SelfDefence1


自己防衛(1)

 元も子もないことを最初に書くならば、今のダイブコンピューターは中途半端な機能しか有していません。減圧症を発症したダイバーの多くはダイブコンピューターが警告を出すような潜り方はしていません。しかしながらダイブプロファイルを詳細に分析をすると、ここで急激に窒素が排出された(急浮上)とか、M値の99%まで窒素がたまっているにも関わらず安全停止時間が3分しかないとか、理論的に説明がつく減圧症の原因がみつかっています。本来はダイブコンピューターが先にみつけ、水中でダイバーに警告しなければならない内容です。
 ダイブコンピューターの限界を知りつつダイブコンピューターを使いこなすことを考えます。多くの人はダイブコンピューターのマニュアルを開いたことがないでしょうし、設定変更もしたことがないかもしれません。ダイブコンピューターにはコンサバティブモードがそなわっています。すでに説明したようにダイブコンピューターは論理モデルであり、実際の体内の窒素やマイクロバブルの動きをあらわしているものではありません。数多くの実験を繰り返した結果であっても誤差があります。安全係数を厳しく設定することで誤差のブレ幅を安全域にもっていきます。昔のダイブコンピューターは高度調整パラメーターをそのまま使う程度であり信用できる値ではありませんでした。最近のものは排出係数を変更するものが多いのでコンサバティブモードは割と信用できます。SunntoやMaresはマイクロバブル計算も厳しくなるようです。厳しく設定したSuuntoやMaresでタイトな反復潜水をすると最後のほうは水深6mでも「これ以上潜るな」と警告が出てくるようになります。これは割と信用できるので従うようにしています。
 TUSAのソーラータイプについているM値警告機能はぜひとも有効活用したいです。ほとんどのダイバーは何のことか理解せずに、かつ警告が出ても無視していることと思います。窒素のたまりすぎを警告しています。設定で一番厳しいモードにし、警告に従うダイビングをすれば窒素のたまりすぎを防止できます。ただしマイクロバブルに起因する問題には対応できませんので、過信しないことが大事です。
 筆者はダイブコンピューターのアルゴリズム比較が趣味です。複数のダイブコンピューターを同時に使い違いを見つけることを楽しみにしています。普通に潜っている分には違いはありません。急浮上やタイトな反復潜水するとアルゴリズムや設定の違いが如実にあらわれます。

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