穴(HC)


 日本に投下された三つの爆弾*1によって開いた巨大な穴。
 衛星からの撮影でその形が真円であることはわかっているが、ノイズしか写らないため、中がどうなっているかは不明。

 爆弾は東京都中央区付近、大阪府大阪市付近、愛知県名古屋市付近に投下され、それぞれが巨大な穴を開けた。
 穴の大きさはまちまち*2だが、大きさに比例した範囲の周辺環境が激変。東京は大地から養分を奪われ砂漠化。愛知は逆に植物が異常繁茂して密林化。大阪では結晶体*3が異常成長し、すべてを覆い尽くした。
 さらに“穴”から魔物?(クリーチャー)が大量に現れ、“穴”の周囲に住み着いたことで、一般人の生活が難しいエリアになってしまった。こうして日本は、実質的に国土の1/3を失うこととなる。

 こうして2098年、日本は政治的にでも経済的にでもなく、物理的に破綻。
 2118年において、事実上「日本」という国は存在していない。ただ「日本」と呼ばれる島があるだけである。


*1 この“爆弾”に関する情報は一切わかっていない。どのようなものなのか、どのような技術で造られたかはもちろん、誰が、どうやってこれを日本に投下したのかすら不明である。
*2 東京は二十三区の1/3程度の大きさだったが、愛知県の穴は遠く新城市まで及び、岐阜県、三重県もえぐり取った。大阪府のものも京都府・奈良県を抉り、兵庫県は1/3が飲み込まれた。
*3 地下のものだけではなく、加工品や人間が結晶化させたものも含む。