仮面ライダークウガ：EPISODE 40　衝動

『仮面ライダークウガ』EPISODE 40　衝動

なんか、誤解されてしまったことがあるよーな気がするのですが。

特撮なぞにおける「正義」のエクスキューズは、私は好きではありません。てかよく考えてみると、正義ってそもそも、なんかしら害するものですよねぇ。
行動制限っていう（道徳？）穏当なこともあるし。
専守防衛のこともあるし、自分に全く関らない人間を気に食わないから、とぶち殴るのも正義の名の下に行われるわけです。

その幾つかは間違った正義だよ、ていうだけじゃなくて。
そもそも正義って危ういんじゃなかろーか。

てゆか、道徳ですら時にそうされるべきでない誰かが泣く。
生まれもってどうにもならん資質で責められてしまうことがある。
でもだからって、なければいいと思ってるわけではやっぱりないんですよ、言うなれば劇薬みたいなもので使い方次第。全てにおいてです、全て。
ルールも、規律も、冷たい法律なんかですら、武器も、道具も。


物語りも、「架空のヒーロー」も。誰かに影響を与える言葉もです。

んー、笑顔もかなぁ、『クウガ』の五代クンの、笑顔に自殺を思い留まったヒトがいたっていう女性のエピソードがあるらしーんですけど（あ、いや現実の話なんですが）、ずたずたに心裂かれた人もいるよーな気がしますよ。
話の中では蝶野くんとか。


「市民の皆さんの安全を、早く取り戻せるといいですね」

とゆー、冒頭付近に警察会議らしいシーン、桜井さんの言葉があるんですが。言葉がなんかの原稿みたいなんですよ。実のない。でもそれでも雰囲気は引き締まるんですが。

『皆さーん、おはよーございまーす♪』

と無線越しの一声で壊れる、そりゃあもう、見事にぶっ壊れる。
きりきりと決意を顕わにしてたものが、「どーしたんですか？」と聞く桜井さんも苦笑いとしか言いようがないし、杉田さんも部長さんも笑う。


んー。どっかで誰か。
笑うな、て怒るんではないですか。
戦えって、一刻の猶予なく、被害者のために。ぎりぎりぎりぎり、ただひたすら苦しめって。だって可哀想じゃないかと。その力があるのにと。

苦しんで限界来て、美しく死んでいけ、涙してやるから、と。

幻想の戦いは多分、そりゃあ美しいものだと思うんですよね。虫が湧いて刺されることもない、服がキツいなんてこともない、武器が汗で滑ることもない、みっともない練習の努力もない、草やら自然障害物に邪魔されることもない。
せいぜい、苦悩すべきは自分の孤独とか、そんな？
それが悪いってほど、もう大人気ないわけでもないですよ、単に嫌いなだけ。
ずーっと、「そんなものを好む人らがいる」っていう、紛れもない現実にびくびく怯えてただけですよ、心が弱かっただけです。


「憎しみで戦わなきゃいいんですよ！」
て結論は、もうとうに、多分３５話で出てたんだと思うんですよね。
だから私は泣いたのですけども。

「幻想の戦い」を、多分なによりも美しいそれを維持したいのならば、なによりも戦わなきゃいいんですよ、誰も反撃も邪魔も非難もしてこない。もしくは、そんなものが返って来た時点で。
自分を理解しない愚かな世界、と決め付ければいいんですよね。

私は荒川サンのちょっと荒っぽいまでの合理性が好きですが。
でも、今の、高寺氏の奇麗ゴトや、もしかしたらテコ入れの「正義」やら、井上サンが連れてきた蝶野くんの嘆きとか、そーいうのを経た上で成り立ってる全部のほーがずっと好きです。演出されただけじゃない、作り手の中にある価値観の差異とのぶつかり合い。


五代クンは番組が始まってから、１ミリも変化していないよーに見える。

奇妙なコトです、一条さんみたいな人ですら変わっているのに、椿さんみたいな飄々とした人も、みのりちゃんも、桜子さんも、健全な強さすら変質しているのに。
杉田さんも五代クンを受け入れてくれたしな。
異形としての五代クンに憧れていたのだろう（蝶野くんに似てるのかもしんない）、桜井さんもくつくつと笑ってしまう。

おやっさんや榎田さんは変わってない気もしますが。ｗ
でも、笑顔やサムズアップの返り率が格段に上がったぞ！

平成＆ミレニアムライダーの戦いはそんなだと思うの。
一条さんが陥落したんだから、あとはもうなんとかなると思うのー。
幻想じゃない靴擦れ起きかねない泥臭い戦いも、そんなに悪くないですよ。
多分。