第四次世界大戦の最初期に焼き尽くされた「関東荒野」。今や顧みられることもない旧時代の生活の跡が屍を晒す大地でも、人は生存している。
砂塵吹き荒ぶ荒れ野に異形の姿で聳える「二連塔」。その周囲に広がる瓦礫の街が、今は「シンジュク」と呼ばれている。
シンジュクの至近には巨大な“穴”――「東京大黒穴」がある。
数多の“魔”を吐き出した黒穴は注目を集め、世界中の諜報機関が尖兵を送り込んできた。
また同時に“穴”やその産物、また前世紀の遺産を狩り集める「ハンター」、そして彼らを当て込んだ企業や商売人……様々な人間がシンジュクには集っている。
シンジュクと呼ばれているものの、旧新宿区の半分はクリーチャー・ショックに飲み込まれている。そのため人間は生活圏として新宿御苑以西、都庁ビル周辺から旧豊島区・池袋、旧中野区哲学堂周辺までを確保したにすぎない。しかしそれ以降に居住する人間も多くおり、またクリーチャーの中でも善性の高いもの、人間に近い生態を持つものがシンジュクの住人になっていることもよくあるため、明確な境界線はない。
旧東京には他にも人が居住しているエリアは点々と存在しており、特に各組織の中枢はシンジュクのエリア外にあるが、情報や経済はシンジュクを中心に巡っており、どの組織もシンジュク内に拠点を構えている。