来談者中心療法


来談者中心療法

  • らいだんしゃちゅうしんりょうほう
  • Client-Centered Therapy

 Rogersおよび彼の共同研究者たちによって展開されてきたカウンセリングの立場。最初は非指示的療法と言われていたが、その用語がカウンセラーの技法性や受け身性を強調してしまうことから、この名称を用いるようになった。現在ではパーソン・センタード・アプローチとも呼ばれている。その展開のプロセスと振り返ると次のようにまとめることが出来る。

 1.非指示的カウンセリングの時期(1940年代):クライエントの問題や生育歴を分析し、原因と処方を指示しようとする従来の方法を批判。クライエントの中に存在する成長力を信頼し、非指示的・受容的に見守る新たな方法が提示された。

 2.来談者中心療法の成立・展開の時期(-1950年代後半):非指示的な技法よりもカウンセラーの人間的態度を重視。パーソナリティ理論としての自己理論の提示により、理論的バックボーンが整備される。数多くの実証研究の遂行。

 3.来談者中心療法の深まりと実存化の時期(-1960年代後半):ウィスコンシン・プロジェクトにおける分裂病患者の治療の試み。カウンセラーの純粋性・自己一致の重視。Gendlinによる体験過程の概念の登場。非指示的・感情反射的な技法からの脱皮がいっそう進む。実存的な立場への接近。

 4 .来談者中心療法からパーソン・センタード・アプローチへ(-現在):エンカウンターグループの実践、様々な社会問題への展開が行われる。一方、Gendlinはフォーカシングを開発。体験過程療法へと発展する。(カウンセリング辞典:誠信書房を参考にした)

(20000512)