朝、あまりにも気持ちよかったもので...、エッセイ風にしてみました
朝、外にあるポストに新聞を取りに行こうと玄関を出たらすっかり秋になっていた。昨日までの猛暑はどこへ行ってしまったのか?
風がスゥーと吹いて体の中を通り抜けていった。スッゴク気持ちいい。
どこか懐かしい匂い、風。でもどうしても思い出せない。もどかしくて悔しい。
気分が良いので何時のも駅ではなく、公園を抜けて池袋線の駅まで行くことにした。
参道を通り抜け、裏の神社を通り抜けるとそのまま自然と公園に入っていく。
池の対岸にある高級住宅地沿いのルートは池越しに公園を眺めながら歩くことが出来る。
だけどアスファルトの路面になってしまうので、遊歩道を歩くことが出来る公園の中を抜けるルートにすることにした。
高級住宅地沿いルートと違ってクルマも入ってこないし、何よりより緑をより身近に感じられる。
すれ違う人はみな散歩をしている人たちだけで、さすがに通勤で遊歩道を歩いている人はいない。
もったいないと思う。こんな日は徒歩時間がいつもの倍になったって、会社に遅刻したって公園の中を歩いた方が全然気分が良い。
駅に着いたら大分時間が経過していたが、遅刻せずにすむだろうか?
いつもよりちょっと遅めの電車は混み具合も多少緩いみたいで早速受け取った文庫本を開いた。
札幌に転勤してしまったツーリング仲間の友人と先日久しぶりに再開した時に彼から渡された文庫本。
読み進んでいくうちに最近すっかり醒めてしまっていたオートバイへの気持ちがドンドン盛り上がってきた。
『魔法の道具』
たしかにオートバイは魔法の道具だ。自転車でもクルマでもない、乗り手がいないと成立しない不思議な乗り物。
何年も前のツーリングが鮮やかに思い出されていく。
あの匂いと風はその昔毎年9月行っていたツーリングの時と同じだと判った。