リスク


 「リスク」という言葉は近年急速に使われるようになった言葉です。

よく「リスク=危険」と訳されることがありますが、これは正しくはありません。 Riskが17世紀生まれの比較的新しい概念であるように、日本語でこれに該当する概念がないことから、「リスク」とカタカナ表記で使われています。

 リスクは「対象が含む望ましくない事象」と表せます。 ここで「望ましくない」という価値的表現が含まれているとおり、リスクは個々の主観性をまぬがれない、つまり人それぞれの主観によってとらえ方も異なるということがポイントです。

また日本の諺で「虎穴に入らずんば虎児を得ず」にあるように、ネガティブな側面ばかりでなく、ポジティブな側面もあります。  身近な例としては、医療の現場で抗ガン剤は癌の治療薬として使われていますが、抗ガン剤の使用には副作用というリスクが伴っています。多くの場合、ある選択により被る効用・利益と不利益はトレード・オフの関係にあり、先にも述べたようにこの判断は個人の価値観で大きく左右されます。

これがより多くの人々の生活に影響を及ぼすような選択(エネルギー資源の利用、公共事業の採択など)においては、個人の利害だけでなく、社会全体への利害を考慮した公正な選択が求められます。