新選組！：第１１回、母上行って来ます

『新選組！』第十一回、母上行って来ます

元農民だからってことで講武所に振られて（あのおっさんとは認めない）。
別のところで「地位問わず！」とゆー募集広告を見て、略しすぎですかそーですか、京に行くことになりまして。で、準備で丸一回。
むしろ、周囲の大人、、、ってなんかそんな気がするんですよね。
近藤さんももう３０歳だってのに。；

周囲の人たちの「思惑」めいた回だったんじゃないかなと。

前回でも書いてますけども、新選組を描くのなら描くで、いかに彼らが「突出して心が清らかで」「正しくてぇ」というふーにするのが定番なんだと思うんですよ。
悲劇の終末なら尚更。
どれだけ彼らが周囲との軋轢に苦しんだか、苦労したかって。
ちょっと極端な例を挙げると、同時代の小説を幾つも書く人が、とあるところで主人公にしたはずの人間が余所で出てくると、全然違う人格になってる、なんてことも。


こういうふうに明文で書くと批判めいてきますけど、そーじゃないんです。
そりゃ、娯楽ってものの当然の在り方だと思うんですよ。
なんでなら、「悪役」の裏側を描けば当然爽快感みたいなものは薄れる、どちらがどうあっても解決しないものなんて、せめて作り事の中だけでも避けたいと思ったとしても、物語りの中くらい、単純で割り切れる世界であって欲しいと思っていたとしても。
それが悪いことだとは到底思えないんですよ。

そして、別に全くの別物だと、この話のことを言ってるわけじゃなくて。
例えば近藤サンとお母さんとの確執なんてのはありうるパターンだと思います。
己が百姓の出だということをまざまざと思い出させてしまう、養い子に対する、非難が解けて「今までの数々の無礼、お許し下さい」と頭を下げるシーン。

でも、野際陽子さんなんですよ。おかーさん、近藤ふでさん。
可愛いんですよ、彼女、ちょっと大きな声出しても。
理不尽なこと言ってても（言ってないな！　内容は正しい！！）、怒ってばっかりでも、「まあ悪い人じゃないよねー」と皆で納得顔なんですよ。ちょっと無視られるけど。
実際に、お母さんとの確執が物語りに影を落としてたかっつーと。
そんなことはないよね。
むしろこの話も、近藤サンがどうこうではなくて、「素直になれて良かったねー、お母さん」というふーなベクトルになると思うんだ。わりと。


主人公たる、近藤勇さんのためだけの話じゃないんだ。なんか。
それが悪いってんじゃなくて。
逆に、それだからこそ優れてる、と言ってるわけでもなくて。

後に、それこそ冒頭のシーンから敵対してるよーな。
桂小五郎さんも、「私は近藤くんのことが好きなんですよ」と口にして。
だから京に行って欲しくなかったと言い。
自分の側から離れて欲しくないという本当にそれだけで手紙を隠してしまう、奥さんのつねさんとか（これもどちらにもありうるか）。

誰が正しいとか、誰が間違ってるとかじゃなくてあるまんまに見える。

リアリティってんじゃないです、そーいうことじゃなくて。
土方さんに自分に興味がないってもう言われしまっているのに「私とのことはどうなさるのですか」と詰め寄ってしまったり（でも相手は近藤さんだー）（恨み言とまでは言わないけど、土方さんに報告くらいしたまえよ；）。
（でも、土方さん、十中八九もう拘ってないのだろーね。）

永倉さんが病気の元同胞を匿ってたりするのも。
そのために皆に内緒で賃仕事をしていたりしたのも。
一個ずつの意味は？
それは「どのよーな深遠なことを言わんとして」そんなふうな配置に展開にしているのですか、というようなことじゃなくて。
皆あんまり考えないで、なんとなくなんだろうけども。
でも、うーん。

この台詞の意味は？
この人の役割は？

とゆーふうに考える理知的な話よりも、私は少ーし好きかもしれません。
全体的に、これもごたついてて、これも一回の意味で考えるとばらついた。
あんまり大した、「社会的な主張」なんかはない回なんだと思いますよ。

うんまあ、身分がどーこーとか。思想の対立とか。
一般化できるんだろーということもあるんだと思います、ふでさんのコンプレックスとか、そーいうものも。
でも私は、「ふでさん良かったなー」とか「そかー、桂さんと敵対しちゃうんだよなー」みたいに考えたほうが楽しいんですよ。娯楽としても。

一人ひとりが物考えてるって。
あんまり大したことじゃあないかもしんないんですが、そー見えてます。ハイ。