非指示的カウンセリング


非指示的カウンセリング

  • ひしじてきかうんせりんぐ
  • non-directive counseling

 ロジャース(C.R.Rogers)らが発展させたカウンセリングの立場の初期(1940年代)の呼称。来談者の抱えている問題の具体的な解決よりも、来談者自身の心理的成長と自立を重視する。人間には、自分の抱える問題を自分自身で解決する能力があるとし、来談者の感じているどのような感情であろうとも、自由に表現できるような暖かい受容的な雰囲気が醸成されれば、来談者は、自らカウンセリングのプロセスを展開し、洞察へと歩んでゆくと考える。そのためにカウンセラーは、来談者に傾聴し、感情の反射、感情の明確化といった非指示的技法で応答する。生育歴の分析や原因の指摘、解釈、解決法の指示などは、上述のプロセスを妨げるため行わない。

 現在でも、技法面に注目した場合、この呼称が使われることがある。しかし、この立場が、技法と不可分で、より根源的なカウンセラーの態度を強調するように深化・発展したため、来談者中心療法(Client-Centered Therapy)という名称が用いられるようになった。(カウンセリング辞典:ミネルヴァ書房[印刷中]筆者担当項目より)