都々逸


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火のないところに煙はたたぬ 立てなきゃ立たないその噂
根も葉もないのに 枝までそえて 二人の噂に 花が咲く
惚れちゃいるけど 言い出しにくい 先の手出しを 待つばかり
惚れた証拠に あなたの癖が みんな私の 癖になる
去年の今夜は 知らない同士 今年の今夜は うちの人
じらさないでよ もう待てないわ 早くさしてよ 次の手を
巻きタバコ 体まかせて 口まで吸わせ 灰になるまで 主のそば
何ごとも なかったような顔して帰る 白い化粧の 朝の月
酒の相手に 遊びの相手 苦労しとげて茶の相手
わたしゃあなたに 火事場の纏(まとい)ふられながらも 熱くなる
うちの布団は 燃えてもいいの いくら燃えても 水入らず
間違いが あったら怖いし 心配だから 付けて下さい この保険
何のとりえも ない人だけど 嘘がうまくて 長続き
四角い火鉢を 間に置いて まるくおさまる 夫婦仲
こうしてこうすりゃ こうなるものと 知りつつこうして こうなった
から傘の 骨の数ほど 男はあれど 広げてさすのは 主一人
いればよかった 他人のままで ブスが美人に 見えた酒(小金馬)
あの人の どこが良いかと たずねる人に どこが悪いと 問い返す
明けの鐘 ゴ〜ンと鳴るころ 三日月型の 櫛が落ちてる 四畳半
あなたに見せよと 着てきた着物 それをぬがすも またあなた
惚れたときには いらない理由(わけ)も 何で別れる ときに要る
あなたにかけた 私の人生 かけたんだもの わりきれる
あきらめましたよ どうあきらめた あきらめきれぬと あきらめた
夢に見るようじゃ 惚れようが薄い 真に惚れたら眠られぬ
夕立の ざっと降るほど 浮名は立てど ただの一度も 濡れやせぬ
人の知らない 苦労もあれば 人の知らない 楽しみも
信州信濃の 新そばよりも わたしゃあなたの そばがいい
松という字は 木偏(きへん)に公(キミ)よ 公がはなれりゃ 木がのこる
時計の針さえ 重なる時が あるのに寂しく ひとり寝る
三味線の 三の糸ほど 苦労をさせて いまさら切るとは バチあたり
今宵かぎりを かさねたふたり 今宵かぎりが 今宵まで
口づけ以上は やっぱり怖い ちょっと迷った 恋心
ほれた数から ふられた数を 引けば女房が 残るだけ
枯れているよな ススキの穂でも キラキラ光る 月の下
顔みりゃ苦労を 忘れるような 人がありゃこそ 苦労する


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