SafetyStop


安全停止と浮上速度

 安全停止は何分が良いのか、浮上速度はいくつが良いのか。結論から言うと、コンパートメントに吸収されている窒素量および水深によりかわります。
 大事な点は水中にいる限り、たとえそれが5mの安全停止中であったとしても窒素を吸収するコンパートメントが必ず存在するということです。そして水深とコンパートメント内の窒素量により吸収するコンパートメントもあれば排出するコンパートメントも同時に存在します。安全停止時間や浮上速度は吸収と排出のバランスが重要です。
 安全停止時間を長くすれば排出するコンパートメントには有効ですが、吸収を続けているコンパートメントにはマイナスです。多くのダイブコンピューターでは最大深度が10mに到達しない場合は安全停止をスキップするアルゴリズムになっています。浅いところでは深いところで急激に窒素を吸収するコンパートメントに窒素が少量しかたまりません。安全停止をして一部のコンパートメントに窒素をためるより、さっさと浮上したほうが全体として窒素がたまらないからです。ただしここにも罠があります。最大水深が10m未満でも、水面近くから10mまでをいったりきたり急浮上を繰り返すダイビングをした場合は、発生したマイクロバブルを安定化させる(気泡化させない)ために安全停止を入れたほうがよいです。
 浮上速度も同様の考え方です。窒素がM値近くまでたまっている場合は急激な深度変化(圧力変化)は危険ですので窒素が減る量を監視しながら、できるだけゆっくり浮上します。M値に対して75%以下の場合は急浮上アラームが鳴らない程度の速度で浮上することにより余分な窒素をためないようにします。
 本来、これらのことをダイブコンピューターがすべて計算して指示を出すべきです。あいにく、そんな機能は有していません。ダイブコンピューターによっては水中でコンパートメントごとの窒素量を表示できますが、それを知ったからといってダイバー自身が計算できるわけでもありません。
 結局、吸排出のバランスによる安全停止時間や浮上速度はダイバーの経験と自己責任に任されてしまっています。業界団体やメーカーとして推奨値はあるものの、それ以下のほうが良い場合もあれば、それでは足らないケースもあります。ダイブコンピューターを過信せず自己防衛をおこなう方法をこのあと記載します。

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