屋島


基礎データ

  • 読み:しま
    • 別名:八島?
      • 読み:しま
  • ジャンル:能楽
  • 成立:
  • あらすじ:「銕仙会HP」より

    平家物語』などに取材する修羅物?の代表的な作品であり、作者は世阿弥とされる。

    都より旅を続ける僧が西国行脚へと向かい、春霞の中、四国は讃岐の国八島の浦に辿り着く。折りしも、時は日暮れの頃。一夜の宿を乞うため付近の塩屋に向かうと、釣りを終え、沖から八島の浦に帰った漁翁と漁夫が塩屋へと戻って来る。

    宿を乞う僧に、あまりに見苦しい住まいであるからと一度は断った漁翁ではあるが、僧が都の人と聞き、粗末な蘆葺の苫屋に招じ入れる。旅の僧の所望にまかせ、漁翁は「いでその頃は元暦元年三月十八日の事なりしに、平家は海の面一町ばかりに舟を浮べ、源氏はこの汀にうち出で給う。大将軍の御出立には…」と、屋島の合戦の有様を語る。漁翁の語る戦の様子があまりにも詳しく、不審に思った僧が名を尋ねると、夜明けの修羅のときに名のろうと言って「義経?」の名をほのめかしつつ、漁翁は消え失せる。〈中入〉

    間狂言で登場するのは、本物の塩屋の主。主は旅の僧を相手に、奈須の与市の扇の的の話を身振りを交え語って聞かせ、先刻僧が出会った老人は義経の亡霊であろうと言い、しばらく逗留し重ねて奇特を見るようにと勧める。

    僧の夢に現れた義経の亡霊は、妄執ゆえになおも成仏できずにさまよう己の身を嘆きつつ、この世への執心の深さのほどを僧に訴える。

    そして、名高い弓流し?の話が物語られる。月が冴えかえる春の宵。判官が海中に落とした弓は、波間にゆられはるか遠くに流されてしまった。弓を敵に取られ、義経は小兵で非力であると言われては無念であること、もし敵に討たれることがあれば、それも己の運と、あえて危険を冒し、波に引かれた弓を取り返す。

    やがて、修羅道の責め苦である合戦のときとなり、能登の守教経?を相手に激しい戦いの有様を見せるが、夜明けとともに姿は消え去り、あたりには風もさわやかな春の海が広がる。

    前場、後場ともに、よく知られた源平の合戦の模様が描かれ、義経の勇姿が浮かびあがるとともに、修羅の苦しみの描写も存する、非常に構築的な大作である。

資料

.09.MZZZZZZZ.jpg

音源

活字

参考サイト


関連するページ