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海面休憩時間と飛行機搭乗時間

 海面休憩時間は1時間以上とされています。しかしながらこの数字に根拠はありません。本来はたまっている窒素量と次のダイビングのダイブプランから必要な排出窒素量を計算し、休憩時間を逆算します。この方法はオープンウォーター講習のダイブテーブルの使い方のところで学びます。講習では計算手法を覚えるだけで、なぜこのような計算をしなければならないのかを教えることはしません。ほとんどのダイバーは忘れてしまっていることでしょう。ダイブコンピューターによってはプランモードに海面休憩時間を加算することができます。次のダイビングで必要な深度とダイビング時間から海面休憩時間を逆算することができます。残念ながら、このような方法で海面休憩時間を算出するガイドは稀です。海面休憩時間は長ければ長いほうが良いです。これは当たり前のことです。Suuntoの論文を読むとマイクロバブルが安定するのには2時間程度の海面休憩時間が必要と記載されています。Suuntoには体内のマイクロバブルが危険な状態だったり、窒素がたまりすぎている場合は画面に再潜水禁止マークが表示される機能が備わっています。この表示が出ているときは消えるまでダイビングは禁止です。
 繁忙期でゲストが多いときは15分くらいの休憩で(タンク交換とポイント移動だけで)次のチームを案内したり、同じポイントで2回もぐったり(2チーム案内する。これをダブルヘッダーといいます)、海面休憩時間に関してはゲストよりガイドのほうが深刻な問題です。
 飛行機搭乗までの禁止時間も業界団体やダイブコンピューターのメーカーが定義した一定時間を表示しているだけです。18時間あるいは24時間という数字に根拠があるものではありません。正しくは体内窒素が完全に抜けるまでは飛行機搭乗や車による山越え(伊豆の帰りの箱根がこれにあたります)は避けるべきです。ダイブコンピューターでは残留窒素が完全に抜けるまでの時間を表示することができます。1日のダイビングを終了したあとは、この時間を確認し、飛行機の搭乗時間まで、あるいは翌日のダイビングまでに窒素が完全に抜けているようなダイビングが安全です。24時間あれば大丈夫と言われていますが、ダイブコンピューターのコンサバティブモード(後述)でタイトな反復潜水をおこなったときは窒素が完全に抜けるまで24時間以上かかることは珍しくありません。本来は飛行機搭乗時間や翌日のダイビング開始時間を設定し、そこから逆算する機能がダイブコンピューターには必要です。今はダイバーが手計算するしかありません。
 最後に「ダイビング後の飛行機搭乗は本当に危険なのですか?」と聞かれることがあるので記載しておきます。機内は0.8-0.9気圧に与圧されています。世間で言われるほど危険ではないという解釈もできないわけではありません。体内に窒素が残っている以上、マイクロバブルも残っている以上、圧力変化は避けるべきです。これはダイビング後の陸上移動も同じです。車でも山越えをするケースは圧力変化がありますので、現地で食事をするなど休憩時間を充分にとったうえで(窒素を抜いたうえで)移動するよう心がける必要があります。

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