常陸国の高師四郎は主君の死後、その遺児春満の後見人となっている。四郎が主君の命日に菩提寺で回向をしていると、春満から両親の弔いのために出家するという書き置きの文が届く。四郎は嘆き、春満の行方を追う。 一方、春満は高野山の僧に伴われ、三鈷の松を眺めている。そこへ物狂となった四郎が春満を捜し求めてやって来た。物狂の闖入を咎める僧に四郎は反論し、さらに高野山の縁起を物語って舞い狂う。やがて春満は四郎に名乗りを上げて再会し、ともに故郷へと帰る。 主従関係を軸にした数少ない男物狂能。
主人の命令で蝸牛(かたつむり)を捕まえに来た太郎冠者。主人から聞いていた蝸牛の特徴と薮の中で寝ていた山伏の姿がそっくりであることから、山伏を蝸牛と勘違いして…。 音曲に浮かれ踊る楽しさと、ナンセンスな笑いに満ちた狂言。