iPod touch / 7.文字入力


iPod touch

Multi-Touch

Palmを買うときもその決め手となったのが文字入力だった。PDAでは文字入力の快適さが大きなポイントになると思う。

iPod touch/3.Palmと筐体比較にも書いたが、Palmの文字入力はスタイラスペンを用いたGraffitiで、このスタイラスペンを使った文字入力というのがNewton MPなどのPDAの代表的な方法であったが、iPod touchはソフトウエアキーボードとMulti-Touchという点が大きく異なる。邪推ではあるが、ジョブズはNewtonが嫌いだと聞くので、それ故スタイラスペンによる入力は絶対にありえなかったのかも知れない。

Graffitiは最初に文字を覚えるまでに時間を必要とするが、慣れてしまうと大変快適であった。*1友人のクリエを弄らせて貰ったときは文字認識の性能がアップしていてやっぱりPDAはコレしかないと思っていた。それでもやっぱりキーボードに慣れ親しんだユーザーもいて、Palmに外付けキーボードを繋いだり、Palmの文字入力の場所に無理矢理QWERTY配列のキーボードを配置するギミック=「ThumbType」などもあったがそれらがスタンダートにならなかったのはやっぱりスタイラス+Graffitiの文字入力の方が快適であったからであろう。幾ら文字入力を快適にしたいからといって外付けキーボードを付けるのは本末転倒だと自分は思う。

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さて、この「ThumbType」を見たとき、それまでGraffiti入力を経験した身からすると「どんな方法であれ、Palmの筐体にQWERTY配列のキーボードは人間の指の太さもあるし絶対無理だな」と思っていたので、iPod touchが発表されたときソフトウエアキーボードを採用したというので大変興味を持った。単純に考えてあのPalmの横幅ではQWERTY配列は無理だろうと考えていたが、ソフトウエアキーボードの利点を生かしてiPod touchを横にすればキーボードも横になるのであった。なるほど、これなら結構マシかも知れない。しかし、ソフト故文字入力の時の指先へのフィードバックを得られないという欠点は以前としてあるのである。が、それも押したキーが拡大表示されるというギミックをAppleは行って、多少なりともタイプミスを減らしたのであった。

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こうした細かい点は、iPodのグルグルがソフト的にクリック音を発するギミックとよく似ている。もしソニーがあのグルグル?インターフェースを作っていたとしたら、ハード的にクリック感を感じられる様にしていたと思われる。大変Appleらしさがにじみ出ている点だ。

さて、iPod touchが店頭に並び始めてから実際に文字入力を試してみると思っていた以上に快適であった。筐体を横にして横長キーボードにしなくても十分使えることも分かった。もし、まだiPhone/iPod touchの文字入力ってどうなの?って思っている人がいたら、是非店頭で試して貰いたい。PDAではThumbTypeの様なQWERTY配列のキーボードは無理だという思いはすっかり消え去った。

文字入力のときのTipsとしては、「タイプしたい文字は指を話したときに入力される」という事。目的の文字は指をプッシュしたときではなく、リリースしたとき、その時指定した文字が入力されるのである。なのでキーボード上をさまよいながらスライドさせて任意の文字の所に来たらリリースされればその文字が入力される。ハードーウエアキーボードは押したとき、ソフトウエアキーボードは離したとき、その時点で指定された入力される文字が決定されると言うことを覚えておこう。

カナ入力

iPod touchのキーボードはそれだけに留まらなかった。iPhone 3Gの発売と同時にOS2.0にアップデートされ、日本人待望の?テンキーかな入力(と呼ぶのか?)も搭載されるようになった。このキーボードはケータイ電話でお馴染みの電話のテンキーにならったキーボードで、片手で入力出来る点も魅力的だ。Palmが文字入力を片手にPalmを持って片手にスタイラスをもって入力という方法を前提に考慮された筐体サイズであるとするなら、Palmとほぼ同じ大きさの筐体のiPod touchも片手にiPod touchをもってもう一方の片手でMulti-Touchによる文字入力が前提の筐体サイズとも想像できるから、この片手で入力できるテンキーかな入力は日本のケータイ電話に慣れ親しんだ身からすると、横幅が大きくちょっと入力しずらく感じる。もうチョット幅の狭い筐体になればその点は快適になるだろうから、iPod touch nano?の登場を期待しよう。

さて、このテンキーカナ入力はケータイ電話でお馴染みだけれど、例えば「お」を呼び出すには「あ」のボタンを5回押さなければならないのが普通のケータイ電話なのだが、Appleはそんな面倒なことをしなくても大丈夫なギミックを用意してくれた。

長押しすると他のキーがうっすらとブラックアウトする素早くスライドしたときの表示
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任意のボタンを長押しすれば、十時のカタチで他の候補の文字を表示してくれるので指をそのままスライドさせるだけでOKだ。わざわざ何回もボタンを押す必要はない。この点もソフトウエアキーボードならではのギミックでAppleらしさが十分表れている点だ。
このテンキーカナ入力のTipsとしては、目的の文字が含まれている任意の文字ボタンを長押しするのではなく、必ず決まった場所に表示されることを覚えていればプッシュ>スライドするだけで、長押しする必要なく文字入力が快適に出来る。

欠点

使えないだろうと思っていた小さなPDA筐体のソフトウエアキーボードであったが、流石Apple、ちゃんと使えるようになってリリースされた。

んが、しかし。iPhone 3Gの発売されてから文字入力の時OSが止まったようになるとの報告がいくともあった。また、一度再起動させると再び快適な文字入力が出来るとの噂もあった。どうやら文字入力時に他の作業にリソースが食われてしまうために起こるバグの様であったが、OSが2.0.1にアップされて解消されたとの事である。

しかし、実際にはやっぱり動作が遅くなるときが多々ある。一文字一文字の入力が遅くなるだけでなく、入力候補の表示も遅くなるのである。正直今までケータイ電話に慣れ親しんだ身からするとかったるくてやってられない。この欠点がイヤで手放してしまう人もいるだろうともうと、折角優秀なソフトウエアキーボードなのに非常に残念に思う。

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