ATS-Ps形


ATS-Ps形

ATS-Ps形の概要

ATS-Ps形はATS(自動列車停止装置)の一種であり、またP型ATSの一種である。JR東日本のみが導入しており、現在のところ全て拠点P方式?で設置されている。JR東日本の改良形ATS (ATS-Sx?)であるATS-Sn形?との互換性に配慮したシステムで、ATS-Ps形設置線区には全てATS-Sn形?が併設されている。ATS-Ps形はP型ATSグループの中では最も保安度が低いと見られるが、今後はさらに保安度が低い方法で整備が行なわれる予定である。

 

ATS-Ps形の分類

  • 全駅設置方式
    設置線区の全ての駅絶対信号機?に対して速度照査?を行なう方式である。現在のところ、ATS-Ps形はこの方式で整備されている。
  • 一部設置方式
    設置線区の極く一部の主要駅に設置する方式である。線路終端部に於ける過走防止対策を特に重視して整備されると思われ、すでにATS-P形が設置されている駅も含め23駅への設置予定が公表されている。現在のところ、設置された例は未確認?である。
 

ATS-Ps形の速度照査機能

ここではATS-Ps形が有する速度照査機能を記す。ATS-Pによる基本的な速度照査機能についてはATS-Pの速度照査機能を参照のこと。また、ATS-Ps形整備線区には以下の設備の一部しか設置されておらず、これについてはATS-Ps形線区に於ける速度照査の現状を参照のこと。

  • 絶対信号機に対する速度照査
    出発信号機や場内信号機などの絶対信号機?の赤信号に対してパターンを発生させ、速度照査を行なう機能がある。
  • 許容信号機に対する速度照査
    許容信号機である閉塞信号機?の赤信号に対してパターンを発生させ、速度照査を行なう機能がある。
  • 分岐器に対する速度照査
    分岐器の速度制限に対して速度照査を行なうことが出来る。速度照査には2基のマーカ地上子(90KHzと95KHzの組合せ)を用いる。制限速度は設置間隔により設定していると思われる。
  • 曲線に対する速度照査
    曲線の速度制限に対して速度照査を行なうことが出来る。速度照査には2基のマーカ地上子を用いる。マーカ地上子の周波数の組合せ、或いは設置間隔、或いはその双方により制限速度を設定していると思われるが詳細は不明?
  • 最高運転速度に対する速度照査
    これの機能については不明?である。
 

ATS-Ps形線区に於ける速度照査の現状

  • 絶対信号機に対する速度照査
    ATS-Ps形線区の全ての駅に於いて絶対信号機に対する速度照査が行われている。ただしこれはATS-Ps形搭載車に対してであり、ATS-Sn形搭載車に対して速度照査は行なわれない。なお従来は全ての駅に設備が設置されてきたが、今後は途中駅への設置を省略し、極く一部の主要駅のみに設置される予定である。
  • 許容信号機に対する速度照査
    現在のところ実施されていない。また仮に設備を設置してもATS-Sn形搭載車に対して速度照査は行なわれない。
  • 分岐器に対する速度照査
    極く一部の分岐器でATS-Ps形によるパターン速照が行われているとする説があるが未確認?。ATS-Ps形のマーカ地上子を設置してもATS-Sn形搭載車に対しては速度照査が行なえず、地上タイマー方式?分岐器速度制限装置?を重複して設置する必要がある。分岐器速度制限装置のATS-Sn形地上子がATS-Ps形搭載車の常時発振周波数73kHzを検知出来れば、ATS-Ps形マーカ地上子をせずともATS-Sn形搭載車・ATS-Ps形搭載車双方に対して分岐器速照が可能であると思われる。なお、JR東日本のATS-Sn形線区には分岐器速度制限装置が全く設置されていないとする情報があり、これが事実であればATS-Ps形線区ではほぼ全ての分岐器で速度照査が行われていないことになる。
  • 曲線に対する速度照査
    現在のところ、曲線での速度照査は行なわれていない(ごく一部の曲線で速度照査を行なっているとする説があるが未確認?)。ATS-Ps形のマーカ地上子を設置してもATS-Sn形搭載車に対しては速度照査が行なえず、地上タイマー方式?曲線速度制限装置?を重複して設置する必要がある。曲線速度制限装置のATS-Sn形地上子がATS-Ps形搭載車の常時発振周波数73kHzを検知出来れば、ATS-Ps形マーカ地上子をせずともATS-Sn形搭載車・ATS-Ps形搭載車双方に対して曲線速照が可能であると思われる。ただし、現在のところJR東日本のATS-Sn形線区には曲線速度制限装置は設置されていない。
 

ATS-Ps搭載車の汎用性

ここではATS-Ps形搭載車が他のATS設置線区に入線できるか否かを考察する。推測?が多い点に注意。

  • ATS-Sn形線区
    ATS-Ps形搭載車はATS-Ps形モードのままでATS-Sn形?線区に問題なく入線できるとされている。
  • ATS-P形線区
    ATS-P形はトランスポンダ方式であるが、ATS-Ps形は変周式であることからATS-Ps形モードでの入線は不可能と考えられる。なお、ATS-P形線区の殆んどにATS-Sn形?地上子が設置されていることから、ATS-P形線区へはATS-Ps形を開放してATS-Sn形?搭載車として入線するものと思われる。
  • ATS-ST系線区
    • ATS-Sn形モード
      ATS-Ps形搭載車がATS-Sn形モードのままでATS-ST系線区に入線すると、曲線や分岐器での速度照査が全く行えないため保安上の問題があり、入線は不可能と考えられる。
  • ATS-Sn'形モード
    ATS-Ps形搭載車のATS-Sn形車上装置がATS-Sn'形なみにグレードアップされているならばATS-Sn'形モードでATS-ST系線区に入線させることができるが、現在のATS-Sn形車上装置の仕様は不明?である。
  • ATS-Ps形モード
    ATS-Ps形搭載車はATS-Ps形モードのままでATS-ST系?線区に問題なく入線できるとする解説があるが詳細は不明?である。ここでは可能性・不可能性双方について記載する。現在のところATS-Ps形搭載車は新潟・東北地区のみで運用されており、ATS-ST系線区へ営業列車として入線する可能性は低いと思われるが、将来的にATS-Sn形線区をATS-ST系なみにグレードアップすることを視野に入れているとすれば、ATS-Ps形車上装置がATS-ST系線区に対応するよう設計されていることも考えられる。
  • 入線できない可能性
    ATS-Ps形搭載車がATS-Ps形モードでATS-ST系?線区に入線した場合、曲線や分岐器での速度照査用の108.5kHz地上子がATS-Ps形車上装置に停止パターンを発生させてしまうため、ATS-Ps形車上装置を動作させたままでの入線は不可能と考えられる。ATS-ST系搭載車の車上子が常時103kHzの周波数を発振させて無電源地上子に108.5kHzの周波数を発振させているのに対し、ATS-Ps形搭載車は常時73kHzの周波数を発振させているため、地上子の上を通過しても108.5kHzが発振されない可能性はある。しかしこの場合、ATS-ST系による曲線や分岐器での速度照査は全て無効になるため、保安上の問題があると考えられる。
  • 入線できる可能性
    ATS-Ps形モードのATS-Ps形搭載車は108.5kHz地上子の信号を受信すると停止パターンを発生させるがこれは第2パターンであり、第1パターンが発生しないと第2パターンを発生しないように車上装置が設定されていれば問題はない。第1パターンは80kHz地上子により発生させるがATS-ST系線区にはこれが無く、第1パターンが発生することはない。また、ATS-Ps形車上装置は車上タイマー方式に類似した方式によりATS-Ps形の地上子対からの信号を受信しており、ATS-ST系の車上タイマー方式速度照査にも対応している可能性がある。

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