Macchina / 2012-06-04


Macchina

PUNTO ELXを再認識す

今年で9年目を迎えるGF-188A5。タイミングベルトは未交換だし、サスもマウントもヘタって来ている。もう、いっそ買い換えか?!ということで、国産車を幾つか試乗したけれど結果的にはPUNTOの良さを再認識するに至っただけだった。

GF-188A5は、当時の販売価格で157万だったかな?
エアコン・オーディオなど必要な物(キャンペーンとかでキーレスエントリーもついてきた!)は付いていてこのお値段というのはどう考えても安かったし、今でも安いと思う。

で、今回試乗したのはデミオ・スイフト・フィット。ホントは外車それもイタ車にいきたいところなのだが、PUNTO EVOはベースグレードでも200万を超えるしパンダはディスコンに。150万で買える外車なんてこの時代皆無なんで、同じクラスのハッチバックが選択されたわけだ。

スカイアクティブデミオ

話題いっぱいで期待しもしていたがエンジンが特別良いのかわからんかった。エンジン云々の前に走り味が軽のソレに感じてしまい期待していただけに参った。

スイフト

MTを所望したら社員のRSになった。乗り出して直ぐにその剛性感の高さを感じた。国産車にありがちな操作系の変な軽さも無く良い。好印象。なんというか、普通に良い。普通はこうだよね?

フィット

売れ筋の1.3G。シートポジションが妙に高く、聞くとフィットはベースがあくまでもハコ(セダン)では無いので自ずとこのポジションになってしまう、と。"走りのRS"でも同じらしい。ご自慢のセンタータンクが床面を上げているのか? まぁ乗降性は良いだろうけれど...。走り味はデミオよりマシだが似たり寄ったりだ。

デミオは論外。フィットはユーティリティーが優れているが、やはり変だ。なぜこうも変に感じるのか考えてみた。

考える

面白いのはフィットのカタログだ。普通クルマのカタログは最初の数ベージはクルマのイメージを印象づける写真が並ぶのだがフィットのそれは違う。いきなり細々とした説明に入るのだ。このフィットのカタログがそのもの自体の性格を表しているのだと思う。このクルマを選ぶ人は外観のデザイン等はあまり重視しないのだろう。いきなり燃費だとか使い勝手の説明に始まるカタログ同様そうした事を重要視する人が選ぶのだと思う。
そして、それは試乗してみるとハッキリと認識されるのだ。もう別にデザインとかは凝っていなくて良いでしょう? 変じゃなければ。走りも普通に町中を走る分には充分でしょう? それよりも燃費よ、それに荷物もたくさん詰めないとね...。そうゆう声が試乗していて聞こえてくるようだ。

試乗中はエコモードであったせいも多分にあると思うが、なにぶん走りがシャッキリとしない。デミオもであったが、今の時代を反映した結果なのであろう。つまり、エコ。もうクルマとしての機能はソコソコなので、壊れないで走ってくれればOK。それよりも燃費、燃費、燃費。セッティングの方向が全てそっちに向かっている気がする。

記憶ではミラがカタログ値でATがMTの燃費を超えた最初のクルマだったと思う。そして時代はいつしか完全にMTよりもATの方が燃費が良くなった。少なくともカタログ値では。恐らくそのミラの登場の前後からクルマは完全にATを基準としたセッティングに変わったのだと思う。そして今のエコブームでは兎に角減税対象車にもしなければならないから妙に高い空気圧にして乗り心地や走行性を犠牲にしたセッティングにまでなってしまった。かつてのカタログではその道のスペシャリストがMTでエコランして数字をだしていたのだろうけれど、細かい燃料制御などを含めたミッションの制御までコンピュータで制御できるようになったことで燃費はATがMTを超えるのが当たり前になったのだろう。

デミオやフィットと違って、試乗車が唯一MTだったというのもあるだろうがスイフトだけが走行性能が、否クルマとしての基本性能際立っていた。恐らくスズキはフィットの路線にいっても勝てない/出来ないという事情があったのだろう。またデミオのような特徴的なエンジンを作ることもできなかった。そして欧州市場でも他の欧州車と競合していかなければならない為選んだ道がクルマとしての基本性能を全体的にアップしていくという道であったのだと思う。なるほど、ポロにも肉薄する総合的な走行性のと評価されたスイフトであるが、確かにあの値段137万?であそこまでやってくれればユーザーとしては嬉しい。


スイフトでキマリ?

もうスイフトRSに心が決まりそうなのではあるが、スイフトの弱点が...。そうラゲッジスペースが軽並みに狭い。悲しいくらいだ。開口部も狭い。その分剛性があるのだとは思うが。 ただその点以外は好印象だ。Aピラーも最近のクルマに比べて立ち気味で窮屈感がない。フィットのようなバタ臭くガキぽいインパネのデザインとは異なり、普通にスッキリしている。またデミオのような安っぽさも無い。室内は取り立てて広いわけではないがまぁ及第点。兎に角普通に良い。何かを得るために他を犠牲にすること無く基本性能が普通に良い。RSの特別装備である外観のパーツは歳柄不必要だがそれほど目立つものでもないからヨシとしよう。

進化停滞か?

ラゲッジスペースに目をつぶったとしても、しかし安全装備が9年前のPUNTOより落ちるというのはイカンともしがたい。フィットを試乗している時にシート高の話をしたら、営業マンがシートを交換すればOKという。 (;´Д`)ノえーっ サイドエアバッグが付いているからダメなんじゃない?と聞いたら、試乗車の運転席・助手席のエアバッグしか装備していないから大丈夫との話だった。PUNTOは最終型ではエアカーテンまで装備されたのに今時のクルマがまだ装備されていないのは信じられなかった。不安になってカタログを見てみると確かに今回試乗したクルマには運転席・助手席のエアバッグしか装備されていない。もっとグレードが上がれば装備されるし、フィットの場合はオプションで設定できるがそれにしてもメーカーの姿勢が問われるところだ。
安全装備(走行性能も)を蔑ろにして、兎に角カタログ上安価にみえるように安全装備を省いているとしか思えない。聞くところによると今後新車登録されるクルマには、横滑り防止装置や後部座席の三点式シートベルトが義務化されるらしいが、国産メーカーはこうした装備が義務化して装備するだろうが、恐らく他の何処かをコストダウンしてカタログ上の価格だけは維持しようとするだろう。

今のクルマはオーディオレスが標準だから、購入時にはナビを付けさせてそこで設ける腹づもりなのだろうし、そんなこんなをかんがえると、性能的にも金額的にもPUNTOの素性の素晴らしさを再認識するに至ったわけだ。10編ほど前の輸入車で、後部座席のヘッドレストは3つキチンと装備しているし、勿論3点式シートベルトだ。そして運転席・助手席エアバッグにサイドエアバッグとエアカーテンも装備。最初からCDオーディオ(なんと!ウーハー付き)が付属しているしキーレスエントリーも付いてきた。ラゲッジスペースはフィットには及ばないがデミオよりもでかい。4000mmを切る全長と5ナンバーサイズの全幅は街乗りでの使い勝手がよい。スバル製のCVTも信頼性が上がりセッティングも変にエコに振っていないのでOKOK。しして燃費もそこそこ。なんら不自由がない。

スイフトRSに乗って最初にそのボディ剛性にシビレたが、PUNTOはもう9年も経過しているクルマだ。剛性感があるのは当たり前だし、冷静に考えれば9年経過してもまだまだイケるPUNTOだ。あぁ、PUNTOがMTであったならこんなにも試乗して悩んだりはしなかったであろう、きっとブッシュなど交換してリフレッシュさせて乗り続けることだろう。

約10年経過してクルマはどんなに進化したのか? 期待したわけだがそんなことは無く、むしろ基本性能は蔑ろになってきているのではないかと感じ悲しくなった試乗記だった。

第2回 真っ当なクルマ FIAT Newプント

今改めて読むと、うんうん、そうなんだよねーって思ったり。