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晴れた日は、愛用の杖を携えて、人知らぬ裏町や寒駅を飄然と散策する。雨の日は、皿や茶碗を撫でたり眺めたりして日を過ごす。「人というものは「愛する心」を失わないうちは、いかなる境遇にも堪えて行かれるものなのである。人に対しても物に対しても、また自然に対しても―」傑作「東海道品川宿」を中心に近代随筆の最高峰と謳われた素白随筆を精選する。