Macchina / 2021-01-12


Macchina

CITROEN Ami

きっかけは車好きのオイラにかみさんがコレって面白いよと教えてくれたフランス在住の作家 辻仁成氏のblogだった。

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パリ最新情報「免許証がなくても、14歳以上であれば乗れる?車が登場」

昨年2019年にニュースでCITROENの往年の名車?AmiがEVとして復活するというのは知っていたけれど、まさかコレほとまでとは思わなんだ。すでにパリでは走っているようなのでググればいくつでも情報は得られるけれど、手っ取り早くAmiの基本情報を列挙してみよう。

  • 二人乗りEV
  • 2,410 × 1,390 × 1,520mm(長×幅×高) 490kg
  • 車名のAmi = 友達の意味。以前販売していた車のリバイバル
  • 車ではない。「移動手段」
  • レンタル代 2,400円/月 ※初回支払額€2,644 ≒ 31万円
  • カーシェアリング 約30円/m = 1,860円/h
  • 購入 €6,000 ≒ 71万円
  • 免許なしで運転可。14歳〜(仏)、16歳〜(他EU圏内)
  • 3時間でフル充電(220V)
  • 航続距離 = 70km
  • 最高速度 = 45km/h

この辺が基本情報と言えるだろう。

確かトヨタでも二人乗りEVを発表(発売?)していたし、基本コンセプトも似通っているはずだ。昨年Ami(という車名)復活の第一報を目にしたとき自分もそのくらいしか認識していなかったので、ほぼスルーしていた。

また、レンタル代 月額2,400円 というのは結構衝撃的でニュースサイトでもそうしたことがヘッドライン等目につくところに出てくるけれど、コレについては頭金が約31万円ほど必要というちゃんとオチがあることは意外とスルーされていることが多い。

それでも購入するなら71万円という低価格なのは結構インパクトあるのだけれど、そのへんの秘密?は画像をみると徐々にはっきりしてきた。

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ご覧のように

  • 前後対象デザイン
  • 色付き樹脂のままなので、塗装仕上げなし
  • ダブルシェブロンのエンブレムもシールか印刷(想像)

フロントライトの位置がリアのストップランプになっている。前後が全く同じなので、リアウインドウにガワを貼り付けて横から見た時その違いがわかるようにしている。

そしてある自動車ニュースサイトでは

乗り降りしやすいドアは、ドライバー側は後ろヒンジ、助手席側は前ヒンジという独創的なレイアウトで、乗り降りがしやすい構造だ。

https://autoprove.net/citroen/ami/189865/

としている。文面だけツラと読むと乗降しやすいように前ヒンジにしたかのように受け取れるが、そうではないのは下の画像を見れば明らか。

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もし、乗降のしやすさを目的とするなら運転席助手席とも前ヒンジにするはずだが、そうではない。つまりコレは…

  • 左右のドアも共通。故にヒンジが左右で異なる。

コストダウンのためにそうなっているのだ。前後のデザインが同じなのも、樹脂のままで塗装無しなのもすべてコストダウンのためなのは明らか。



製造工程での徹底したコストダウンがこの低価格帯を可能にした。例えば、フロントとリア、左右のドアはそれぞれが全く同じ形状でできているのは、部品の種類を大幅に減らしたため。そのため、ドアの開き方が左右非対称なのはご愛嬌。ボディパネルの素材にはシトロエンが得意とする色付きのポリプロピレン樹脂を採用した。通常は金属の板を成形したものに塗装を施すが、「アミ」は着色された樹脂をインジェクション成形することで塗装工程を省き、軽量化している。

先の https://www.designstoriesinc.com/panorama/voiture1/ より抜粋



画像を注意深く観察するとコストダウンの努力はあちこちに見ることができる

  • 暖房 = ○、冷房 = ×
  • ウインドウは下半分だけ"手動"で開閉。2cvのDNAを感じますね。
  • ドアの開閉はオレンジの紐を使う(想像。上の女性がドアを開いている画像ではオレンジの紐を引いている様に見える)
  • 助手席足元にバッグが置ける。引っ掛けるフックもある。
  • 初代パンダの様なダッシュボード

https://www.youtube.com/watch?v=SBD0Q9p4bR4



この辺の詳細なレポートは海外からのが多い。コロナ禍で国内のジャーナリストが現地で確認できないというのもあるのだろうけれど、ホンダeはそうじゃないんだよねぇ。

わざわざサンルーフが標準になっているのも、コストダウン等で窮屈な車内を開放的にしたいということや、夏季室内温度が高くなることの対策と思われる。

辻仁成氏のblogには未だ確認できなかったシートバックの構造の一部も確認できる画像があり大変貴重なソースとなっているし、なにより現地からの生レポートなのでその辺の国内の自動車関連サイトよりも情報がギュッと詰まっている。Marvelous!!

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ここまで簡略化していると自ずと安全性などが心配になってくる。実際そうしたこと問う発言も見聞きする。

おそらく日本車ではここまで思い切ったことは出来ないだろう。欧米のメーカーでも殆ど変わらないと思う。そ

ここで念を押して言わせてもらいますが、この乗り物は決して『Car(自動車)』ではありません…。シトロエンの公式サイトでも、「移動手段」と訳すことができるそれぞれの国の単語、「MOBILITÉURBAINE」「MOBILITY」「モビリティ」で表現されています。そこには、「Voiture」「Car」と強調する言葉はありませんでした

https://www.esquire.com/jp/car/car-news/a35018519/the-staff-of-esquire-uk-rode-citroen-and-ran-through-the-city-of-london/ からの抜粋だが、CITROENはこの新型Amiを車とは捉えていない。「移動手段」として捉えコンセプトを練りって作っている。

先の辻仁成氏のblogにも

>デザインのポップさも家電の延長線上にあり、売っている場所は家電量販店かネットのみ

と記している。こうした販売方法からしてCITROENはAmiを既存の車とは別にみているのは明らか。そうした視点はEVを手掛け始めた自動車メーカー以外の多くの会社そのものだ。かれらのアプローチは既存の自動車メーカーと異なるが、それをCITROENという既存の自動車メーカーが行ったということが凄いことなの だ。



残念ながらAmiは日本での発売は予定されていない。恐らく永遠に無いだろう。

しかし、最近勢いのあるCITROEN ジャポン? は 頑張って1台で良いから日本に持ってきて欲しい。

そして、日本のジャーナリストに紹介して試乗させてレポートさせてほしい。

きっとAmiは日本の自動車メーカーの琴線に触れることになると思う。