多くの作家に愛され、数々の名作を生み出す影の力となった、すてきなホテルのすてきな物語。
創業者をはじめ、支配人たちが語る作家たちの素顔を通して、50年にわたる文壇の一面を浮き彫りにするとともに、特別なホテルを目ざすスタッフたちの情熱をあますところなく伝えている。
当然ながらこのホテルは、小説家だけのホテルではない。わがままで好みのうるさい作家たちを満足させるホテルは、サービスの行き届いた宿に泊まりたいと願う一般の宿泊客をも、充分に満足させてきた。
一度は泊まってみたい、特別なホテルの特別なサービスを、著者の温かい筆致によって、読者は心地よく楽しむことができるだろう。
Uブックス化にあたり、坪内祐三が解説を執筆し、花をそえている。