、その世界では消えてしまうのではないかと思うのですが。なのでR9からは消滅しているのではないかと。
そうなると、天童がその後も登場している理由としては、
1.R10で実はまだ生きていたので、リピートして助かった。
2.R5とR6では天童は殺されてない(302〜303参照)ので、このどちらかの天童のその後が「塔」に続くのではないかと。


イニシェーション・ラブ 原書房(2004/03)

 これを読んだのがきっかけで、「リピート」「塔の断章」を読んだほど。おもしろいというのは聞いていたけど、これほどとは。まさしく最後の1行で「ん?なんでXXXなんだ。」パラパラパラ「ををぅ!そういうことか!」再びパラパラパラ「こことここがこうなんだ」「すごい!!!!!」
 まだ未読の人は絶対にHPの解説を読まないように!最後まで読み終わったら、ここを見たら納得します。
ゴンザの園

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