慣れると器材セッティングは1分どころか、30秒もあればできるようになります。リゾートサービス勤務のガイドは時間勝負ですので、15秒くらいでタンク交換をします。
器材セッティングを自分でするか否か、ゲストにお願いするか否かは永遠のテーマです。講習ならば講習生自身でセッティングするのが基本です。ファンダイビングの場合はゲストの好みで良いと思います。頑なにゲストにセッティングさせようとするガイドもいますが、多くのゲストはダイビングを楽しむためにやってきています。ガイドはサービス業ですので、ゲストの意思を尊重すべきでしょう。
筆者はレンタル器材の場合はガイドに任せます。ダイビングサービス側としてはゲストにレンタル器材のセッティングを任せ、壊されると困ります。自分の器材の場合は自分でセッティングします。ただし心を許したガイドの場合は任せることもあります。レンタル器材、自分の器材とわず、自分以外の人間がセッティングした場合は必ず一通りのチェックをすることにします。結局は自分でセッティングするのとかわらないのですが、セッティングしてくれるというサービスを無碍に断るのも大人気がありません。
器材セッティングの注意点をいくつかあげておきます。まずはファーストステージを締める強さです。多くのゲストはエアー漏れを恐れるあまりきつ締めすぎます。締めすぎるとOリングがつぶれてしまい用をなさなくなってしまいます。タンクのOリングが傷むのはファーストステージの締めすぎです。そんなに強く締めなくてもOリングが健康ならばエアーが漏れることはありません。バルブをオープンするときに残圧系を下に向けましょうと教えられますが、これは間違いです。残圧系には圧力オーバーのときに破裂するシールがあり、エアーを逃がす構造になっています。よってガラスが割れて飛び散るようなことがないようになっています。ちなみに逃がし弁は裏側にありますので、残圧系を下に向けている状態で逃し弁が壊れた場合は何らかの被害をダイバーが受けることが考えられます。よって下を向けてオープンするのは間違いです。器材の構造を知らないガイドやインストラクターが増えているのは残念なことです。ちなみに残圧系の多くがカバーで覆われているのは逃し弁が破裂したときのことを考えてのことです。テクニカルダイバーはこういった状況をすべて理解の上で裸で残圧系を使っています。器材セッティングを終えたらタンクのバルブは締めておきます。筆者のように残圧トランスミッタ―を使っている場合は圧がかかっていると電池が消耗してしまいます。
セッティングとすべての確認を終えたら、船が揺れても大丈夫なようにしっかりと固定します。床に置く場合はころがらないようにウェイトをストッパーにしておきます。レギュレーター等はBCDの内側に収納しておきます。フィンやウェイト、ウェットスーツはタンクのそばに綺麗にまとめておくのがマナーです。ウェイトベルトは必ずリング状にしておきます。これはウェイトがすべってベルトから外れてしまわないようにするためです。ウェイトは必ず床に置くのも常識です。